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Ultimate Drum Technique #16-Change Up/Change Down Vol.2

  • Text & Score & Video:Hiroshi Matsuo

CHAPTER16:チェンジアップ/ダウンで緩急自在 Vol.02

みなさんこんにちは、松尾啓史です。引き続きチェンジ・アップ/ダウンを用いたアプローチをご紹介したいと思います。ここからはアドバンス編ということで、5連符や7連符、そして2拍5連など、より正確なサブディヴィジョン・コントロールが必要になるフレーズをご用意しました。奇数連符を多く盛り込むことによってより聴感上テンポ感から解放されたような演出をすることが可能になります。

ドラム・セットに用いるチェンジ・アップ/ダウン
〜Advanced編〜

Ex-7は4分音符で刻まれるキックの合間にスネアを絡めてチェンジ・アップさせるフィル・アプローチです。演奏手順は自由ですが、あらかじめ混乱しないように自分の中で整理してからプレイしましょう。

Ex-8はスネアからタム、そしてフロア・タムへと移動するベーシックな回し系フィルですが、奇数連符を基軸にすることによって拍の概念を希薄化させたものです。適当に叩いているかのように聴こえるのが特徴ですが、最後の8分音2打でしっかりとパルスを修正します。

Ex-9はパラディドル・グルーヴの流れから導入すると、急にテンポが速くなった錯覚を起こすことができます。チェンジ・アップと同時にメトリック・モジュレーションの要素も含んでいるやや複雑なアプローチです。

Ex-10は3連の2つ割りで進行する、スネアとキックのコンビネーション・ビートから2拍5連へとチェンジ・ダウンする変態系ビートです。まずは2拍5連符というものが拍のどこで分割されるのかという、イマジナリー・バーラインを確認してから練習してみてください。

Ex-11はツイン・ペダル(ツーバス)を用いたアプローチです。最初の1~2拍目の8分と3連符の部分を片足で踏むのか、両足へと分散するのかで足順が変わってきます。お好みのフット・ワークでプレイしてください。

Ex-12は連符の1打1打をさらにディドル(2つ打ち)として分割し、チェンジ・ダウンしていくシンプルかつ究極のアプローチです。キック部分を取り除けば、まるでフリー・テンポの中で、ロールが徐々に遅くなっていくような効果も演出することができます。ディドル化することによって打数把握が難しくなるので自分がどこを打っているのかをしっかり意識して演奏しましょう。

みなさんもチェンジ・アップ/ダウンを自在に操り、音楽に緩急を作り出してみてください。またドラムのみならず、今回のようなアプローチをバンド・アンサンブル全体のアイディアとして盛り込んでみても面白いかもしれません。

Ultimate Drum Technique – BACK NUMBER

CHAPTER 1:モダン・フット・ワーク
CHAPTER 2:左足のハイハット・コントロール
 ▶︎上記2つについてもっと詳しく知りたい方は、リズム&ドラム・マガジン20年7月号をチェック!


■CHAPTER3:ゴースト・ノート
■CHAPTER4:ワン・ポイント・モジュレーション
 ▶︎上記2つについてもっと詳しく知りたい方は、リズム&ドラム・マガジン20年10月号をチェック!

■CHAPTER5:トラップ・ビート
■CHAPTER6:トラップ・ビート Vol.2
 ▶︎上記2つについてもっと詳しく知りたい方は、リズム&ドラム・マガジン21年1月号をチェック!

■CHAPTER7:オッド・グルーヴ
■CHAPTER8:オッド・フィル

■CHAPTER9:メトリック・モジュレーション
■CHAPTER10:メトリック・モジュレーション<奇数分割 ver.>

■CHAPTER11:スティック・トリック Vol.1
■CHAPTER12:スティック・トリック Vol.2

■CHAPTER13:ミスター・ハイハットに挑戦 Vol.01
■CHAPTER14:ミスター・ハイハットに挑戦 Vol.02

■CHAPTER15:チェンジ・アップ/ダウンで緩急自在 Vol.01

◎Profile
まつおひろし:豊富なドラム知識を生かし、リットーミュージックより自身の執筆する教則本『究極のドラム・トレーニング・バイブル』をリリース。現在はリズム&ドラム・マガジンでプレイ分析や執筆を担当している他、ドラム・セット・プレイヤーとしてのみならず、ドラム・スティックを投げたり回したりと視覚的に楽しませるパフォーマーとして、東京ディズニーシーや打楽器アンサンブル・チームでの公演の経歴もある。さらにゲーム音楽を中心としたレコーディングも多岐に渡る。20歳の頃より音楽教室でのレッスンなど、クリニシャンとして後世のドラマーの育成にも積極的に取り組み、吹奏楽からプログレまでジャンルを問わずさまざまなバンドでのライヴ・セッション活動を行っている。

◎Information
松尾啓史 HP Twitter YouTube