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テキサス出身のロック・バンド、ZZトップ。そのビートを半世紀に渡って担ってきたドラマー、フランク・ベアード(Frank Beard)が8月17日にこの世を去った。享年77。バンドのオフィシャル・サイト(こちら)を通じて発表された。
ビリー・ギボンズ(g、vo)、ダスティ・ヒル(b、vo)と共に、不動のラインナップで活動してきたZZトップ。2021年のダスティの死去に続き、バンドの屋台骨を支えてきたフランクも帰らぬ人となった。
“Today, Elwood and I lost a great friend and collaborator, and the world lost one of the most naturally innovative drummers and a great and true son of Texas. His signature backbeat was key to keeping ZZ on top.” – Billy F Gibbons pic.twitter.com/5kMlKGnI2r
— ZZ Top (@ZZTop) August 18, 2026
現場で磨いたドラム・スキル
フランク・ベアードは1949年6月11日、テキサス州フランクトン生まれ。13歳の頃にビートルズの影響を受けてドラムを始め、10代半ばには本格的な演奏活動をスタートさせたという。
60年代中頃には、後にZZ TOPで長年リズム・セクションを組むことになるダスティと共に“アメリカン・ブルース”を結成。ドラムは独学で、ステージでの演奏を重ねながらスキルを磨いていったそうで、1983年のモダン・ドラマーのインタビューでは「週に6回、毎晩6時間演奏していた」とも語っている。
1969年にヒューストンへ移ったフランクはビリーと出会い、ZZ TOPに参加。その後、フランクの紹介でダスティも加わり、ビリー、ダスティ、フランクという不動のトリオ編成が完成。1973年の3rdアルバム『Tres Hombres』で全米的なブレイクを果たし、「La Grange」などの楽曲でブルースをルーツとした独自のブギー・サウンドを確立。1980年代には『Eliminator』(83年)、『Afterburner』(85年)といった作品でシンセサイザーやシーケンサーも大胆に取り入れ、世界的な人気を獲得していった。
「何をプレイしないか」を
大切にしたドラミング
ZZ TOPがテクノロジーを大胆に導入していった1980年代にあっても、フランクが最も大切にしていたのは、生身の人間が生み出すグルーヴ。本誌1991年4月号のインタビューでもそのことに言及。レコーディングではクリックを使用せず、メンバー同士が同じ部屋に入り、顔を見ながら演奏するスタイルを好んでいたという。テンポについては、「曲の終わりでもちゃんと数を保っている」ことを気にしつつも、機械的に合わせること自体を目的とはしていなかったそうだ。
「プレイの合い間の音を出していない瞬間にはうんと気を遣う。問題は何をプレイするかではなく、何をプレイしないかなんだ」……インタビューで語っていたこの“引き算の感覚”が、ZZ TOP独自のグルーヴを生み出していたのではないだろうか。
さらに、ブギのグルーヴについてBPM124、BPM106といった具体的な数字を挙げながら、踊れるテンポには“いい感じ”が存在すると語っている。「Gimme All Your Lovin’」や「Sharp Dressed Man」といった楽曲に触れながら、テンポそのものが人間の身体にどう作用するかを感覚的に捉えていたことがうかがえる。
パンチの効いた音色を放つ
独創的なセッティング
ZZ TOPの重厚なサウンドとは対照的に、フランクが好んだのは比較的小さなサイズのドラムだった。
本誌のインタビューでは、18インチと20インチのバス・ドラムを使用する理由について、「昔から小さいのが好き」と話した上で、「バス・ドラムではパンチの効いたサウンドを出したい。ジョン・ボーナム的なビッグなサウンドはそれほど好きじゃない。それでどのドラムも小さめのを使ってるんだ」と語っている。

また、個性的なセッティングでもお馴染みだったフランク。99年からスタートした「XXXツアー」では、左右のバス・ドラムが極端に離れたTAMA Starclassic Mapleのツーバス・セットを使用。中央に配置された特注のロング・タムは深さ28”。右手側にはオクタバンが4発並ぶ、独創性溢れるセッティング。2002年のNAMM Showのブースに展示され、来場者の注目を集めていたという。
楽曲とバンドを第一に考えた
唯一無二のドラマー
派手なテクニックを前面に押し出すタイプではなかったが、個性的なセッティングから生み出すパンチのあるサウンドと、余計な音を排したタイトなプレイ、そして何より楽曲とバンドを第一に考えたグルーヴで、ZZ TOPを支えてきたフランク。長年に渡る音楽活動とドラム・シーンへの多大なる貢献に敬意を表し、心よりご冥福をお祈りいたします。