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Column – アプリで変わるドラム・ライフ Gadget for Drummers ♯2

  • Text:Makito Yamamura Photo:milindri(iStock) Illustration:PCH-Vector(iStock)

みなさんこんにちは。前回からスタートしたドラマーのためのデジタル・ガジェット周辺コーナー、前回のメトロノームに続き、今回はメトロノームから機能拡張された「ドラマーの練習お役立ちアプリ」を紹介します。さまざまなアプリが、それぞれに切り口を持って作られています。自分に合ったものを見つけてください!

Vol.02 ドラマーの練習お役立ちアプリ!

前回は、メトロノーム・アプリを抜粋して紹介しました。メトロノームのアプリはスマホ登場後、いろいろなものが出てきて、今では数えられないほどあります。一定のパルスを流すという機能を軸に、音を変える、分割する音符を鳴らす、表示を変えるなどのオプションに加え、そしてさらに他の何かが連動するというふうに、アプリも進化していますね。

この記事が公開される頃には、多少緩和されているかもしれませんが、今年は新型コロナの影響で自粛生活を余儀なくされ、ドラマーにとってはなかなか厳しい環境ではありますが、こんなときこそ基礎を磨くのも良い開き直りだなと思いました。そこで今回は、進化形アプリの中でも、練習に便利なアプリを取り上げてみようと思います。

■SYNKD/Flamadiddle Inc.(480円/App内課金あり)

高機能メトロノームでは、4分音符だけでなく、8分、3連、16分音符などの分割音符、アクセントやサウンドなど設定が可能です。このアプリはさらに拍ごとに音型やアクセントを設定し、フレーズを作っていく感覚で、その譜面を見て音を聴きながら練習に使えます。基礎練習や正確さを磨くトレーニングにおいて、譜面に慣れていない人でも、この譜面はどんなリズムになるんだろう?といったときにもこれで確認できるでしょう。実際に使ってみると、シンプルで良いです。長年ドラム講師をやっている立場から言っても、本当にオススメです。

同様に音型を作れるアプリは他にもまた良いものがありますが、このアプリの良いところは、これが練習課題のプラットフォームになることです。自分で作ったものはもちろん、著名ドラマーが作ったトレーニング音型(有料で提供されている)など、さまざまな音型トレーニングのアイディアがこのアプリの中で共有できるという点です。かつてボクらは、ドラム界の必須と言われた著名教則本から学んだものですが、そうしたことが、このアプリの中で展開されていくこともあるかもしれませんね。

SYNKD Apple

■Rec’n’Share/YAMAHA Corporation(無料:本来はEAD10のための専用アプリ)

このアプリは、YAMAHA EAD10という生ドラム用録音機材のために作られたものですが、無料かつ単体でも使用可能、そしてその範疇でも非常に便利です。ヤマハには、曲のデータを解析し、テンポ、小節、コード進行を表示してくれる“Chord Tracker”(iOS, Android/無料)という優れたアプリがあり、そうした解析技術を使って、練習したい曲を読み込み、テンポを割り出してクリックを自動でつけてくれて、なおかつそのテンポを遅くしたり速く再生して練習、EAD10とドラムセットがあれば、自分の演奏を録音して、それをシェアもできるというものです。

自動解析の精度も高く、テンポを倍/半分で捉えるなど、あとから変更可能です。試しに手持ちの曲でドラムがあまりパターン化していない曲も試しましたが、しっかり拍を捉えていました。この先、“耳コピに役立つアプリ編”も予定していますが、そのカテゴリに入れても良いほどです。

Rec’n’Share Apple Android

Drummer ITP/RT Sixty Ltd(250円)

上記2つのアプリはメトロノーム+譜面のメリット、曲にカウントをつけて自在に再生というメリットでした。このアプリは、いよいよあなたの演奏の精度を上げるツールになるでしょう。テンポを設定しスタートボタンを押すと、メトロノームが鳴り始めますが、このとき、マイクから音を拾っていて、叩いた音が波形となって可視化され、打点の正確さ、安定度、音量のバラつきなどの診断結果が表示されるのです。

マイクはスマホから出るメトロノームの音自体も録音してしまうので、ヘッドフォンなどを使うとよりシビアでしょう。以前から、打数をカウントするとか、ミスや精度をチェックする機械などはありましたが、スマホでできる手軽さが良いですね。

また、ルーディメンツの設定ができ、録音中も譜面や手順が表示されます。R、Lの表示がリアルタイムで変わるのは、何だか役に立つのか微妙なところもありますが、左右片手だけの精度、オルタネートの精度をチェックするだけでも、かなり練習の効果を上げることに役立てられると思います。

Drummer ITP Apple

ガジェットを活用してドラムを楽しもう

昔から、練習するときはメトロノームやクリックを使うこと、叩いた音を録音して確認すること、とよく言われていました。そして、リズム・パターンやフィルインなどフレーズだけでなく、基礎音符、音型の練習もさまざまな練習法にアレンジされて、ドラマー達が演奏の向上を目指してきました。

そうした要素がアプリになって出てきていることは、昔であれば教則本を探して買いに行き、録音機材を準備し、ともすればパソコンを用意して波形でチェックする……それが今やスマホと、安価なアプリで実現できる……。便利だなと思いますし、さらに、今まで思いつかなかった練習法やチェック法も出てくるかもしれません。それはやはりこうしたガジェットを利用した人が感じるインスピレーションだと思います。ガンガン使ってドラムを楽しみましょう!

次回予告

今回は、自粛生活の中でも練習をさらに楽しく効果的にしてくれるアプリを紹介しました。他にもたくさんありますが、まずはこのあたりを入り口にして、興味のある人はどんどん試してみましょう。そしてアイディアができたら、ソフトを作っている人にアイディアを送るのも良いでしょうし、私の知り合いのドラマーは自分でアプリを作ったりもしています。

次回は、やはり現代のドラミングに欠かせない“変拍子”にアプローチするためのアプリを取り上げたいと思います。みなさんもご自慢の面白いアプリやガジェットがあったら、こっそり教えてください(笑)!

◎Profile
山村牧人(Makito Yamamura):ドラム・マガジンでライター・デビュー。セミナー記事や教則本出版、ドラム教室、専門学校、音大のレッスンを通して数多くのドラマーを輩出。リズム教育研究所、尚美ミュージックカレッジ、横浜ミュージックスクール非常勤講師。



◎Information
山村牧人 Twitter

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