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【Report】JAPAN LATIN MUSIC FESTIVAL 2022 “TIMBA”@渋谷ストリームホール
- 撮影:suguta、阿部憲護
- 取材&文:佐藤 健(ファンカッション)、大同隆太
B.M.O designed by Yamakita Kenichi
【MEMBERS】
山北健一 (Conga)、Pepe福本 (Conga)、篠奈々子 (Conga)、吉本ヒロ (Conga)、
ひごたくみ (Conga)、工藤明 (Drum)、シンサカイノ (Bass)
(https://timba-festival.com/artists/bmo/)
5人の奏者がユニゾンで展開するコンガ
山北健一の実験的アイディアに称賛を送りたい
ドラムとベースが入ってはいるが、あくまでメインは5人の奏者がユニゾンで展開するコンガ。通常のラテン・アンサンブルでは、コンガ、ボンゴ、ティンバレスをはじめ、種類の違う楽器が組み合わさってリズムが成立する。だが、同グループのリーダー=山北健一は、逆に考えた。“コンガだけのユニゾンで演奏すると面白いのではないか”と。
スラップ、オープン、ベースなどの奏法の他、左右の手順まで譜面で指定しているものを全員で完全にユニゾンで演奏していく。それはマーチング・バンドのスネアと同じコンセプトだ。ラテン音楽が演奏されてきた中でコンガ・ソロは、もちろんあった。だが、今回のような、言わば“コンガ・ライン”は今までなかっただろう。もちろんそれは、キント、コンガ、トゥンバドーラを3人で分けて演奏するのとは別の話だ。
プレイヤーとしての目で見れば“とにかく覚えるのに大変だっただろう。よく譜面なしでやれるな”と、まず思った。音程がないので簡単だと思う人もいるが、パーカッションは音程がないから覚えるのが大変なのだ。ともかく、山北健一の実験的アイディアに称賛を送りたい。(佐藤)
肌が痺れるようなスラップの音
奇数割りの複雑かつ一糸乱れぬコンガ・アンサンブル
ステージ上にはコンガが何と12台! 横一列に並ぶ姿は“コンガの展示会”といった様相で、5名のコンガ・プレイヤーが各々チューニングを終わらせると、割れんばかりの拍手に迎えられて山北健一が登場。誰もが今から始まるコンガ・アンサンブルに期待を膨らませる中、ライヴがスタートした。
山北の合図でパフォーマンスが始まると肌が痺れるようなスラップの音、そして奇数割りの複雑かつ一糸乱れぬコンガ・アンサンブルに会場はリズムの濁流に飲み込まれた様子。そしてドラムとベースが加わると、音の空間が広がって非現実的な世界観がフロアを包み込み、時間の感覚を奪われるような、その場にいる全員が山北ワールドに引き込まれた。(大同)