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    11月21日開催「DW × Roland Drum Showcase」|ライヴ、展示・試奏から辿るDW革新と進化の歴史 

    • Text:Takuya Yamamoto(History)

    アメリカを代表するドラム・メーカー、DWの魅力を多角的に体感できるイベント「DW × Roland Drum Showcase」が、11月21日(土)にYOKOHAMA COAST garage+で開催される。

    DWを愛用するトップ・ドラマーによるスペシャル・ライヴ・パフォーマンスをはじめ、ブランド・マネージャーがDWの歴史を紐解く「DW Brand Story」、貴重なドラム・セットの特別展示、DW製品の展示・試奏などを通して、そのクラフトマンシップとサウンドの魅力を体感できるイベント。日本でDW製品の販売とプロモーションを担うローランドとのコラボレーション企画となり、Vドラムも展示される。

    ■Contents

    01|DW × Roland Drum Showcase
    豪華DWドラマーが集結! ステージ・プログラム

    02|Terry Bozzio Drum Set
    テリー・ボジオの巨大ドラム・セットを特別展示!

    03|DW Products
    DWのドラム&ハードウェアを試奏|Slingerland & Vドラムも展示

    04|History of DW Innovations
    製品から探るDW技術革新の歴史

    05|Inside the DW
    ジョン・グッドが語るDW革新と進化の歴史

    ロック・シーンを担う
    豪華DWドラマーがステージを彩る

    ステージに出演するドラマーは、4月にメジャー・デビューを果たし、大型フェスにも出演するNELKEのKei、GACKT YELLOW FRIED CHICKENzの新ドラマーとして屋台骨を支えるHIDEHIRO、そして今や世界を舞台に活動するcoldrainのKatsuma。いずれもDWのドラムを愛用し、ロック・フィールドで存在感を放つ彼らがスペシャル・パフォーマンスを披露する。

    また、DWブランド・マネージャーのScott Donnellも登壇。DWのブランドと製品を熟知する彼が、その歴史やものづくりを紐解く「DW Brand Story」を担当。DWのクラフトマンシップを直接聞く、貴重な機会になるだろう。

    Scott Donnell[DWブランドマネージャー]

    ◉ステージ・プログラム

    ・Special Live Performance:Kei[NELKE]
     13:00〜13:30

    ・Special Live Performance:HIDEHIRO[GACKT YELLOW FRIED CHICKENz]
     14:15〜14:45 

    ・DW Brand Story:Scott Donnell[DWブランドマネージャー]
     15:15〜16:00

    ・Special Live Performance:Katsuma[coldrain]
     16:30〜17:00

    テリー・ボジオの
    巨大ドラム・セットを特別展示!

    そして特別展示として登場するのが、テリー・ボジオのドラム・セット。4つのバス・ドラムに無数のタム、シンバルを組み合わせた、圧倒的なスケールを誇る「多点要塞キット」を間近で見ることができる。独自の音楽性と演奏スタイルを追求する中で生まれた、ボジオならではの巨大セットをじっくりチェックできるのはもちろん、その圧巻のセットをバックに撮影できるフォト・スポットとしても楽しめそうだ。

    DWのドラム&ハードウェアを試奏
    Slingerland & Vドラムも展示

    展示・試奏ブースには、DWを代表するCollector’s Seriesをはじめ、アコースティックとエレクトロニックを融合したDWe、PDPのConcept Acrylic、さらにDW傘下で復活を果たしたSlingerlandのRadio King Outfitと、多彩なドラム・キットが集結する。

    DW Collector’s Series SSC Maple
    DWe
    PDP Concept Acrylic Kit
    Slingerland Radio King Outfit

    スネア・ドラムも各種展示される他、フット・ペダル/ハードウェアでは、長年に渡って多くのドラマーに愛用されてきたDW9000、DW5000に加え、ダイレクト・ドライヴ・ペダルのMDDもラインナップ。実際に踏み比べながら、それぞれのフィーリングの違いを確かめることができる。今年発表されたばかりの9000Xシリーズのハードウェアも展示される。

