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    Ultimate Drum Technique #29 スペシャル・ドラムリック Vol.1

    • Text & Score & Video:Hiroshi Matsuo

    CHAPTER29:スペシャル・ドラムリック Vol.1

    みなさんこんにちは、松尾啓史です。今回は、フィルインやソロなどで僕自身が実際によく使うフレーズやアイディアをご紹介したいと思います。

    ドラム・ソロ・セクションやフィルのアイディアを考える際にまず僕が意識するポイントは、“心地良さ”に振り切るのか、それとも“違和感”に振り切るのかということです。心地良さを作り出したい場合は、楽曲の雰囲気やテンポ感に寄り添う形で、多数の人間が“こういうフィルやフレーズがここで入ったら気持ち良いな”と感じる、大衆の情緒に合わせたドラミングを行うと良いでしょう。

    邪魔しない、存在を誇示しないというのも、時にドラマーとしての重要な役割です。対して違和感に振り切った場合は、良い意味で想像を裏切るようなアプローチ、サウンド・チョイス、パフォーマンスが効果的です。いずれの場合にせよ、この“振り切る”という感覚が大切で、引くなら引く、押すなら押すといった形でドラミングに明確な意思表示を持たせることが重要だと考えています。

    そのフレーズで魅せたいこと、伝えたいことは何なのか、速さなのか、力強さなのか、あくまで伴奏としての心地良さなのか、はたまた気持ち悪さなのか……。それらが明確に伝わるかどうか、伝えられるかどうかがドラム・フレーズ構築の要です。

    もちろん実際の演奏ではそれらを即興に行っていくわけですが、ただ何となく叩くのと、短いフレーズの中にもテーマ性を持たせて演奏するのとでは聴き手に与える印象も大きく変わりますので、みなさんもぜひ、フィルやソロの場面に直面した際はこの考えを思い出してみてください。

    ちなみに今回紹介させていただくフレーズは、どれも速さや特殊性に特化した、流れに緩急や違和感を作り出すのにぴったりの内容となっております。ぜひチャレンジしてみてください。

    スペシャル・ドラムリック
    〜Basic編〜

    Ex-1は、スティック・オン・スティックを用いたアプローチで、クローズド・リム・ショット状態のスティックをさらに打ち鳴らすことによって、より硬質な第3のサウンドを作り出します。装飾的に絡めて演奏することによって、リズム・パターン中にユニークなアクセントを設けることができます。

    Ex-2は、ハイハットのオープン・クローズで4分音符のパルスをキープしながらも、キックとスネアだけをトリップさせていくリズム・パターンです。キックとスネアで16分音符の9つ割りのサイクルが組まれており、ビートに浮遊感を作り出しています。譜例は1小節で完結させていますが、2小節、3小節と続けても面白いパターンです。

    Ex-3は、僕が好んで使用するフレーズの1つです。“RLRRL”という手順を用いたシンプルな0.75拍フレーズですが、アクセントの位置がポイントで、スネアのみならずシンバルやタム類などを絡めても使える万能フィルです。

    Ex-4は6連符の9つ割りフレーズです。右手のアクセントをタム類などに置き換えてプレイしても良いでしょう。

    Ex-5は、手が交差するクロス・スティッキングを用いたアプローチです。一見すると複雑そうなリズム・パターンですが、“RLK”というシンプルなフレーズを繰り返しているだけなので、ゆっくりと動きを確認してからチャレンジすれば、すぐにマスターできると思います。

    Ex-6Ex-5と同様にクロス・スティッキングを用いたアプローチですが、こちらはクラッシュ・シンバル、そしてツイン・ペダルを用いたキックの3連打を絡めることで、より派手な印象を演出しています。盛り上げたい場面などに効果的でしょう。

    Ultimate Drum Technique – BACK NUMBER

    ■CHAPTER 1:モダン・フット・ワーク
    ■CHAPTER 2:左足のハイハット・コントロール
     ▶︎上記2つについてもっと詳しく知りたい方は、リズム&ドラム・マガジン20年7月号をチェック!


    ■CHAPTER3:ゴースト・ノート
    ■CHAPTER4:ワン・ポイント・モジュレーション
     ▶︎上記2つについてもっと詳しく知りたい方は、リズム&ドラム・マガジン20年10月号をチェック!

    ■CHAPTER5:トラップ・ビート
    ■CHAPTER6:トラップ・ビート Vol.2
     ▶︎上記2つについてもっと詳しく知りたい方は、リズム&ドラム・マガジン21年1月号をチェック!

    ■CHAPTER7:オッド・グルーヴ
    ■CHAPTER8:オッド・フィル

    ■CHAPTER9:メトリック・モジュレーション
    ■CHAPTER10:メトリック・モジュレーション<奇数分割 ver.>

    ■CHAPTER11:スティック・トリック Vol.1
    ■CHAPTER12:スティック・トリック Vol.2

    ■CHAPTER13:ミスター・ハイハットに挑戦 Vol.01
    ■CHAPTER14:ミスター・ハイハットに挑戦 Vol.02

    ■CHAPTER15:チェンジ・アップ/ダウンで緩急自在 Vol.01

    ■CHAPTER16:チェンジ・アップ/ダウンで緩急自在 Vol.02

    ■CHAPTER17:レフトボディ・オスティナート Vol.01
    ■CHAPTER18:レフトボディ・オスティナート Vol.02

    ■CHAPTER19:リニア・ゴースト Vol.01
    ■CHAPTER20:リニア・ゴースト Vol.02

    ■CHAPTER21:メトロノーム・ハック Vol.01
    ■CHAPTER22:メトロノーム・ハックVol.02

    ■CHAPTER23:ワン・ハンド・ロールVol.01
    ■CHAPTER24:ワン・ハンド・ロールVol.02

    ■CHAPTER25:コントロールド・バウンス・フィール Vol.01
    ■CHAPTER26コントロールド・バウンス・フィール Vol.02

    ■CHAPTER27コンテンポラリー・フット・コーディネーション Vol.01
    ■CHAPTER28コンテンポラリー・フット・コーディネーション Vol.02

    ◎Profile
    まつおひろし:豊富なドラム知識を生かし、リットーミュージックより自身の執筆する教則本『究極のドラム・トレーニング・バイブル』をリリース。現在はリズム&ドラム・マガジンでプレイ分析や執筆を担当している他、ドラム・セット・プレイヤーとしてのみならず、ドラム・スティックを投げたり回したりと視覚的に楽しませるパフォーマーとして、東京ディズニーシーや打楽器アンサンブル・チームでの公演の経歴もある。さらにゲーム音楽を中心としたレコーディングも多岐に渡る。20歳の頃より音楽教室でのレッスンなど、クリニシャンとして後世のドラマーの育成にも積極的に取り組み、吹奏楽からプログレまでジャンルを問わずさまざまなバンドでのライヴ・セッション活動を行っている。

    ◎Information
    松尾啓史 HP Twitter YouTube