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    アコースティックエンジニアリングが手がけた“ドラムが叩ける”プライベート・スタジオ Archive #14[東京都 石橋さん宅]

    • Photo:Masao Sekigawa/Text:Isao Nishimoto

    スタジオやライヴ・ハウスなどの防音/音響工事を行う専門業者、アコースティックエンジニアリングが一般住宅に施工したドラム用防音室を紹介している当連載。普段は注文住宅に防音室を作った事例を取り上げることが多いが、今回訪ねた東京都の石橋さん宅は、建売住宅の一部屋をスタジオにリフォームした事例。こうしたケースは決してめずらしくなく、建売でも満足度の高いドラム室を作れることを、あらためて実感するケースとなっている。

    常にアコースティック・ドラムを叩ける
    環境があるというのは本当に最高です

    建売購入&リフォームで
    自宅スタジオを作る利点とは

    2年前に入手したマイホームに防音室を作り、ドラムのある生活を満喫している石橋さん。ドラムを始めたのは中学生の頃で、当時はアコースティック・ドラムを叩ける環境だったという。

    「父の仕事の関係でマレーシアに住んでいたんです。コンドミニアムと呼ばれるマンションのような物件で、絶対隣に聴こえていたと思うんですけど、ドラムを叩いても大丈夫でした。その後イギリスで暮らした時期もあって、そのときも不思議なことに家で叩けたんです。隣には高齢のご夫婦が住んでいて、文句が来ないどころか『全然OKだよ』くらいの感じ。文化の違いかもしれませんね」

    そんな石橋さんも、帰国後はさすがに家でアコースティック・ドラムを叩くことは叶わず、電子ドラムで練習していた。

    「大学生の頃は友達とバンドを組んで週1でスタジオに入っていたので、電子ドラムでもそれほど不満はありませんでした。卒業後は就職先がバラバラになってバンドは続けられず、セッションで演奏できるお店に一人で行って叩いたり……それも仕事が忙しくなってくるとだんだんやらなくなってしまって」。

    よくある話である。それでも結婚して子供が生まれ、持ち家を考えたときに、家でドラムを叩ける生活への思いが再燃した。

    「この連載も昔から読んでいて『いいなぁ』と思っていました。それで、注文住宅で1から作る方が自由度の高いスタジオができるんだろうなと思っていたんですけど、建売を買って改装するのも良いのではと思い、まずはこの家を購入し、そのあとアコースティックエンジニアリングさんに相談したんです」。

    ▲約4.6畳の細長いスペースにドラム・セットがぴったり収まった石橋さんのスタジオ。壁と天井を明るいトーンでそろえ、彩光用の窓もあるため、実際の広さ以上に開放感を感じさせる部屋になっている。既存の部屋の改装ではあるが、建物竣工時の図面がすべて揃っていたおかげで、高さ関係などの詳細も工事前に把握でき、スムーズな工事が可能だったという。

    実際、設計から完成まで膨大な決め事がある注文住宅に比べて、建売住宅は買ってすぐ住めるという手軽さがある。もちろん費用面のメリットは言うまでもない。ドラムを叩ける家が欲しい人にとって、現実的かつ有力な方法として検討できる選択肢だ。

    「スタジオに改装するのも3〜4ヵ月、もしかしたら半年くらいはかかるかなと思っていたら、1ヵ月くらいでできると言われてビックリしました。結果的に、とても良い形で防音室を手に入れることができたと思います」

    ▲ドラムの前の壁は、吸音パネルの間に広めの反射面を用意。気持ち良くドラムを叩ける適度な響きを実現しながら、将来マイクを揃えてレコーディングを行う際、セッティング次第で録り音にバリエーションをつけられるようにしている。
    ▲防音室の完成に合わせて購入したドラム・セットはDW(コレクターズ・メイプル)+マイネル(バイザンス・トラディショナル・シリーズ)で構成。「最近は、よりドライな音のシンバルにも興味が湧いています」と石橋さん。

    近隣はもちろん家族に対しても
    気兼ねなく思いきり叩ける環境

    もともとあった部屋にドラム・スタジオ仕様の施工を行い、やや細長い空間になっている石橋さんのスタジオ。それでも、どんなドラム・セットを置くのかを事前に伝え、必要なスペースを正確に割り出した上で過不足のない広さが確保されている。

    「とりあえずアコースティック・ドラムを叩ければいいと思っていたので、これでも全然広くて余裕があると思ってます」

    遮音性能も申し分なく、設計段階で保証した以上の数値が出ているという。

    「僕がここで叩いていても、別の部屋にいる家族はまったく気にならないそうです。念のため、隣の家の人にもドラムを叩くことは伝えてあるのですが、何も言われたことはありません。だから思いきり叩ける環境ではあるんですけど、自分が忙しくてあまり叩けていないというのが実態です(笑)」。

    ▲長方形の細長い部屋だが、ドア側を斜めにするなど形状を整え、不自然な響きを生む定在波の発生を抑えている。屋外に面した3方向は近隣住居から距離があり、音漏れの心配が少ないのもポイント。上階への遮音も十分で、気兼ねなく演奏を楽しめる。

    それでも、テレワークの合間の休憩時間に練習したり、現在習っているドラムの先生にオンラインでレッスンを受けたりと、自宅ならではの使い方を楽しんでいる石橋さん。今後はどのように活用していきたいかと尋ねると、こんな答えが返ってきた。

    「いろいろな用途に使えるようにスピーカーもつけてもらいましたし、将来的にはマイクを立ててレコーディングもしてみたいです。妻がサックスをやりたいと言っているので、その練習にも使えますね」。

    ▲ドアとドラム・セットの間にはソファが置かれ、ドラムを叩く石橋さんを奥様とお子様が見守ることもあるそうだ。
    ▲出入口は木製防音ドア×2枚。遮音施工で天井が低くなったのを補いつつ、音響面と快適性の面で十分な天井高を確保するために床を20cmほど下げている。

    さらに、現在3歳だというお子様の話題になると表情がほころんだ。

    「いつか隣にミニ・キットを置いて、2人で並んで叩けたら楽しいでしょうね。でも、ドラムじゃなくても何か楽器に興味を持ってくれたら、それだけでうれしいです。とにかく、常にドラムを叩ける環境があるというのは自分にとって最高のこと。防音室を作ってもらって本当に良かったです」。

    父親の仕事の関係でマレーシアに住んでいた中学時代、日本人学校の友人達とX JAPANのコピーからドラムを始める。「初めてコピーした曲は「WEEK END」。LUNA SEAの「STORM」もやりました」。その後、中3~高3をイギリスで過ごして帰国。大学時代の4年間はバンド活動に熱中しながら、菅沼孝三ドラム道場で学んだ時期もあるそうだ。「フュージョンやゴスペル系の音楽も好きです。今も定期的にレッスンを受けています」。

    アコースティックエンジニアリングとは?

    株式会社アコースティックエンジニアリングは、音楽家・音楽制作者のための防音・音響設計コンサルティングおよび防音工事を行う建築設計事務所。1978年に創業して以来、一貫して「For Your Better Music Life」という理念のもと、音楽家および音楽を愛する人達へより良い音響空間を共に創り続け、携わった物件の数は2,000件を超えている。現在も時代の要請に答えながら、コスト・パフォーマンスとデザイン性に優れ、「遮音性能」、「室内音響」、「空調設備」、「電源環境」、「居住性」というスタジオの性能を兼ね備えた、新しいスタイルのスタジオを提案し続けている。

    株式会社アコースティックエンジニアリング
    【問い合わせ】
    TEL:03-3239-1871
    Mail:info@acoustic-eng.co.jp
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