    さらにローランドからは、V-Drums Acoustic Designのフラッグシップ・モデル、VAD716を展示。アコースティック・ドラムからエレクトロニック・ドラム、ハードウェアまで、DWとローランドが展開する多彩な製品を実際に見て、叩いて、そのサウンドやフィーリングを体感できるブースとなる。

    VAD716

    そして当日は、数多くのDWドラムを所有し、レコーディング現場などで活躍するドラム・テック、佐藤文耶氏が試奏ブースに常駐。DWドラムの特徴はもちろん、セッティングやチューニングについてなど、プロのドラム・テックならではの視点から直接話を聞くことができる点も、本イベントならではだろう。

    「DW × Roland Drum Showcase」公演概要

    ◉日時
    2026年11月21日(土)12:00〜17:30

    ◉会場
    YOKOHAMA COAST garage+
    YOKOHAMA COAST garage+ 公式サイト

    ◉アクセス
    横浜駅みなみ東口通路直通/横浜駅東口より徒歩2分
    アクセス詳細

    ◉チケット
    https://livepocket.jp/e/dw_roland
    2,200円(税込)

    詳細はこちら

    「DW × Roland Drum Showcase」を
    さらに楽しむために

    ここまで紹介してきたように、「DW × Roland Drum Showcase」では、ライヴ・パフォーマンスや展示・試奏などを通して、現在のDWをさまざまな角度から体感することができる。では、世界中のドラマーから支持されるDWは、どのようにして現在の姿へと進化してきたのだろうか。ここからはイベントをより深く楽しむために、まずは半世紀以上に渡るDWの歩みを、数々の製品とその革新的な技術から振り返っていこう。

    *以下の内容はリズム&ドラム・マガジン2022年10月号掲載の記事に、新規内容を加えて再構成したものです。

    History of DW Innovations
    〜製品から探る技術革新の歴史〜

    1972年、カリフォルニア・サンタモニカの小さなドラム・ショップからスタートしたDWは、試行錯誤を重ね、現在ではドラムからハードウェアまでを自社で手がけるアメリカを代表するメーカーへと発展を遂げた。「DW × Roland Drum Showcase」では、そんなDWの歩みを物語るさまざまな製品も展示される。そこでここからは、これまでに発表されてきた製品から、DWの技術革新の足跡を辿ってみたい。

    スタンダードとなったフット・ペダル

    1972年、Don Lombardi(ドン・ロンバルディ)によって、カリフォルニア州サンタモニカに設立されたドラム教室、”The Drum Workshop”が同社の始まりでした。Donは「作ったり発明したりすることが好きだった」と語っており、初期の傑作として、1974年に発売された高さ調整が可能なキャニスター・スローンが挙げられます。

    キャニスター・スローン(1972年)
    5000シリーズのフット・ペダル(1977年)

    1977年から1978年にかけて、5000シリーズのペダルが誕生します。Gretschのフローティング・アクション・ペダルなどを手がけていた、Camco Drum Co.から購入した機材によって作られました。5000の名称は、前身となるカムコデラックスペダルのカタログ品番に由来します。現在(2022年当時)の最新機種はDelta 4ですが、この5000シリーズは長きに渡り改良が続けられています。

    デルタ・ボール・ベアリング(1995年)

    最初期はストラップ式(いわゆるベルト・ドライヴ/NX)に始まり、1980年にチェーン・ペダルが登場、1984年アンダープレート仕様が登場。1992年アクセラレーターが発表され、1995年にはデルタボールベアリングヒンジの特許を取得。1999年Delta 2、2002年Delta 3、2012年Delta 4と、アップデートを重ねてきました。ツイン・ペダルやソリッド・ボード仕様、ヒールレス仕様などを含めると、数え切れないほどのバリエーションが存在しており、DWの顔とも呼べる重要なプロダクト群に成長しています。

    こだわり抜かれた9000シリーズ

    9000シリーズ・ペダル(2003年)

    1991年にはフット・ペダルに先行して、9000シリーズのハードウェアが登場しました。日本では7/8インチに相当する22.1mmのミドル・パイプを持ったハードウェアの人気が高いと感じていますが、DWは9000シリーズ・5000シリーズ共に、ひと回り太い1インチのミドル・パイプを採用しています。

