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Ultimate Drum Technique #13-Mr.HiHat Vol.1

  • Text & Score & Video:Hiroshi Matsuo

CHAPTER13:ミスター・ハイハットに挑戦 Vol.01

みなさんこんにちは、松尾啓史です。今回はドラム・セットでのアプローチではなく、ハイハット・オンリーでのパフォーマンスにフォーカスしたテクニックを解説していきたいと思います。特殊なアプローチに分類されますが、余興やインターミッションなどで行うと盛り上がること間違いなしなので、ぜひチャレンジしてみましょう。

ミスター・ハイハットとは?

前回のセミナーでも少し触れましたが、ハイハット1つでさまざまなパフォーマンスを行うことを、ドラム業界では“ミスター・ハイハット”と呼ぶことが多いです。“たかがハイハット、されどハイハット”、その元祖としてはジャズ・レジェンド=マックス・ローチのパフォーマンスが有名ですが、最近ではスティーヴ・スミスを筆頭に、現代のドラマー達もハイハット上での妙技の可能性に魅せられて、各自ブラッシュ・アップし、リバイバルとして演奏するなど、ハイハット1台のみによるパフォーマンスは時代を超えて今日まで伝承されています。今回はそんな“ミスター・ハイハット”パフォーマンスにおける基本技のいくつかをご紹介したいと思います

ハイハット1台でここまでできる
〜Basic〜

Ex-1aはスティックをハイハットに対して、ほぼ垂直に振り下ろしながら行うアプローチです。スティックのショルダーでハイハットのエッジをヒットする奏法で、上下方向の派手なスティックの軌道を作ることができるのでパフォーマンス性にも優れています。Ex-1bのように手順次第でさまざまなバリエーションを生み出すことも可能。非常に汎用性の高い奏法でもあります。

Ex-2はハイハットのロッドとスタンドへのショットを絡めたアプローチです。ハイハット本体とはまた一味違った金属音を取り入れることで、パフォーマンスの幅をットのトップ指をハイハットのトップ側に軽く固定。そしてスタンドではなくハイハットのボトム側をショット! トップ側とボトム側のショットを使い分けることで立体感のあるサウンド演出を実現します。

Ex-3はEx-2と少し似ており、左手の親指をハイハットのトップ側に軽く固定。そしてスタンドではなくハイハットのボトム側をショット! トップ側とボトム側のショットを使い分けることで立体感のあるサウンド演出を実現します。

Ex-4はハイハットのボトム側とトップ側を行き来する形でショットする奏法です。左手首の回転を用いて、シンバルを撫でるようにうまくスティックを当てていけるかどうかが、このアプローチのポイントです。他の奏法に比べて感覚を掴むのに少し時間がかかるかもしれませんが、スムーズなスティック軌道が描けるように練習しましょう。

Ex-5はハイハットのロッドとスタンドのみに絞ったシンプルなアプローチです。ハイハットを叩かないぶん、少し地味になってしまうので、ショットする場所を随時変えたりするなど、疾走感が失われないようなフレーズ作りや演奏を心がけましょう。

Ultimate Drum Technique – BACK NUMBER

CHAPTER 1:モダン・フット・ワーク
CHAPTER 2:左足のハイハット・コントロール
 ▶︎上記2つについてもっと詳しく知りたい方は、リズム&ドラム・マガジン20年7月号をチェック!


■CHAPTER3:ゴースト・ノート
■CHAPTER4:ワン・ポイント・モジュレーション
 ▶︎上記2つについてもっと詳しく知りたい方は、リズム&ドラム・マガジン20年10月号をチェック!

■CHAPTER5:トラップ・ビート
■CHAPTER6:トラップ・ビート Vol.2
 ▶︎上記2つについてもっと詳しく知りたい方は、リズム&ドラム・マガジン21年1月号をチェック!

■CHAPTER7:オッド・グルーヴ
■CHAPTER8:オッド・フィル

■CHAPTER9:メトリック・モジュレーション
■CHAPTER10:メトリック・モジュレーション<奇数分割 ver.>

■CHAPTER11:スティック・トリック Vol.1
■CHAPTER12:スティック・トリック Vol.2

◎Profile
まつおひろし:豊富なドラム知識を生かし、リットーミュージックより自身の執筆する教則本『究極のドラム・トレーニング・バイブル』をリリース。現在はリズム&ドラム・マガジンでプレイ分析や執筆を担当している他、ドラム・セット・プレイヤーとしてのみならず、ドラム・スティックを投げたり回したりと視覚的に楽しませるパフォーマーとして、東京ディズニーシーや打楽器アンサンブル・チームでの公演の経歴もある。さらにゲーム音楽を中心としたレコーディングも多岐に渡る。20歳の頃より音楽教室でのレッスンなど、クリニシャンとして後世のドラマーの育成にも積極的に取り組み、吹奏楽からプログレまでジャンルを問わずさまざまなバンドでのライヴ・セッション活動を行っている。

◎Information
松尾啓史 HP Twitter YouTube