NOTES

CHAPTER5:オッド・グルーヴ

みなさんこんにちは、松尾啓史です。今回は、“オッド・グルーヴ”をテーマに、5連符や7連符などの奇数音符で構成されるリズム・パターンをご紹介していきます。一般的には馴染みの少ないこれらのリズム・グリッドですが、自在に操ることができるようになれば自身の“リズム・ポケット”を更に広げることができ、1拍1拍に対するタイム感覚が変化することは間違いないでしょう!

今、注目されつつある奇数連符=“オッド・グルーヴ”

私達にとって最も馴染み深い奇数連符と言えば3連符ですが、ドラムをある程度プレイしてきた人にとって、3連符はもはや当たり前の存在になっているはずです。しかし5連符や7連符はどうでしょうか? “基礎練習レベルでは叩いたことはある”、あるいは“知ってはいるけど、実際に演奏はしたことがない”という方も多くいらっしゃると思います。それもそのはず、これらの奇数連符を基調とした楽曲は世界的に見てもかなり限定されており、実際に演奏する機会が少ないのは当然のことです。

ですが、近年は5連符や7連符の存在が改めて見直され、ドラミングに積極的に取り込んでいこうという流れが生まれつつあります。今後はリズム・パターン中にそれらのリズム・グリッドを数学的解釈で当てはめつつも、音楽的にアウトプットできる者達が次々と現れ、この流れは更に加速していくと思われます。1つのテクニックとして抑えておいて損はないでしょう。

奏法パターン Ver.1

クインタプレット・グルーヴ

5連符を基調としたリズム・パターンのことを“クインタプレット・グルーヴ”と言います。1拍間に5つの音グリッドを均等に詰め込んだもので、4連符(つまり16分音符)よりも音密度が高い表現が可能であり、なおかつ奇数音符によって“不安感や浮遊感”を構築することができます。

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クインタプレット・グルーヴのエクササイズ

5連符で構成されていると言っても、すべてのグリッドを音符で埋め尽くす必要はありません。休符を挟み込んだりすることで、空間を生かした演奏をすることもできます。例えば、5連符の1つ目と3つ目だけをピック・アップして主軸にすれば、少し前のめりな突っ込んだグルーヴになりますし、1つ目と4つ目を主軸にすれば若干もたったような重めのシャッフル・ビートのように感じさせることができます。このように、5という数字を聴き手に感じさせないというアプローチもあります。

もちろん、間を空けずにゴースト・ノートやリニア・アプローチですべてのグリッドを埋め、数珠繋ぎのような流れるビートを表現してみてもいいかもしれないですね。単純に16分音符4つ分(4連符)より扱える音符の数が増えるので、組み合わせのパターンも大きく広がり、さまざまなリズムのパズルを模索することができます。

奏法パターン Ver.2

セプタプレット・グルーヴ

“セプタプレット・グルーヴ”は、7連符を基調としたリズム・パターンです。5連符を主軸としたクインタプレットに比べて、さらに1拍に対するポケットが広がり、スピード感のある表現からスペーシーなアプローチまで表現の幅を大きく広げることができます。

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セプタプレット・グルーヴのエクササイズ

7連符は「4-3」「3-4」あるいは「5-2」「2-2-2-1」など、連符の中での分割方法をより多く試行錯誤できるところが大きな魅力です。7連符のグリッドのどこを音で埋め、どこを休符として扱うかなど、ハイハットやキックの位置を創意工夫することでリズムの印象を大きく変えることができるメリットがあります。

ただし、クインタプレットよりもそのタイミングはシビアであり、今発音している音がリズム・グリッドのどこに位置するのかを正確に認識しコントロールできないと、ただ縒れて演奏している人だと勘違いされてしまう恐れがあります。比較的難易度の高いグルーヴでもあるため、まずは基礎練習などで7連符のグリッドをしっかり身体に叩き込んでからチャレンジしてみましょう。

まとめ

奇数連符はなんだか扱いが難しそうだなと敬遠してしまいがちですが、冒頭でも話した通り、3連符などと同様に当たり前の存在にしてしまえば、リズム・パターンの可能性を大きく広げてくれる武器となるでしょう。ぜひマスターしてみてくださいね!

Ultimate Drum Technique – BACK NUMBER

CHAPTER 1:モダン・フット・ワーク
CHAPTER 2:左足のハイハット・コントロール
 ▶︎上記2つについてもっと詳しく知りたい方は、リズム&ドラム・マガジン20年7月号をチェック!


■CHAPTER3:ゴースト・ノート
■CHAPTER4:ワン・ポイント・モジュレーション
 ▶︎上記2つについてもっと詳しく知りたい方は、リズム&ドラム・マガジン20年10月号をチェック!

■CHAPTER5:トラップ・ビート
■CHAPTER6:トラップ・ビート Vol.2
 ▶︎上記2つについてもっと詳しく知りたい方は、リズム&ドラム・マガジン21年1月号をチェック!

◎Profile
まつおひろし:豊富なドラム知識を生かし、リットーミュージックより自身の執筆する教則本『究極のドラム・トレーニング・バイブル』をリリース。現在はリズム&ドラム・マガジンでプレイ分析や執筆を担当している他、ドラム・セット・プレイヤーとしてのみならず、ドラム・スティックを投げたり回したりと視覚的に楽しませるパフォーマーとして、東京ディズニーシーや打楽器アンサンブル・チームでの公演の経歴もある。また、サウンド制作スタジオ「INSPION」のメンバーでもあり、ゲーム音楽を中心としたレコーディングは多岐に渡る。20歳の頃より音楽教室でのレッスンなど、クリニシャンとして後世のドラマーの育成にも積極的に取り組み、吹奏楽からプログレまでジャンルを問わずさまざまなバンドでのライヴ・セッション活動を行っている。

◎Information
松尾啓史 HP Twitter YouTube