    9000シリーズのベース・パイプに至っては1 1/4インチという圧巻の太さで、最も堅牢なハードウェアの1つと言っても差し支えないでしょう。単に太くて頑丈なだけではなく、紛失しにくいウィング・ナット一体型のワッシャーや、シンバルの揺れ具合の再現性に寄与するシンバル・シート・アジャストメントなど、ツアーでの信頼性と使い勝手の良さが、徹底的に追求されています。

    そして2003年、現代のDWを象徴すると言っても過言ではない、DW9000ペダルが登場します。パワフルながら軽やかなアクションが特徴的で、カムの形状を無段階で変更できる仕組みが備わっています。発売当時、DWの主力ペダルであったDelta2、3は、初期の5000から比べると、ヒンジの幅が増して、フット・ボードも大きく肉厚に変化したことで、重い部類のペダルになっていました。原点に立ち返ったかのようなアクションと、特徴的な構造、斬新なルックス、多彩な調整機構は、大きな話題となりましたが、現在はそれぞれの魅力が広く知れ渡り、どちらも定番のペダルになっています。

    独自のティンバー・マッチング

    ティンバーマッチング(1997年)

    DWのシェル内側をのぞいたことはありますか? シェル・ピッチを示す、CやG♯といった、音名が書かれたステッカーやスタンプに気づいた方もいると思います。これは1997年に特許を取得した、ティンバー・マッチングが行われていることを示しています。よく誤解されますが、ティンバー・マッチングは、“厳密なピッチを示していて、そのピッチに合わせてチューニングすることで、最大の鳴りが得られる”という仕組みではありません。シェルに穴を開ければピッチは下がりますし、ラグなどのパーツを取りつけるにつれ、ピッチはハッキリしない方向に変化します。

    製造したシェルをドラム・セットとして組み上げる際に、個体差に由来するシェル同士の相性を見極め、適切な音程差が得られるように配置するプロセスが、ティンバー・マッチングなのです。例えば、木目の詰まった、木の中心に近い材が多く使われた、ピッチの高い13インチのタムと、真逆の性質を持つ外側の材で作られた12インチのタムを組み合わせた場合、双方の得意なレンジが逆転しているため、優れた技術でチューニングしたとしても、バランスを取ることは困難を伴います。そのような事態を避けるため、特性を見極めて最適な組み合わせを作ることが、ティンバー・マッチングの主な目的です。サイズが接近したり、点数が増えるほど、この恩恵は大きくなります。

    ドラム・シェルの革新

    2000年代の後半に入ると、シェルに関する革新が続きます。2007年、現在はDW傘下にあるGretschを彷彿とさせる、メイプルとガムを組み合わせたジャズ・シリーズが登場します。John Good(ジョン・グッド)の探究心と感性が遺憾無く発揮された傑作で、同社が扱うさまざまな木材とガム材との組み合わせが試されて、メイプル、チェリー、マホガニーの3種類が製品化されています。80〜90年代以降は、メイプルやバーチを用いた単一材の楽器が人気を集めていましたが、近年は各社で複合材を用いたドラムの発表が続いており、ヴィンテージ・ドラムの再解釈が行われた時期の優れたプロダクトだと言えるでしょう。

    ジャズ・シリーズ(2007年)

    コンポジット、ハイブリッドと呼ばれる、複数の木材を用いたドラム・メーカー全体の動きに対して、2008年のX-shellテクノロジーと、2010年のSSC(Specialized Shell Configuration)の導入は、他に類を見ない1つの革命でした。一般的に合板で製造されるドラム・シェルは、縦目と横目を組み合わせて強度を確保します。薄くスライスした木材は、木目の向きでテンションが異なり、そのテンションは音色に影響します。

    DWは斜めに切り出した材同士で合板にすることで、従来のような十字のクロスではなく、まったく新しいXのクロスを作り出し、シェルの剛性を確保しつつ、テンションを低く保つ方法を発見したのです。この発見によって、より充実した低域をもつ楽器の製造が可能となり、ティンバー・マッチングで解決していた個体差の問題を、設計の段階で解決できるようになりました。

