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たたきびと ♯1 楽器がなくてもドラムはできる!

  • Photo:Eiji Kikuchi/illustration:Yoshimi Tanaka

2014〜16年にお届けした玉田豊夢と朝倉真司による連載セミナー=“たたきびと”。打楽器の魅力、楽しさを伝えることを主軸に置いたセミナーで、新生活からドラム&パーカッションを初めてみようという方にまさに最適な内容! ということで、“たたきびと”をドラマガWebに転載! 第一回目は、お二人がまだビギナーだった時代を振り返り、ドラムの“始め方”についてです。

これからドラムを始めてみたいという方はこちらをチェック!

口で歌っているフレーズを
“移し替えたい”っていう衝動で
スティックを握った方が
良いドラマーになると思う(朝倉)

●まずお二人はどうやってドラムを始めたんですか? ドラムに興味はあるけど、何から始めたら良いかがわからないっていう人は、意外に多いと思うんですよ。

朝倉 私は小学校のトランペット鼓隊に入って、小太鼓を叩いたのが最初ですね。スネアを叩きながら行進する姿がカッコいいなぁと思ったのがきっかけで、その流れで中学ではブラスバンド部に入ったんですけど、全国で賞を取るようなブラスバンドで、そこで1つ打ちとかを教わりました。定期演奏会ではポップスを演奏する機会もあって、初めてドラム・セットを叩いたのはその頃ですね。高校でもブラスバンド部に入ろうと思ったら、親に「音楽は辞めて運動をしろ」って言われて。頭に来て動きの少ない弓道部に入ったんです(笑)。音楽をやっている場にも出入りはしていて、でも当時はアコギをやっていたんです。フォークが好きで、ギターを持って歌いたくて。高校時代に始めたバンドもギターとして参加していたんですけど、ギターやベースがやりたいという人が他にいて、何故かドラムに戻ってきたという(笑)。大学に入ってからはパーカッションもちゃんとやりたいと思って、ドラムをやるサークルと、パーカッションをやるサークルの2つに入ってたんです。そのパーカッションをやっていた方のグループ=LOVE CIRCUSでデビューすることになるんですけど、そこでドラマーが脱退するんです、自衛隊に入るって(笑)。ディレクターも決まって、いよいよというタイミングだったので、ドラムをやることになって……そこからドラムとパーカッションの両方をやるようになったんです。で、ダラダラと続けて今に至るという(笑)。

●すごい流れですね(笑)。でも、お話を聴いていると、ドラムやパーカッションのある環境が、常に周りにあったという感じなんですね。

朝倉 そうですね。昔からドラムやパーカッションは自分の周りに自然とあって、当たり前のように叩いてきましたね。

玉田 うらやましいですよね。僕は朝倉さんと真逆で、子供の頃はドラムに断られ続けたんです。ばあちゃんの家にあったコンガにすごく興味があったけど、叩かせてもらえず、鼓笛隊に入りたかったけど、スネアは女の子しかダメって断られて。それでもやりたくて、でも周りにドラムがなくて、それで前にも話したように“ドラムを作る”っていう発想にいくんです。中学時代は勉強も全然しなくて、ドラムを作ることばっかり考えていましたね(笑)。“ハイハット・スタンドはどうやったら作れるだろう”って。実際、傘を使うっていうアイディアは授業中に閃いたんです(笑)。学校の帰りに忘れ物の傘をもらって、家でハイハット・スタンドを作ったっていう。

●(笑)。玉田さんは“イメージが大切”っていう話をよくされますけど、ドラムを始めたときの環境にそのルーツがあるわけですね。

玉田 まさにそうですね。“ドラムをやってみたいんですけど、楽器を持ってないんです”ってよく質問されるんですけど、僕はあんまり関係ないように思うんです。鉛筆で紙を叩くところから始めましたけど、それで十分楽しかったですし。楽器がある/ないよりも、楽しいと感じるポイントを見つける方が大切というか。楽しくないとやっぱり続けられないと思うので。

朝倉 豊夢君の言う通りで、楽器がなくてもドラムは始められる。口でリズムを歌うのもドラムだし、口で(ドラムを)歌えるようになれば、もう筋肉と発想はできているわけで、それを手足に移し替えるのに時間は必要だけど、その口で歌っているフレーズを“移し替えたい”っていう衝動でスティックを握った方が良いドラマーになると思う。最初から正しいフォームを習うことが近道って考える人、特に大人に多いと思うんですけど、そんなことはどうでもいいというか。

玉田 本当にどうでもいいですよね。それよりもドラムに対する強いイメージを持つことが大事というか。ツアーやリハで、ギタリストやベーシストが遊びでドラムを叩くことがあって。いわゆる“理に叶った動き”ではないけど、すごくカッコ良くて、音楽的なニュアンスに溢れているんです。ドラムに対するイメージがあるからそれが自然と滲み出ているというか。ドラムってそういう楽器だと思うんです。だからいろいろ考えて頭でっかちになっちゃうともったいないと思うんです。もしドラムを叩いてみたいという気持ちがあるなら、今すぐ始めてほしいですね。そういう気持ちがあるならば、絶対に楽しめると思うので。

ドラムを叩いてみたいという気持ちがあるなら、
今すぐ始めてほしい
そういう気持ちがあるならば
絶対に楽しめると思う(玉田)

“口ドラム”でリズムを歌ってみた!

ここでは玉田と朝倉それぞれに、下記3つのリズム・パターンを“口ドラム”でどのように“歌う”のかを記してもらった。“仮名”と“カナ”の違いも含め、同じリズムでも、プレイヤーによってニュアンスが全然違うことがわかるはず。みんなも自分の感覚でリズムを歌ってみよう!

※本記事は2014年8月号の連載セミナーを転載した内容となります。

朝倉真司●音楽家、ドラマー、パーカッショニスト 。1996年にLOVE CIRCUSのメンバーとしてデビュー。その後、ヨシンバ、パーカッショングループ ”Asoviva!”のメンバーとして活動しながら、森山直太朗、一青窈、くるり、秦基博、あいみょん、Superfly、ONE OK ROCK、岸谷香、いきものがかり、レキシなどのさまざまなアーティストのライヴ/レコーディングに参加している。
2017年9月には森山直太朗劇場公演「あの城」(本多劇場・2018年3月映像作品化)、2019年7月には20th century(V6) TWENTIETH TRIANGLE TOUR「カノトイハナサガモノラ」
(グローブ座、北九州劇場、梅田芸術劇場・2020年3月映像作品化)にそれぞれ役者としても出演している。
玉田豊夢●1975年生まれ。20歳の頃からサポート活動をスタート。100s、C.C.KINGのメンバーとしても活躍。これまでに中村一義、小谷美紗子、斉藤和義、レキシ、いきものがかり、Superfly、フジファブリック、ポルノグラフィティ、宮本浩次など数多くのアーティストのライヴ/レコーディングに参加。13年には自身のシグネチャー・スネアを発表した(生産完了)。
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