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アコースティックエンジニアリング meets 小笠原拓海 ~プロ・ドラマーが体感したショールーム・スタジオの響き #5~
- Recording:Masakazu Kimura/Movie:Akito Takegawa
- Photo:Takashi Yashima Text:Isao Nishimoto
レコーディング・スタジオ、ライヴ・ハウスなどの防音/音響工事を行う建築設計事務所、アコースティックエンジニアリング。同社のショールーム・スタジオにプロ・ドラマーを招き、デモンストレーション動画を制作する好評企画の第5弾は、山下達郎や竹内まりやを筆頭に、世代やジャンルを超えて活躍する小笠原拓海の登場だ。今回は山下達郎バンドで活動を共にする宮里陽太(sax)にも参加していただき、2人のユニットであるSOUND BOXの楽曲を演奏。アンサンブルでのサウンドを通して、これまで以上にレコーディング環境としてのポテンシャルの高さが伝わる動画が出来上がった。
ドラマーが演奏しやすい
整理されたオープン・サウンド
東京・九段下のオフィス・ビル1階に本社を構えるアコースティックエンジニアリング。その一角に作られたショールーム・スタジオは、ドラムの録音が可能なレコーディング・ブースとモニター・ルームを兼ねた約12畳のスペースがメインとなる。

同社代表の一級建築士・入交研一郎氏は、スタジオのサウンド・コンセプトを「ニュートラルな響き」と説明する。
入交「まず第一にデッドになりすぎない、適度な長さの響きがあること。そして、ここに来られるお客様が演奏する音楽のジャンルは多岐に渡るので、中庸な響きを目指しました。例えば全部が板張りの部屋だと“板の響き”という感じになってしまうので、反射面にいろいろな種類のマテリアルを使って、画一的な響きにならないようにしています」




そんなショールーム・スタジオに自身のドラム・セットを持ち込んで動画撮影に臨んだ小笠原は、スタジオの印象を「チューニングしやすい部屋」と話してくれた。
小笠原「最初キックだけをチューニングしていたときは、ちょっとデッドなのかなと思いましたが、タム、フロア、スネアとチューニングを進めていくとオープンな響きになって、それも嫌なオープンさじゃなくて整理されたオープンさという印象でした。この“整理された”というのがポイントで、響きすぎるスタジオだと音が暴れてチューニングが大変なときも結構あるんです。でもここはそうじゃなくて、チューニングは楽だし、音は締まっているし、そして余韻もある。ドラマーにとって非常にやりやすい部屋だと思いました」



さらに、先ほどの入交氏による「ニュートラル/中庸な響き」という説明に対して、小笠原は「いわゆるナチュラルな音」と表現しつつ、こう続ける。
小笠原「“ナチュラル”って、言いやすい言葉なのでついそう表現してしまいますけど、実際にここまでナチュラルな音がするスタジオはそう多くありません。レコーディングした音を聴いてもその印象は変わらず、そこまで広いわけではないのに大きなスタジオのエアー感がちゃんと出ているのもすごいです」
そして「こういうスタジオは貴重だと思います」と評する音響特性がプレイに与える影響について尋ねると、こんな答えが返ってきた。
小笠原「鳴らない部屋だとぶっ叩かなければならないから疲れるし、響きすぎるとビートの縦の線がわからなくなって、それも辛いんです。でも、このスタジオは本当にちょうど良い具合いにまとまっていて、変に力む必要がありません。身体の負担を減らしてくれるので、気持ち良く演奏できます」
小笠原による詳細レビューは次ページ