    スーパーソリッド・スネア・ドラム(2009年)

    なお、2009年には、伝統的なスチーム・ベンディングではなく、特殊な薬品処理を行うことで、より分厚い木材を曲げる方法を導入した、スーパーソリッド・スネア・ドラムを製品化しています。これも、技術の限界を突破し続ける姿勢が垣間見える楽器の1つです。

    ソニック・プライ・シェル(2025年)

    2025年にはメイプルとアルミニウムを組み合わせた、SonicPly Shellが発売されました。木材の合板の中に金属を挟み込むという、まったく新しい構成。SSCで人気のオプションである、333 Shellの延長線上に存在しており、柔軟な発想とサウンドを追求する姿勢の結晶とも呼べるモデルです。

    止まらないハードウェアの進化

    MDDペダル(2014年)

    2010年代に入ると、再びハードウェアの進化が進みます。2012年には9000シリーズにエアリフト・モデルが投入されます。重いスネアを載せる場合や、スネアより高い位置にセットする機会の多いタム・スタンドで大きな力を発揮します。

    そして2014年にはDW MFGがスタートします。まず、いわゆるダイレクト・ドライヴのMDDが登場し、のちにチェーン・ドライヴのMCDが加わります。MDDにはハイハット・スタンドもラインナップされており、同社の最高峰ハードウェア・シリーズとして存在感を放っています。

    9000Xシリーズ(2026年)

    2026年には、抜群の信頼性で高い人気を誇るロングセラーの9000シリーズ・ハードウェアに、大きな発展・拡張が行われました。従来のモデルと併売する形で、9000Xシリーズが投入されます。主にライヴやツアー/ロードにおけるニーズへのアンサーとして開発され、構成パーツを素早く着脱/調整できる新しいシステムや、三脚部に装着することで安定性を高める「MOD Tripod Weight」に対応。さらに、従来のメモリ・ロックとは異なる思想で、スタンド内部に内蔵されたワイヤー機構「InnerLock」によりセッティングの迅速化と高い再現性を実現するなど、現場で求められる精度・スピード・安定性を大幅に高めています。

    アコースティックとエレクトロニックの融合

    そしてDWの技術革新は、ハードウェアだけにとどまりません。長年に渡り電子ドラム業界を牽引してきたRolandとの協業によって誕生したのが、アコースティックとエレクトロニック、双方の特徴を併せ持つDWeです。

    アコースティック・ドラムに電子部品を搭載し、拡張性やアピアランスにも抜かりのないDWeの登場も、特筆すべきトピックでしょう。ワイヤレス接続など、ステージでの使用を念頭に置いたであろう革新だけではなく、DAWとの連携が考慮されたソフト音源を用いる設計思想など、ホームやスタジオでの利用にも、新たな道が開かれました。さらにそのノウハウは、RolandのV-Drumsに搭載される、DWとの協業によって制作されたアコースティック・ドラムのサウンドにも生かされており、両社の連携は製品の枠を越えて広がっています。

    駆け足で紹介してきましたが、これ以外にも傘下ブランドであるPDP(Pacific Drums and Percussion)の設立と躍進、パープル・ハート材やアーモンド材など新たなドラム・シェル素材の開拓など、さまざまな出来事がありました。また、2019年にGretschに続いて取得された重要なアメリカン・ドラム・メーカーであるSlingerlandも2025年に復活を果たし、今後の展開にも注目が集まります。

    歴史がわかると、現在の理解も深まります。今回のShowcaseイベントをきっかけに、DWの魅力を再発見/再認識いただけたら、この記事もドラムへの貢献につながります。DWの公式YouTubeチャンネルでは、膨大な量の発信が行われているので、ぜひ併せてチェックしてみてください。

    Inside the DW
    〜ジョン・グッドが語るDW革新と進化の歴史〜

    ここまで製品を通してDWの技術革新の歴史を振り返ってきたが、その進化を支えてきたキーパーソンの1人が、創業メンバーの1人で、副社長のJohn Good(ジョン・グッド)だ。「DW × Roland Drum Showcase」では、ブランド・マネージャーのScott Donnellによる「DW Brand Story」も予定されているが、その前にあらためてDWというブランドの根底にあるものづくりへの哲学に触れておきたい。DWの黎明期からドラム製造への参入、自社工場へのこだわり、そして革新と進化を続ける理由まで、ジョン自身の言葉から紐解いていこう。

