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    Drum Set File feat. 沼澤尚|ジェームス・ギャドソンから譲り受けたヴィンテージ・ドラム

    • Text:Takuya Yamamoto
    • Photo & Movie:Akito Takegawa

    6月21日に開催された「沼澤 尚 the Greatest Playlist feat.ジェームス・ギャドソン」。ギャドソンの名演・名曲を実演と共に紐解いたこの日のイベントで、沼澤が使用したのが、ギャドソン本人から譲り受けた1960年代製のヴィンテージ・ソナー。このドラムには、どんな背景があり、どのような特徴を持っているのか。イベント当日に収録した特別映像と共に、受け継がれた機材について解説していこう。

    ギャドソンから譲り受けた
    ヴィンテージ・ドラムを沼澤本人が解説

    Inside the 1960 SONOR Kit

    沼澤氏がジェームス・ギャドソンより譲り受けたという、SONORのヴィンテージ・キットを詳しく見ていきましょう。氏によると1960年代の品ということで、バッジやラグの仕様を根拠とすれば、断定して差し支えないでしょう。

    ベース・ドラムのタムホルダー・ベースに注目することで、さらに範囲を絞り込むことができます。真上・中央に配されていることがご覧いただけると思いますが、これは1960年代でも、後期の特徴の1つです。さらに、シンバル・ホルダーは、シェルを貫通するタイプが据えつけられているのも、ポイントの1つです。この時期は、Lロッド・タイプも存在しています。

    サイズの組み合わせは、13”のラック・タムに16”のフロア・タム、そして20”のベース・ドラムの3ピース。時期や市場によって微妙な差が有りますが、StarやChicagoと呼ばれるモデルの一部と見られます。スネア・ドラムに限って現行で継続しているPhonicの前身にあたるChampion、そのさらに一世代前のシリーズです。

    丁寧にメンテナンスされた後、自然なエイジングが起きていることもあってか、見逃されているかもしれませんが、ベース・ドラムのパーツは、半分ほどがPearl製のものに交換されているようです。具体的には、フロント側のラグと、クローフック、Tハンドルです。ラグは一般的なPearlのサイズより小ぶりですが、Forumなどで用いられているタイプに見えます。もともとは、ギャドソンのプライベート・スタジオに保管されていたということから、当時のレコーディングでは、フロント・ヘッドとラグを外した状態で運用され、時を経て失われてしまい、沼澤氏の手によって再生される過程で行われた改修の結果でしょうか。想像が膨らみますね。

    シンバルはSABIANのHHシリーズで、いずれも初期の特徴を備えています。左手側の18”ミディアム・ライドは、最初期のものとみられ、表側にSABIANロゴが入る前の逸品です。右手側の19”クラッシュ・ライドと、ハイ・ハットは第二世代のロゴで、メーカーロゴの右側に小さなHHの文字が並んでいること、第一世代と同様のフォントで記されたモデル名で判断できます。

    合わせてセッティングされたスネアは、PearlのCustom Classic 30th Anniversary Limited Editionで、わずか30台が流通したモデルです。通常のCustom Classicは、トラッドでしなやかなプレス・フープが採用されていますが、ヘヴィーデューティーなダイキャスト・フープとなっています。キット側も、捩れに強そうな高剛性のフープが用いられているので、相性の良さが想像できます。

    さらに“The Ultimate Shell”のスネアもスタンバイされていました。純正は2.3mmという厚手のプレス・フープであるSuperHoopⅡが採用されていますが、向かって左側の個体にはダイキャスト・フープがマウントされています。シェルはメイプル+ポプラ+マホガニー6プライと、メイプル+マホガニー4プライで、共に沼澤氏のオーダーによるカスタム品とのことです。

    レジェンドからレジェンドへと受け継がれ、細かな手が入れられた、ヴィンテージ・キット。大切に育てられた由緒ある楽器は、我々ドラマーにとって、現代の“聖杯”の1つと言えるでしょう。

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