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    【Interview】KO-HEY[Skoop On Somebody]〜バンド脱退とREJOIN その先に求めるドラミング像〜

    • 取材/文:村田誠二 撮影:八島 崇、関川真佐夫(スネア)

    日本のソウル/R&Bシーンのパイオニアの1バンドとして、1990年台後半に頭角を現したSkoop On Somebody。2021年末、約12年半に渡りバンド活動から離れていたドラムのKO-HEYが“REJION”し、再び3人体制となった彼らがアルバム『1997』をリリース。ドラム・マガジン2023年1月号では連載『歌とドラム』にてKO-HEYとヴォーカルTAKEの対談が実現したが、WebではKO-HEYのソロ・インタビューを掲載! さまざまな経験を積んで今感じる自身のドラミングについて話を聞いた。

    ある日突然、頭の中に全部の音が鳴る
    それを一気にスケッチしていく
    そんなときに手数フレーズは出てこない

    ギャドソンと青純さん
    パーディとポンタさんがかぶるんですよ

    ●KO-HEYさんがブラック・ミュージックに早くから傾倒していたのは、本誌で語っていただいた通りですが、どんなドラマーが好きだったんですか?

    KO-HEY 本誌でもお話しした通り(リズム&ドラム・マガジン2023年1月号にてヴォーカルTAKEと「歌とドラム」対談に登場)、JB(ジェームス・ブラウン)とかも聴いてはいましたけど、やっぱり、こりゃヤベェなと思ったのはジェームス・ギャドソンなんです。マーヴィン・ゲイのアルバムはひと通り聴き漁りましたけど、歌ものの中で、あんな感じで“ビターーー”ってシックスティーン(16ビート)を叩きつつ、あんなタイム感でスネアを叩いて、絶対的なグルーヴを支配してる。だから僕の中で、青純(青山 純)さんとギャドソンがかぶるんですよ。

    あとはバーナード・パーディですよね。で、僕の中でパーディはポンタさん(笑)。やっぱり多彩なフィルがあって、全部歌ってるっていう感じ。あと、(スティーヴ)フェローンは基本的に大好きです。やっぱりあの人も″タイム感″ですよね。みなさんに言えることですけど、あんなふうにグルーヴできたら素晴らしいですよね。普通は、″通常運転″のときならまだしも、フィルなんか行ったらそれまでキープしていたものがガタガタに崩れちゃいますからね(笑)。

    そういう意味では、最初の入り口で高橋幸宏さんが大好きだったことと大きく関係しているんでしょうね。すごくタイトで揺るぎなくて……それは″正確に叩く″っていう意味じゃなくて、″具合いがいい″っていう(笑)。やっぱりそういう人に憧れますね。僕が好きな人は、有名無名に関わらず、スネアの位置が似てるというか。一度、ギャドソンのクリニックに行ったんですけど、目の前で叩いているのを見たら、(腕を)落としてるだけなんだけど、同じ強さでも″スピード″が全然違う。何しろ音が速いんですよ。

    突然頭の中に音楽が鳴る
    プレーヤーのPLAYボタンを押して
    1曲目がかかるくらいの感じです

    ●そして本誌でも、KO-HEYさんは作曲、アレンジもするという話を伺いましたが、作曲をすることってドラミングに大きな影響を与えるのではないかと思うんです。

    KO-HEY 確かにそれもあるとは思いますけど、僕は自分に甘い。自分自身が曲を作るときって、「ドラムはこのくらいの感じでええねん」っていうところでスタートしますから……要は、自分の曲のビートには、自分の能力を超えるようなことは求めてませんから、逆にKO-ICHIROさんの曲で、キメに合わせるフィルを要求されたりとか、人様がアレンジしてくださったものの方が自分の幅を広げてくれますよね。

    ●Skoop On Somebody(以下、Skoop)では、どのようにアレンジを煮詰めていくんですか?

    KO-HEY それぞれがデモを持ち寄るんですけど、新作『1997』で言うと、「LOVIN’ YOU」、「SUPER SHINING」、「Good Night Babe」、「Don’t worry it doesn’t matter」「Hooray Hooray」は僕が(ドラム・アレンジまでして)デモを作って持っていきました。あと、「GOOD TIME」も最初のデモは僕が作って(Ovallの)Shingo(Suzuki)君に編曲してもらったので、Shingo君に「こんな感じで叩いて」って言われて叩いた感じですね。

    ●曲を作るときは、やっぱり同時にリズムが鳴っているんですか? それともリズム・パターンから作り始めたり?

    KO-HEY 僕は全体が頭の中に鳴らないとできないタイプなんですよ。何か1つモチーフがあってそれを発展させていくというより、ある日突然、頭の中に全部の音が鳴る。それをブワァっとスケッチしていくんです。だから、1週間くらい放っておいてもらって(笑)、自分を全部その(曲を書く)モードに持って行って、頭の中に鳴っているものを一気に形にしていく感じです。

    ●例えばどういうときに頭の中で音が鳴るんですか?

    KO-HEY やっぱり運転してるとか、景色が変わっていくようなときの方がいいみたいですね。コンピュータの前に座ってじぃっと考えて、なんて絶対に無理です(笑)。

    ●全体が一気に見えるって、どんな感じなんですか?

    KO-HEY 普通にCDプレーヤーにCDを入れて、PLAYボタンを押して1曲目がかかる、くらいの感じです。

    ●えーー!? そこまでできているんですか?

    KO-HEY だから1曲として全部鳴ってる状態ですね。それがサビからのときもあれば、イントロから始まるときもあったりしますけど、始まったらずっと1コーラス分くらい鳴ってて、「あっ!」と思って、それを一生懸命形にするんです。

    でも、なかなか思い通りの形にならないときもあって、やっぱりそんなときに(ドラムが)“ブルルルルルルルルルルッッ!!!”みたいな(手数の多い)フレーズは出てこないですよね(笑)。(頭の中で鳴っているのは)普通によくかかってる音楽のリズムですから。そういう意味で、″自分を甘やかしてる″って言ったんですけどね。

    ●だからこそKO-HEYさんのドラムは″自然″なんですね。つまり、本誌でも語っていた″歌ものだったら普通こうだろ″という自然なフレーズ、グルーヴ、流れ、展開になっていると思いました。

    KO-HEY 僕だって、理想を言えばスナーキー・パピーみたいなことしたいですよ(笑)。すごく難解なこと(笑)。いずれはね。

    Skoop On Somebody
    (L→ R)KO-ICHIRO(key)、TAKE(vo)、KO-HEY(d)

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