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Column – アプリで変わるドラム・ライフ Gadget for Drummers ♯4

  • Text:Makito Yamamura Photo:milindri(iStock) Illustration:PCH-Vector(iStock)

みなさんこんにちは! ドラマーに役立つガジェット周辺情報ということで、前回までスマホで使えるメトロノームとその進化形を紹介していきました。一定のテンポでガイド音を出してくれるものとはいえ、練習や演奏に活用しやすい機能まで含めると多種多様なアプリがありますね。今回は、ドラマーの疑問質問にあがることの多い“チューニング”に関するアプリを取り上げます。

Vol.04 チューニングに役立つアプリ

動物の革を縄で縛ったようなパーカッション類や、日本の和太鼓のようなものはともかく、今現在、ドラム・セット・プレイヤーであれば、演奏を続けて古くなったスティックやヘッド、スナッピーを交換することは常識的に行われ、楽器もそれを前提とした構造になっています。そして今では、曲に合ったサウンド、より心地良いサウンドを求めてヘッドの種類を変えたり、チューニングを工夫することがよく行われます。

また、演奏する会場での音の響き方によって調整することもめずらしくありません。そんな中、初心者の方であれば、まず楽器単体として、なーんか良い音にならないなぁ、ヌケが悪い、音が詰まる、ビヨ~ンとおかしな余韻が出てしまうなど、そういったところでつまずきやすいように思います。そんなときに、ちょっと助けが欲しくなること、多いのではないでしょうか。

チューニング・ツールとしては、ヘッドのテンション(張力)を計測したり、ドラムに取りつけて使う機器はありましたが、スマホのマイクを利用してチューニング・マシンに変えてくれるアプリを、ここでは紹介していきます。

■Drum Tuner – iDrumTune Pro/RT Sixty Ltd(iOS版:730円 Android版:700円)

ドラムは余韻も短く倍音も複雑で、またテンション・ボルトが複数あり、そこに特化したものがドラム・チューナーと言って良いかと思います。このアプリでは、マイクで拾った音の音程表示、ラグの数に合わせた表示、打面とボトム・ヘッドの関係、スペクトラム・アナライザ(周波数分布を表す)、ドラム・セットとしてのキット・バランス、チューニング・ヒント(英文)と機能盛りだくさんです。使ってみると、反応も良く、チューニング・キーでボルトを回しながら音の変化を耳と目で確認しながら、いわゆる均等に張るということはすごくラクにできることが多くありました。

スネア、タム、バス・ドラム、それぞれ音域が違うので、プリセットからチューニングする楽器と同じものを選び、“Target Filter”で解析範囲をフォーカスすることで、精度や表示の安定度は上がっているように思います。実際、スタジオでかなり使い込まれ、ヘッドがクタクタになってご機嫌斜めになったようなタムも、試しに数字だけを頼りにチューニングしてみたら、思いの外バランスが良くなって、そこから耳で微調整する方が効率的と感じる面もありました。

Drum Tuner – iDrumTune Pro Apple Android

■Drumtune PRO┃Drum Tuner/Bram Van den Broeck(iOS版:980円 Android版:無料/App内課金あり)

スマホを近づけながらスティックでヘッドのエッジを叩いているアニメーション、ドラマー目線のチューニング・キーやタイコの画像など、インターフェースがわかりやすいですね。マイクからの波形が常に流れており、音を拾うと周波数を表示。その音を基準としてセットすれば、次の音からはそれより高いか低いかの差分で表示してくれます。サクサクとチューニングを進めていくための直感的な使い勝手を良くしようとしていますね。

前述のアプリと名前がよく似ており、ある意味どちらもドラム専用チューナーではありますが、レコーダー、メトロノーム、チューナー、ドラム・セットでのプリセット管理、チュートリアルなど、また別の方向に多機能なアプリです。チュートリアルには、ラグ数によるボルトを回す順番、音程のガイド、サイズごとの一般的な音域レンジの表示の他、ノイズ測定機能、基準音など、かなり盛りだくさんです。

