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【Report】JAPAN LATIN MUSIC FESTIVAL 2022 “TIMBA”@渋谷ストリームホール
- 撮影:suguta、阿部憲護
- 取材&文:佐藤 健(ファンカッション)、大同隆太
SiNGO
【MEMBERS】
SiNGO (Piano, Director, Composer)、山田良夫 (Bass)、Ludwig Nuñez (Drums)
、野口真吾 (Timbales)、山北健一 (Conga)、双木博和 (Trumpet)、中路英明 (Trombone)、阿部俊貴 (Sax)、El Indio (Vocal)、UCARi (Vocal)、Rodlfo Livan (Vocal)
(https://timba-festival.com/artists/singo/)
超一流のラティーノ達が集結
濃密で至上のパフォーマンス
“カリブ海の真珠”と言われるキューバでラテン・ミュージックを吸収し、サルサ発祥の地=ニューヨークで現在活動しているSiNGO。そんな彼だからこそ、今回集結した超一流のラティーノ達。そのメンツはまさにカリブ海の宝石箱と言えるだろう。
あらためて、世界的なビッグ・ウェーブでもある“timba”というジャンルをみなさんはご存知だろうか。本場キューバで流行し、サルサにラップやジャズの要素を加えたアップ・テンポなダンス・ミュージックで、今やブルーノ・マーズなど超ビッグ・ネームが自分達の楽曲に取り入れていることもあって、知らぬ間に聞いている人達も多いと思う。そんなtimbaを日本で普及、また、昨今のガラパゴス化が進む日本ラテン・ミュージック界の殻を破るため立ち上がったSiNGOのステージは、ここ日本にいることを忘れさす圧巻のステージとなった。
パワフルなヴォーカル陣、サイボーグのようなハイ・ノートと一糸乱れぬプレイのブラス隊、アグレッシブかつエモーショナルなリズム体、総勢11名が織りなすtimbaのサウンドは今まで聞いたどのラテン・ミュージックのライヴより濃密で至上のパフォーマンスだったと思う。
ステージ終盤には、本日出演したプレイヤー達(総勢40名以上!)が一同にステージに上がり演奏する音圧、グルーヴ……その迫力にオーディエンスはこの日一番の盛り上がりを見せ、演奏をしながら演者と共に来場者をお見送るというサプライズな演出で、終演後の会場の外では踊りながら渋谷駅に向かっていく後ろ姿は某テーマパークの帰り道の光景のようだった。
timbaだけでなく、さまざまなラテン音楽を盛り込んだ今回のイベントはオーディエンスのみならず、携わったすべての人々にハピネスを届けた至高の一夜となった。(大同)
間違いなくラテンなのだが
ジャズに聴こえる瞬間があったり
いわゆるフュージョンに聴こえることもある
このフェスの主催者であるSiNGO率いるtimbaバンド。このバンドの演奏を聴くとtimbaとは何かがわかる。やはりtimbaはスタイルではなくコンセプトなのだ。新しいサルサ、自由なサルサ、フュージョン・サルサとも言うべきか。SiNGOの幅広い音楽的アイディアによって、間違いなくラテンなのだがジャズに聴こえる瞬間があったり、いわゆるフュージョンに聴こえることもある。ルンバやサルサの枠にとどまらない、これがtimbaなのだろう。アンサンブルがバッチリと思ったらこのフェスの前にツアーを回っていたのね。それにしても、SiNGOは音楽の幅、守備範囲が広いだけでなく音が綺麗なのが印象に残った。きっとピアニストとしてしっかりと訓練してきたのだろう。いつかソロの演奏も聴いてみたいものだ。
そして最後は、お祭り的な、それこそフェスティバル的な、このフェスの(ほぼ)出演者全員による大スーパー・セッション。もちろん盛り上がらないはずもなく、ドッヒャー、お腹いっぱいになりました。(佐藤)