    John Good(ジョン・グッド)/Vice President

    DW初のドラム・セットをNAMMで
    披露したときのことは忘れられない

    ●あらためてDW社設立のきっかけを教えてください。
    ジョン:Drum Workshop のルーツは、カリフォルニア州サンタモニカの小さな店にさかのぼります。 当時のサンタモニカはベニスとマリブの間にある静かな海辺の町でした。ドン(ロンバルディ)はドラムの先生をしていて、私はドラマーとしてやっていきたいと思っていました。私達は生活費を稼ぐために高さが調整できるキャニスター・スローンを作ることにして、口コミで売っていたのです。それがDWの最初の宣伝です。

    その後、ドンがCamcoの金型を買う機会を得て、それをきっかけに私達はフット・ペダルのメーカーになりました。それに修正を加えてできたチェーン・ドライヴ・ペダルは私達のレガシー製品となり、今もなお業界標準となっています。そのペダルには“5000” という名前がついていますが、それはCamco のカタログのモデル・ナンバーがそうだったからなのです。数十年経った現在では、5000 シリーズと9000 シリーズのヘヴィ・デューティなハードウェアのラインナップを取り揃えており、多くのドラマーがレコーディングやライヴで頼りにしてくれています。

    ●長い歴史の中で、ドラム・メーカーとしてのターニング・ポイントはいくつもあったかと思いますが、その中でも印象深い出来事はなんでしょうか?
    ジョン:ターニング・ポイントの1つはドラムの製造を始める決断したときです。まだとても小さい会社だったので、私は生活費を稼ぐために(テックとして)ツアーにも出なければなりませんでした。マドンナやジャクソンズ、フランク・ザッパなどのメジャーなツアーに同行していました。そういったツアーを通して、よりドラムが鳴るように、よりチューニングがしやすいように、ドラムを改良する必要があると感じるようになりました。究極のドラム・セットとはどんなものか、そしてそれによって当時では考えられないようなクリエイティヴなインスピレーションをドラマーに与えることができるというヴィジョンが、そのときすでに私の中にはありました。

    その当時、私達はすでにペダルとスタンドを作っていましたが、ドラム製造の世界に足を踏み入れるというのは、やはり大きな決断でしたね。競争の激しい世界でしたし、他の会社はやりたいことをやれるだけのリソースを世界中に持っていたわけで。私達もまさかそのレベルで戦えるとは思っていませんでしたが、世界レベルのドラムを作りたいという情熱がそれを可能にしたんだと思います。DW 初のドラム・セットをNAMM Show で披露したときのことは忘れられません。みなさんから興味を持ってもらえたことは本当に良かったです。ただ問題は、それだけ多くの(注文が入った)ドラムをどうやって作るか、でしたね。良い決断をしたと思っています。それが私のその後の40 年を決定づけたわけですから。

    ●現在はシェルの加工からパーツの組み立てはもちろん、フット・ペダルやハードウェアなども自社工場で手がけている点がDW の特徴だと思います。設計以外を外部に委託するメーカーも増えている中、自社工場を持つメリットはどんな点でしょうか?
    ジョン:自社工場を持つということは品質管理にとって常に重要なことですし、それが常に目の前にあることで集中し続けることができます。私達は完成した商品を扱うだけの倉庫ではなく、メーカーなのです。ファクトリー・ツアーで製造工程を見た人達はみんな細部へのこだわりに驚いていますね。私は人生をかけてそのプロセスに磨きをかけ、自分達のものにしてきました。特許を取得した技術もいくつかあり、独自の接着剤なども開発しました。