Drumtune PRO┃Drum Tuner Apple Android

■Drum Tuner EZ/Bram Van den Broeck(iOS版:370円)

こちらは前述のアプリと同じ開発者のようですが、アプリの価格はよりお手頃で、使ってみれば実に単純明快! “HIT”と表示され、音を拾うと周波数と波形がシンプルに表示されます。まさにチューナーといったシンプルさですが、ラグ数の設定は4~10まで設定できるところは、やはりドラム専用としての仕上がりでしょうか。

 個人的には、こうしたツールを使わずにチューニングをしてきた世代(?)ではあるので、自分でサクッとチューニングしていて“う~ん、ちょっと気になる……”と思ったときに、これで確認しながら調整するような使い方が快適だなと思いました。新しいセットを手に入れたとき、ヘッドのバリエーションなど、スタジオにセットを持ち込んでじっくり音作りしたいときには、前述の2つのようなアプリも良いですが、リハーサルやライヴでサクッと進めたいときに実に軽快に使えると思います。

Drum Tuner EZ Apple

チューニング・アプリの比較

今回、3つのアプリを試す中で、個人的にはスマホを近づける距離はどこまで厳密か、アプリによる解析結果の違いはあるか、を気にしておりました。普段は左手でスティック、右手でチューニング・キーなのですが、左手がスマホで塞がれるとどうなるか……。

結果としては、やはり集音したい場所に近づけたほうが音程表示が若干安定するかなとは思ったので、まずスマホを持ってエッジを一周するのが手っ取り早く、“なるほど、各アプリにラグ数に応じた表示があるのはそのためなのかもしれないな”と感じました。

また、同じスネアを違うアプリでというのも試しましたが、その差はほとんどないと感じています。ドラム専用チューナー以外でも音を拾ってくれるアプリはあるようですが、これまた種類も多く、また調査を進めてみたいと思います。

今回紹介したアプリでも、これだけたくさんの機能があると、“パーフェクトなチューニングにしないとアカン!”、“チンプンカンプンだ! ただでさえわからないチューニングがさらにわからん!”と強迫観念も湧いてきますが、まずはいきなり自分でチューニングをするのではなく、スタジオや練習室などにあるドラムの“これ、良い音だな”と思うものを、これで計測してみることをオススメします。

まとめ

ドラムのチューニングはギターなどのように音階を演奏する準備としての音程合わせとは多少意味合いが違います。まず、きちんとヘッドを張る→楽器のダメージを少なくする→楽器としてのベスト・ポイントに調整する→スタジオや会場に合わせた音量や響き→曲や演奏ジャンル、奏法に合わせたセッティング→より個性的なサウンドの模索、などいろいろな段階や目的があります。そして叩き方によって変わる部分も大きいので、ドラマーにとってはチューニングも演奏の一部ではあるかもしれません。

未来にはチューニング・ロボットや、自己調律機能つきドラム・セットなんてものも登場するかもしれませんが(笑)、こうしたツールを使って、物理的、数値的な解釈を確認することで、自分のチューニングを見直したり、他者との違いを知ることができるのはとても有効だと思います。みんなで活用してドラマーのフィードバックが集まれば、ツールもさらに進化するのではないでしょうか!

Gadger for Drummers

Vol.01 ドラマー“必須”のメトロノーム・アプリ!
Vol.02 ドラマーの練習お役立ちアプリ!
Vol.03 変拍子を扱えるメトロノーム&ガイド・アプリ
Vol.05 楽しく叩くためのモチベーション&インスピレーション・アプリ

◎Profile
山村牧人(Makito Yamamura):ドラム・マガジンでライター・デビュー。セミナー記事や教則本出版、ドラム教室、専門学校、音大のレッスンを通して数多くのドラマーを輩出。リズム教育研究所、尚美ミュージックカレッジ、横浜ミュージックスクール非常勤講師。



◎Information
山村牧人 Twitter

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