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    【Report】JAPAN LATIN MUSIC FESTIVAL 2022 “TIMBA”@渋谷ストリームホール

    • 撮影:suguta、阿部憲護
    • 取材&文:佐藤 健(ファンカッション)、大同隆太

    Emi Mefa

    【MEMBERS】
    マドコロナオヤ、岸岡太郎、Yasuji、URI、亀崎ヒロシ、関 弘太
    https://timba-festival.com/artists/emi-mefa/

    完全生打楽器のグループ
    6人のバタ奏者による演奏と祈りとしての歌がすべて

    バタ・アンサンブルのEmi Mefa。バタはもともとアフリカ(ナイジェリア)起源の宗教で使われる打楽器だが、今ではキューバがそれを踏襲して宗教儀式に伴い使われているという。バタを教わること自体で入信する必要はないが、現地の儀式で実際に演奏するためには入信してその許可を得る必要があるとのこと。ちなみに女性は儀式においてバタを叩くことはできないが、男性メンバー(SiNGO含め)全員が実際の儀式で叩いた経験があるそうだ。
    Emi Mefaの演奏は、6人のバタ・プレイヤーによる演奏と祈りとしての歌がすべてであり、この日の出演者の中ではトップ・バッターの Ventu Rumbero と共に完全生打楽器グループだ。元は宗教儀式に伴う演奏であり、エンターテインすることを目的としていないのでキャッチーな仕掛けなど用意されていない。何となく始まるわけだが、聴いていると段々と引き込まれて集中していく。例えるならゴスペルがそうであるように、次第に高揚感が増していくのだ。もちろんゴスペルのような楽曲ではないので、タイコの音数、音量と歌によってトランスに近いイメージの高揚感である。
    日本にも、遥かキューバまで出かけ、宗教的指導や許可を得てバタを演奏する人達がいる。その探究心と真剣さは称賛されるべきだろう。(佐藤)

    その独自性とポリリズムの音楽性の高さ
    そしてバタの美しい音色に
    どこか不思議な世界に誘われた感覚に包まれる

    日本を代表するアフロ・キューバ系アーティスト達によるスペシャル・ユニット、Emi Mefa。打楽器と歌のみの6名という構成で、その中でもキューバで発展を遂げた、バタ(Bata)と呼ばれる3つの大きさの太鼓が音楽の中心的役割を担うのだが、オーディエンスは、その独自性とポリリズムの音楽性の高さ、そしてバタの美しい音色に、モンタード(Montado、スペイン語で神様が乗り移る、一種のトランス状態)のような、どこか不思議な世界に誘われた感覚に包まれる。
    ちなみに、キューバの民間信仰(特定の教祖を持たない地域共同体に機能する庶民信仰)には“サンテリア”と呼ばれる儀式があり、彼らはその儀式に欠かせない音楽と踊りをステージで披露しているのだが、それぞれの神様にはそれぞれの音楽があり、太鼓は神様達と交信するためにあって、踊り手はサンテリアの神様が憑依すると言われており、その音楽に合わせて一心不乱に踊るのだ。
    終盤にはSiNGOがピアノで飛び入り参加し、妖艶なプレイを披露。“リズムの根源”とも言われるバタの演奏は、メンバー6人の魂が混じり合い、時間の感覚を奪い去ったようにも感じた。(大同)