    私は常により良いものを目指し、ハードルを高く設定しています。DW のドラム製造において常に中心にあるのは“ 哲学を確立すること” で、その哲学が土台となっています。私達の手元を離れてからその楽器を演奏することになるドラマーのことを考えることが大切なのです。本当に多くの人達が私達のドラムを叩いてくれて、楽しんでくれていることに誇りを持っています。使ってくれるドラマーだけではなく、DW のドラムを使って作られた音楽を楽しんでくれている人達がいるということが誇りです。カリフォルニア・カスタム・ショップは特別な場所で、そこで働くすべての人が自分のスキルに誇りを持ってDW のドラム作りを実現しています。

    ドラムに命を吹き込むのは
    熱心な職人達のチーム

    ●ファクトリー・ツアーの映像を見ると、オートメーション化も含めてそれぞれの工程が確立されているように感じました。そんな中でも、職人の技術や経験はやはり重要なものなのでしょうか?
    ジョン:今でも手作業によって行われている工程はたくさんあります。CNC ドリル加工のような、より精度が求められる工程には機械を使っていますが、エッジやフィニッシュ、組み立てなど、多くの工程は自動化していません。ドラムに命を吹き込むのは熱心な職人達のチームなんです。

    ●ティンバー・マッチングやXシェル・テクノロジーなど、DW独自の技術もたくさんありますが、それらのアイディアはどのように考案されたものなのでしょうか?
    ジョン:まず音の響き方に合わせてシェルを組み合わせるというアイディアは大発見でした。基本的に私達は単体のドラムを作っているのではなく、組み合わせて1つのドラム・セットを作っているわけですからね。私達が開発したXシェルやVLT、HVLなどの木目を生かしたテクノロジーは、1つのドラム・セットにおけるサウンドの幅を広げるためのものです。音楽の進化によってそういったサウンドが必要とされるようになり、ドラマーがそれを求めるようになったのです。木材の種類や木目の方向を組み合わせることで、ドラマーが求めるものはほとんど何でも提供できるようになりましたが、それが私の夢でした。そういう意味では、究極のドラム・カスタム・ショップになったと言えますね。True-Pitch50やSTM(サスペンション・タム・マウント)など、ドラム・ハードウェアのイノベーションも、ドラマーが抱える問題を解決する、という私達の当初からのミッションの実現に一役買っています。

    ●2010年より導入されたSSC(Specialized Shell Configuration)について、ティンバー・マッチングで解決していた個体差の問題を、この技術の採用によって製造前の段階からシェルの方向性を定めることができるようになり、フィニッシュの自由度が高まったと考えているのですが、この解釈は正しいですか?
    ジョン:SSCはカスタム・ドラム・セットを作る方法の1つでした。その技術とさまざまなサウンドの選択肢が生まれたのですが、それによってその選択肢が複雑化しすぎたため、最新のシェル技術を生かした最適化したセットを提供することでわかりやすくしました。そうすることでドラマーは(細かく注文せずとも)それが最新かつ最高のシェルであると確信を持つことができ、ドラムの(フィニッシュなどの)ヴィジュアル面を決めることに集中できるようになりました。ヴィジュアル面の選択肢だけでもほぼ無限にありますからね!

    この先もDWが生み出してきたものが
    受け継がれていくことが私の願い

    ●半世紀に渡るものづくりにおいて、一貫してこだわってきたことはありますか?
    ジョン:革新と進化が私達のテーマです。私達は立ち止まることはありません。製品と製法をより良くすることで人から求められるDW であり続けることができるのです。

    ●では、次の50 年に向けて考えていることはありますか? また、この先ドラム・シーンはどのように変化していくと考えていますか?
    ジョン:この先もDW が生み出してきたものが受け継がれていくことが私の願いですね。私が世に出した製品が新しい世代に影響を与え、その世代がまた次の世代に影響を与えていってほしいと思っています。50年というのは祝福すべき節目です。

    「DW × Roland Drum Showcase」公演概要

    ◉日時
    2026年11月21日(土)12:00〜17:30

    ◉会場
    YOKOHAMA COAST garage+
    YOKOHAMA COAST garage+ 公式サイト

    ◉アクセス
    横浜駅みなみ東口通路直通/横浜駅東口より徒歩2分
    アクセス詳細

    ◉チケット
    https://livepocket.jp/e/dw_roland
    2,200円(税込)

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