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【Archive Interview】マイク・ポートノイ[ザ・ワイナリー・ドッグス]が語るロック・トリオの魅力

本日4月20日はさまざまなプロジェクトで活躍する凄腕ドラマー、マイク・ポートノイの誕生日!! 2月にはビリー・シーン、リッチー・コッツェンと結成したトリオ=ザ・ワイナリー・ドッグスの8年ぶりとなるアルバム『スリー』を発表。王道ロック・サウンドの中で魅せるテクニカルなプレイで作品を盛り上げている。ここではワイナリー・ドッグスとして初取材した2013年6月号掲載のインタビュー記事を掲載!名手が語るロック・トリオの魅力とは?

トリオ・バンドが初めてなんて
我ながら驚きだな

最新アルバム収録「Xanadu」のMV

●ザ・ワイナリー・ドッグスというスーパー・バンド結成の経緯を教えてください。
マイク 数年前に僕がジョン・サイクスと一緒にやっていたときがあったんだけど、それがきっかけと言えるかな。僕がドリーム・シアターを離れた後、ジョンが新しいバンドをやることに興味があるかどうか僕に連絡をしてきたんだ。そこでベース・プレイヤーの話になったとき、僕はビリー・シーンを提案してね。ビリーは僕にとって旧友だし最高のベース・プレイヤーの1人だから。それで、ジョンとのバンドに、ビリーが参加することになった。

そこからの長い話を要約すると……その後、この活動が全然前に進まなくてね。僕とビリーはもっと先に進みたかったんだけど、ジョンがなかなか次のステップに動こうとしなかったんだよ。僕達が、それ以上待つことはできなくなってしまった頃、友人がリッチー・コッツェンの名前を挙げてきたんだ。ビリーも僕も、それは素晴らしい提案だと思ったよ。基本的にビリーも僕もリッチーとは関わり合いがあったからね。だから僕ら3人は、最初から(ジョンとやっていたバンドからは切り離して)やってみようと思ったんだ。


●3人で集まったときに、すぐにケミストリーを感じられましたか?
マイク 初めて一緒にプレイしたときからイケると思ったね。すでにビリーと僕のプレイ的相性はとても良かったし、ビリーとリッチーはご存知のようにMR.BIGで一緒だったから、当然良いケミストリーがある。最初から僕達の間には共通点があったから、とてもやりやすかった。僕とリッチーは一緒にやったことがなかったけど、プレイして即座に手応えが感じられたね。


●資料に“RUSH好きが高じてプロになったマイクにとってもパワー・トリオ結成は夢であった”とありますが、その通りでしょうか?
マイク 確かにそうだね。でも、音楽的にこのバンドとRUSHは全然違うよ。RUSHはプログレッシヴ・ロックだし、一方、このザ・ワイナリー・ドッグスはクラシック・ロックにルーツを持つ。サウンドやスタイル的にはレッド・ツェッペリンやクリームのようなバンドに近いものがあるね。でも、編成についてはその通りだ。トリオでプレイするのは僕も初めてなんだ。これまでいろんなバンドやプロジェクトでやってきていたのに、トリオ・バンドが初めてなんて我ながら驚きだな。新しいケミストリーを経験できてクールだと思っているよ。


●あなたにとってトリオ・ロック・バンドの魅力とは?
マイク 3人だと、すべてがすごくやりやすいね。何かを決めるにしても、3人しかいないから、物事が複雑にならず、シンプルだ。作曲に関しても、すごくイージーに感じる。ツアーが始まると、ツアー・バスも(人が少ないから)スペースがすごく広く感じるんじゃないかな?  でも、ドリーム・シアターだって、最初はトリオ編成で始まったんだよ。最初の年は僕、ジョン・ペトルーシ、ジョン・マイアングの3人だったんだ。でも、それも昔のことだからね。こういうふうに、またトリオをやってみるのも面白いよ。

トリオ・ロック・バンドの魅力とは……ロック・ミュージックのベースになっているのはドラム、ギターそしてベースだと思う。多くの偉大なロック・バンドにとっても、それがベーシックなラインナップなんだ。4人編成のバンドにしても、例えばザ・フーやレッド・ツェッペリンみたいなクラシック・バンドは4人編成だけど、楽器隊はやっぱりドラム、ギター、ベースだろう? ブラック・サバスやパンテラだってそうだ。それが(ロック・バンドの)サウンドなんだ。ギター、ベース、ドラムがね。それにシンガーが加わって4人になっているってわけ。


●アルバムの録音はどこでやりましたか?
マイク リッチーの自宅スタジオで作業したね。彼が関わったMR.BIGのアルバムも確かそこで録ったんじゃないかな。だから彼とビリーは、以前にもそこで作業したことがあったんだ。

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