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Ultimate Drum Technique #31 キック・スネア・ハット Vol.1

  • Text & Score & Video:Hiroshi Matsuo

Final:キック・スネア・ハット Vol.1

みなさんこんにちは、松尾啓史です。長きにわたって執筆させていただいておりました本セミナーも、今回でいったん最終回となります。今回はラストということで、あえてシンプルにキック、スネア、ハットの3点でプレイできるアイディアに限定してレクチャーしてみたいと思います。

キック、スネア、ハイハットはそもそもドラム・セットにおいて、非常に重要な役割を果たすドラム・パーツです。キックはビートの基礎となる部分、言ってみれば人間の心臓のような役割を果たし、スネア・ドラムもキックと並んでビートにおけるリズムの中核を形成します。ハイハットはオープン、クローズのサウンドの使い分けに加え、叩き方1つでリズムに幅広いバリエーションを作り出すことができます。

この3点の他にタムやシンバル類などを絡めることによって、より多くのリズムや世界観を生み出すことは可能ですが、今回はあえて3点に絞ることで少ない点数であるがゆえの奥深さ、楽しさをあらためて追求できればと思います。

逆に言えば、3点のみでグルーヴを自在に操り、奏でることができれば、多点セットでのドラミングにも磨きがかかることは間違いありません。普段多点の人もそうでない人も、あらためてシンプルな3点セットでのドラミングを楽しんでみませんか?

キック・スネア・ハット
〜Basic編〜

Ex-1は、1、2拍目でキックとハイハットを同期させ、後半の3、4拍目ではリニア・フレーズへと展開させている複合的なフィル・アプローチです。リニア部分で瞬間的にオープン・ハンド・プレイになるところもポイントです。

Ex-2は、 クローズド・リム・ショットを用いたリズム・パターンです。一見するとシンプルなビートですが、リム部分での左手4連打が曲者で、フィジカル的にはやや難易度が高めのアプローチです。

Ex-3は、オルタネート・スティッキングでキメるフィル・アプローチです。ハイハットとスネア間の正確なムーブ・ワークはもちろん、ハイハットとキックがリンクする部分の縦グリッドがズレないよう、注意してプレイしましょう。

Ex-4はゴースト・ノートを多用するアプローチです。バック・ビートとなる部分とのスネアの音量差を意識しつつ、演奏してみましょう。スネアはハイハットの動きとリンクしています。正確なダイナミクス・バランスを意識しながら、まずはゆっくりと演奏し、慣れてきたら徐々にテンポを上げていきましょう。

Ex-5は、バウンス・フィールからのつなぎに最適な、6連符を基調としたリニア・フィルです。流れるようなスムーズな演奏を心がけましょう。

Ex-6はダイナミクス・レンジを用いたディレイ系アプローチです。派手なプレイではないですが、ここぞという場面で使えば効果的な演出ができるでしょう。

Ex-7は体育会系連打アプローチです。片足での安定したキック連打が不可欠で、どこまでテンポ・アップできるのかが、このリックの要となります。

Ultimate Drum Technique – BACK NUMBER

■CHAPTER 1:モダン・フット・ワーク
■CHAPTER 2:左足のハイハット・コントロール

■CHAPTER3:ゴースト・ノート
■CHAPTER4:ワン・ポイント・モジュレーション

■CHAPTER5:トラップ・ビート
■CHAPTER6:トラップ・ビート Vol.2

■CHAPTER7:オッド・グルーヴ
■CHAPTER8:オッド・フィル

■CHAPTER9:メトリック・モジュレーション
■CHAPTER10:メトリック・モジュレーション<奇数分割 ver.>

■CHAPTER11:スティック・トリック Vol.1
■CHAPTER12:スティック・トリック Vol.2

■CHAPTER13:ミスター・ハイハットに挑戦 Vol.01
■CHAPTER14:ミスター・ハイハットに挑戦 Vol.02

■CHAPTER15:チェンジ・アップ/ダウンで緩急自在 Vol.01

■CHAPTER16:チェンジ・アップ/ダウンで緩急自在 Vol.02

■CHAPTER17:レフトボディ・オスティナート Vol.01
■CHAPTER18:レフトボディ・オスティナート Vol.02

■CHAPTER19:リニア・ゴースト Vol.01
■CHAPTER20:リニア・ゴースト Vol.02

■CHAPTER21:メトロノーム・ハック Vol.01
■CHAPTER22:メトロノーム・ハックVol.02

■CHAPTER23:ワン・ハンド・ロールVol.01
■CHAPTER24:ワン・ハンド・ロールVol.02

■CHAPTER25:コントロールド・バウンス・フィール Vol.01
■CHAPTER26コントロールド・バウンス・フィール Vol.02

■CHAPTER27コンテンポラリー・フット・コーディネーション Vol.01
■CHAPTER28コンテンポラリー・フット・コーディネーション Vol.02

■CHAPTER29スペシャル・ドラムリック Vol.01
■CHAPTER30スペシャル・ドラムリック Vol.02

◎Profile
まつおひろし:豊富なドラム知識を生かし、リットーミュージックより自身の執筆する教則本『究極のドラム・トレーニング・バイブル』をリリース。現在はリズム&ドラム・マガジンでプレイ分析や執筆を担当している他、ドラム・セット・プレイヤーとしてのみならず、ドラム・スティックを投げたり回したりと視覚的に楽しませるパフォーマーとして、東京ディズニーシーや打楽器アンサンブル・チームでの公演の経歴もある。さらにゲーム音楽を中心としたレコーディングも多岐に渡る。20歳の頃より音楽教室でのレッスンなど、クリニシャンとして後世のドラマーの育成にも積極的に取り組み、吹奏楽からプログレまでジャンルを問わずさまざまなバンドでのライヴ・セッション活動を行っている。

◎Information
松尾啓史 HP Twitter YouTube