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    Ultimate Drum Technique #23 One Hand Roll Part 1

    • Text & Score & Video:Hiroshi Matsuo

    CHAPTER23:ワン・ハンド・ロール Vol.1

    みなさんこんにちは、松尾啓史です。今回は片手で高速連打を行う「ワン・ハンド・ロール」についてレクチャーしてみたいと思います。

    ワン・ハンド・ロールとは

    ワン・ハンド・ロールは別名“グラビティ・ブラスト”とも呼ばれ、ドラムのリム部分を用いて、スティックをまるでシーソーのように操り、ダウン・モーションとアップ・モーションの両方にショット・ポイントを作り出すテクニックです(※類似する奏法に、リムを用いず手の操作のみで片手連打を行うプッシュ・プル・テクニックがありますが、そちらとはまた別の奏法となります)。

    ワン・ハンド・ロールは、スティック・コントロールの方法が普段の奏法とはまるで異なります。通常ドラムを打ち鳴らす際は、リストまたはフィンガーを使って、スティックを打面からテイク・バックさせてショットしますが、ワン・ハンド・ロールの場合は、スティックをやや強めに握り込んだ状態で、打面に対してほぼ平行に保ったまま、腕自体を垂直に下ろしていきます。

    その状態からまずスティックのチップ側を打面に当て1打、チップが当たった状態からさらにホールドを継続しつつ、腕を垂直に下ろしていくことによってスティックが自然とリム部分に当たります。スティックがリムに接触した状態でさらに腕を垂直に下ろしていくと、リム部分を支点としてスティックがシーソーのような役割を果たし、チップ側が打面からやや持ち上がります。ここまでがダウン・モーションとなります。

    この状態から、今度は腕を上昇させていくとスティックのチップ側が徐々に下降し、打面と接触します。これが2打目となります。この動きの繰り返しが、ワン・ハンド・ロールの一連の流れとなります(詳しくは上記の動画をご参照ください)。

    スティックのホールドの仕方は、フレンチ・グリップ、ジャーマン・グリップ、アメリカン・グリップなど、いずれの持ち方でも構いません。どのようなグリップが自分に向いているのか、みなさん自身で検証してみてください。また、トラディショナルな奏法とは違い、かなり強引なアプローチとなりますので、指や手首を痛めないようにだけ注意してください。少しでも痛みを感じたら、無理して練習せずに、一度間隔を置いてからチャレンジすることを強くお勧めします。

    ワン・ハンド・ロール
    〜Basic編〜

    Basic編では、ワン・ハンド・ロールの導入として、基礎的なエクササイズをご用意しました。Ex-1Ex-6はスネアのみで、シングル、ダブル、トリプル、フォース……のように、片手打ちの打数をそれぞれワン・ハンド・ロールへと置き換えるエクササイズです。左右どちらの手でも同様のニュアンスでプレイできるように練習しておきましょう。

    Ex-78は、ドラム・セットへの応用を意識し、ハイハットで一定のリズムを刻みながらワン・ハンド・ロールをキープするエクササイズです。実際にこれらのエクササイズに取り組んでみると、今までのドラムの常識ではありえなかった新しい動きに少し戸惑ってしまうかもしれませんが、初めてドラムを叩いたときのように、新鮮な気持ちで取り組むと楽しいかもしれません。

    Ultimate Drum Technique – BACK NUMBER

    ■CHAPTER 1:モダン・フット・ワーク
    ■CHAPTER 2:左足のハイハット・コントロール
     ▶︎上記2つについてもっと詳しく知りたい方は、リズム&ドラム・マガジン20年7月号をチェック!


    ■CHAPTER3:ゴースト・ノート
    ■CHAPTER4:ワン・ポイント・モジュレーション
     ▶︎上記2つについてもっと詳しく知りたい方は、リズム&ドラム・マガジン20年10月号をチェック!

    ■CHAPTER5:トラップ・ビート
    ■CHAPTER6:トラップ・ビート Vol.2
     ▶︎上記2つについてもっと詳しく知りたい方は、リズム&ドラム・マガジン21年1月号をチェック!

    ■CHAPTER7:オッド・グルーヴ
    ■CHAPTER8:オッド・フィル

    ■CHAPTER9:メトリック・モジュレーション
    ■CHAPTER10:メトリック・モジュレーション<奇数分割 ver.>

    ■CHAPTER11:スティック・トリック Vol.1
    ■CHAPTER12:スティック・トリック Vol.2

    ■CHAPTER13:ミスター・ハイハットに挑戦 Vol.01
    ■CHAPTER14:ミスター・ハイハットに挑戦 Vol.02

    ■CHAPTER15:チェンジ・アップ/ダウンで緩急自在 Vol.01

    ■CHAPTER16:チェンジ・アップ/ダウンで緩急自在 Vol.02

    ■CHAPTER17:レフトボディ・オスティナート Vol.01
    ■CHAPTER18:レフトボディ・オスティナート Vol.02

    ■CHAPTER19:リニア・ゴースト Vol.01
    ■CHAPTER20:リニア・ゴースト Vol.02

    ■CHAPTER21:メトロノーム・ハック Vol.01
    ■CHAPTER22:メトロノーム・ハック Vol.02

    ◎Profile
    まつおひろし:豊富なドラム知識を生かし、リットーミュージックより自身の執筆する教則本『究極のドラム・トレーニング・バイブル』をリリース。現在はリズム&ドラム・マガジンでプレイ分析や執筆を担当している他、ドラム・セット・プレイヤーとしてのみならず、ドラム・スティックを投げたり回したりと視覚的に楽しませるパフォーマーとして、東京ディズニーシーや打楽器アンサンブル・チームでの公演の経歴もある。さらにゲーム音楽を中心としたレコーディングも多岐に渡る。20歳の頃より音楽教室でのレッスンなど、クリニシャンとして後世のドラマーの育成にも積極的に取り組み、吹奏楽からプログレまでジャンルを問わずさまざまなバンドでのライヴ・セッション活動を行っている。

    ◎Information
    松尾啓史 HP Twitter YouTube