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Lesson – Ultimate Drum Technique ♯4

  • Text & Score & Video:Hiroshi Matsuo

CHAPTER 4:ワン・ポイント・モジュレーション

みなさんこんにちは、松尾啓史です。今回は、リズム・パターンを構成する要素の一部を別のパルスに変化させることで、ビートに独自の浮遊感を作り出すことができるモジュレート系アプローチ、“ワン・ポイント・モジュレーション”をレクチャーしてみたいと思います。四肢のうち、どの役割のパーツをモジュレートさせてもいいのですが、今回は右手と左手に的を絞ってチャレンジしてみましょう。

“ワン・ポイント・モジュレーション” とは?

リズム・パターン全体のパルスを変化させ、楽曲のテンポが変わったかのような錯覚を起こさせるメトリック・モジュレーションとは違って、基本となるビートの四肢の一部分だけを特定の法則(モチーフとなるリズム)に書き換えるアプローチです。そうすることで、ビートの要となる原型のグルーヴは残しつつ、聴いてる者にある種の不安感や緊張感を与えることができるのが、“ワン・ポイント・モジュレーション”の特徴となっています。

このモジュレートは、必ずしも小節アタマから開始される必要はなく、小節の途中はもちろん、小節を飛び越えて一定のモチーフをキープし続けることでも実現することができ、モジュレートを継続する尺が長ければ長いほど大きな錯覚を作り出すことができるのです。

奏法パターン Ver.1

ライト・ハンド・モジュレーション

右利きのプレイヤーの場合、右手というのはドラム・セットにおいてリズムを構築するための重要な要素を担っているかと思います。そんな右手でのモジュレートの例としては、ハイハットやライド・シンバルなどの刻み系の役割を果たすパーツのパルスを変化させることが一番インパクトが強く効果的でしょう。

左手のスネアのバック・ビートやキックのパターンは一定にキープさせつつ、右手だけを別次元へとイリュージョンさせるイメージですね!

Check!

ライト・ハンド・モジュレーションのエクササイズ

ボトムとなるキックとスネアを一定に固定することで、右手をモジュレートさせてもリズム全体のパルスが崩壊してしまうことはなく、楽曲中にも積極的に取り入れられるのがこのアプローチの特徴です。また、アクセントを用いることで、パルスの動きが明確になり、リズムの切れ目を表現することもできます。

使用頻度も高く比較的簡単なのは、0.75拍間隔を用いたパルス変動ですが、慣れてきたら16分音符の5つ割りなど、複雑なグリッドにもチャレンジしてみましょう。

奏法パターン Ver.2

レフト・ハンド・モジュレーション

左手と言えば、リズム・パターンにおける役割として、主にバック・ビートのスネアを担当することが多いと思います。今回は、そのスネアをモジュレートさせて、ビートを構築させてみたいと思います。

バック・ビートを変化させるということは、グルーヴの印象を8割以上変化させることができると言っても過言ではありません。ランダムに変化させてしまうと、場合によってはリズム・パターン自体が崩壊する危険性もあるのですが、ただ乱雑に変化させるのではなく、右手同様に一定の法則で変動させることで、新しい心地良さを生み出すことができるのです。

また、楽曲中のキメ部分に対してスネアをユニゾンさせつつ、ビートはキープするなんて使い方にも応用できるかもしれません。

Check!

レフト・ハンド・モジュレーションのエクササイズ

左手のバック・ビートを、0.75拍や1拍半、5つ割り、3連の4つ割りなど、さまざまなグリッドに変化させてリズム・パターンを構築します。右手と同様に、小節のどこから変動を開始しても良いのですが、リズムの拠り所となるバック・ビートそのものを変化させているので、小節間隔を見失わないように注意が必要です。

自分自身が今どこにいるのかわからなくなってしまっては元も子もないので、頭の中でしっかりとカウンティングしながら演奏しましょう。

まとめ

今回のテクニックは、あくまでも楽曲中にスリルと緊張感を構築するためのものです。ドラマーのエゴでモジュレートを連発して、他のプレイヤーを困らせたり、曲の雰囲気をぶち壊してしまうことだけは注意しましょう(笑)。

Ultimate Drum Technique – BACK NUMBER

CHAPTER 1:モダン・フット・ワーク
CHAPTER 2:左足のハイハット・コントロール
 ▶︎上記2つについてもっと詳しく知りたい方は、リズム&ドラム・マガジン20年7月号をチェック!


■CHAPTER3:ゴースト・ノート

◎Profile
まつおひろし:豊富なドラム知識を生かし、リットーミュージックより自身の執筆する教則本『究極のドラム・トレーニング・バイブル』をリリース。現在はリズム&ドラム・マガジンでプレイ分析や執筆を担当している他、ドラム・セット・プレイヤーとしてのみならず、ドラム・スティックを投げたり回したりと視覚的に楽しませるパフォーマーとして、東京ディズニーシーや打楽器アンサンブル・チームでの公演の経歴もある。また、サウンド制作スタジオ「INSPION」のメンバーでもあり、ゲーム音楽を中心としたレコーディングは多岐に渡る。20歳の頃より音楽教室でのレッスンなど、クリニシャンとして後世のドラマーの育成にも積極的に取り組み、吹奏楽からプログレまでジャンルを問わずさまざまなバンドでのライヴ・セッション活動を行っている。

◎Information
松尾啓史 HP Twitter YouTube