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【2003年11月号特集『3連〜最大の弱点はこれで攻略?〜』より】 <Part.1> 3連苦手を克服するために

  • 講師:山本雄一(RCCドラムスクール)

毎週日曜日にドラムの教則系企画をお届けする #教則の日曜日。今回は2003年11月号に掲載した特集『3連』より“3連苦手を克服するために”を再掲載! 奇数割りやサブディヴィジョンが浸透してきた現代においても、苦手意識を持つ人が多いであろう3連。少しでもその克服の一助となれば!

ー3連苦手を克服するためにー

はじめに

今回の特集は“3連系のドラミングを基本から見つめてみよう”という企画です。

よく“3連系は苦手だ……”なんていう言葉を聞きますね。しかし! “苦手”と嘆く前に、“3連系のプレイに対して基本トレーニングは積んできましたか?”という点を厳しく(!?)チェックし、“なんとなくできる”というレベルで大雑把になっていた部分を、もう一度、鍛え直してみたいと思います。

内容は筆者個人の体験/経験が基になっていますので、“数ある練習法の1つ”と捉えてもらえばいいのですが、3連に対して苦手意識のある人が、何かしらのステップ・アップのきっかけをつかんでもらえれば、と思います。

第1章
3連を感じる4分音符を叩く!

3連音符を感じさせる4分音符を叩こう!

3連音符が苦手ならば、3連音符を練習する。コレ、当たり前のことですね。でも、今回は3連音符を叩き出す前に、3連音符を感じさせる4分音符の叩き方から入ってきたいと思います。

基本となる4分音符の中で3連符を意識することができれば、実際に3連符を叩くときにとても楽になるはずです!

“バック・スイング”のタイミングを意識する

ゴルフやテニス、そして野球のバッティング──これらは、“道具を持って何かを叩く”という点ではドラムと共通している部分がありますね。

それらのスポーツでは、結果としてボールをうまくヒットすればいいわけですが、優れたプレイヤーほど、打つ前の“振りかぶり”を含めたリズムを大切にします。

例えばゴルファーであれば、ボールにクラブが近づいていく動き(フォワード・スイング)の前に、ボールからクラブが離れていく動き(バック・スイング)を大切にするからこそ、結果として自分のイメージに近いショットができるそうです。

話が逸れてしまいましたが、ここでのテーマである“3連音符を感じさせる4分音符”もポイントは同じ。“叩く”という動作だけではなく、“振り上げる”という動作を含めたリズムを意識することにより3連音符を感じさせる4分音符が、楽に、そして気持ち良く叩けるようになるのです。

ベーシック・トレーニング

Ex-1a:まずはセット・ドラミングの基本となるバス・ドラムの動きからスタートしましょう。

写真1のように右手を右足のヒザ上あたりに構えてバス・ドラムを踏みます。このとき、3連符のウラ(=3個目)のタイミングで、ヒザが手に当たるようなタイミングで足全体の持ち上げを心がけてみましょう。

3連符の3つ目が手に当たるタイミングで足を持ち上げるのがミソ!

これがうまくいくと、Ex-1bのようなフレーズが聴こえてくるはずです。なお、ヒール・ダウンでプレイする人は、ビーターが一番大きく戻ってくるタイミングを3連のウラになるイメージで試してみてください。

Ex‐2a:続いては手の動きです。ここでは、右手でハイハットを叩きましょう。そして左手ではスティックを写真2のように構えて固定し、Ex-1のときと同様に、3連のウラでスティック同士が当たるタイミングで右手のスティックを振り上げます。うまくいけば、Ex‐2bのようになります。

今度は3連符の3つ目で、左手に掲げたスティックに当たるように振り上げる。

Ex‐3:手足同時の動きとして、ハイハットとバス・ドラムを同時に叩きましょう。この練習では必ずクリックを用いてください。そして今まで手やスティックで鳴らしていた3連ウラのタイミングを、今度はクリック音でとれるように頭の中を切り替えます。

ここではクリックの鳴るタイミングで、手足を振り上げた状態を作りましょう(写真3)。

右子と右足を、クリック音のみを頼りに3連のウラ拍でレディ・ボジションに。

最初はかなり難しいと思いますが、クリックを3連のウラで聴きながら叩けるようになったら、それだけであなたの3連符に対する能力は数段アップするはずです。

Ex‐4:今度はEx-3に2拍&4拍のスネアを加えましょう。

右手が2、4拍を叩くときと同じタイミングで左手のスティックも振り上げ、両手を同時に振り下ろす感覚で叩きます。Ex-3同様、クリックを3連のウラで聴き、1、3拍目のウラで写真4の状態になるように叩いてください。

2&4拍のスネアを入れても、あくまで3連のウラ拍のタイミングが変わらないように。

さて、結果だけを見れば、Ex-4が叩ければいいのです。こんな簡単なリズム、初めてスティックを握った人でも叩けるでしょうね。でもそれは、“とりあえず”というレベルまでの話。

この章で丁寧にやってきたように、バック・スイングのタイミングをリズムの一部として捉え、“身体の流れの中からリズムを作り出す”という感覚を覚えてください。

“4分音符を叩いただけでスウィング感を作り出す”──まず最初にこれがシッカリできなければ、3連系ドラミングの根本的な進歩は望めないでしょう。

では、この章のまとめとしてEx‐5a5bをクリックなしで叩いてみましょう。

5aはライド・シンバルを使い、2、4拍にアクセントを感じるパターン、5bは両手両足で均等な4分音符を叩くパターンです。

その際、自分の声で“ウータッ・ウータッ・ウータッ・ウータッ”と歌ってみます(Ex‐5c)。“ウー”の部分では音符の長さをコントロールし“タッ”のウラ拍部分ではバック・スイングを意識しながら叩いてみましょう。