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スナーキー・パピーを彩る剛腕ドラマー、ラーネル・ルイス|グルーヴ、テクニック、機材について語った独占インタビュー
- Interpretation:Jikki/Photo:Tetsuro Sato
- Special Thanks:Yamaha Drums/Akira Sakamoto
- Interview & Text:Rhythm & Drums Magazine
ジャズ、フュージョン、R&B、ゴスペル、ロック──あらゆるジャンルを横断しながら、躍動感溢れるグルーヴを叩き出す凄腕ドラマー、ラーネル・ルイス。彼が世界的な注目を集めるきっかけとなったのがSnarky Puppyへの参加だ。去る5月に同バンドのメンバーとして来日。この絶好のタイミングで彼の独占インタビューに成功。バンドに在籍する4人のドラマーそれぞれの個性、Yamahaドラムへの信頼、理想のサウンド作り、そしてグルーヴとテクニックに対する考え方とは? 現代最高峰のドラマーの”核心”に迫る。
Yamahaのドラムは頑丈で
自分が求めるトーンに達したときに
非常にクリアな音がする
●今回はスナーキー・パピーでの来日になりますが、スナーキー・パピーのドラマーとして日本に来るのは何回目ですか?
ラーネル:ブルーノートで演奏したのを覚えているし、スナーキー・パピーとして日本に来たのはたぶん今回で3回目になるのかな。でも、演奏のために日本に来たのは、トータルで8回くらいだと思う。
●今、スナーキー・パピーには4人のドラマーがいて、最新作『Somni』では全員が同じ空間でスタジオ・ライヴ形式のレコーディングをしていました。それぞれのドラマーの個性や魅力については、どう感じていますか?
ラーネル:ああ、素晴らしい質問だね。確かに4人のドラマーがいる。ジェイソン”JT” トーマス、ジャミソン・ロス、あとはニッキー・グラスピー……彼女は本当に素晴らしいね。そして、もう1人はこの男(自分)だね(笑)。スナーキー・パピーの現場に4人のドラマーがいることで本当に価値があるのは、全員がそれぞれの経験からアイディアを引き出せることだ。バンドが必要とするものなら何でも、最高レベルで対応できる。例えば、僕がものすごく得意なことがあって、別のことは「まあまあ得意」だとする。でも、その「まあまあ得意」なことを、他の誰かが僕以上に得意だったりする。だから、お互いのサウンドで足りない部分や隙間を埋め合っているんだよ。
●リーダーのマイケル・リーグは「4人とも違う個性と音色を持っているから4人が必要なんだ」と語っていました。その音色の個性という点で、Yamahaのドラムが果たしている役割を教えてください。
ラーネル:もちろん。Yamahaのドラムには特定のサウンドがある。でも同時に、さまざまな時代のアイコニックなサウンドの一部でもあるんだ。ドラム自体が、僕達が求めるサウンドに合わせてチューニングしたり、コントロールしたりする能力を与えてくれる。そして僕達ドラマー自身も、そのジャンルに対するタッチや理解を持っているからこそ、異なる新しいサウンドを生み出すことができる。Yamahaのドラムは頑丈で、自分が求めるトーンに達したときには非常にクリアな音がする。他のドラム・メーカーと同じように特定のサウンドは持っているけれど、それでも僕達がやりたいことを実現させてくれるんだ。

●良いサウンドを引き出すための方法について、音作りの面とプレイ面、それぞれで心がけていることを教えてください。
ラーネル:もちろん。ドラムのセッティングに関して、クリアなサウンドや柔軟に変化させられるサウンドを得るためには、常に適切なドラム・ヘッドを選ぶことが重要だ。これは本当に大事なことだよ。僕はEvansのドラムヘッドを使っている。たくさんの選択肢があるけれど、いろんな方法で変化させたり、コントロールできるものを選んでいる。そうすれば、自分のカテゴリーを狭めすぎずに済むからね。
演奏面に関しては、ドラマーとしてさまざまなスタイルの音楽を聴くことが重要だ。異なる時代、異なるスタイルの音楽を聴き、その時代にその音楽を演奏していたドラマー達の演奏を聴く。そうすることで3つの視点が得られる。1つ目は、ある程度の期間存在し、時代と共に変化していくスタイル。2つ目は、異なる時代にそのスタイルを演奏しているドラマー。3つ目は、異なるドラマー達がそのスタイルをどう解釈しているか。例えばジャズと一言で言っても、50年代、60年代、70年代、80年代、90年代、2000年代、それ以降のジャズがある。それぞれがどんなサウンドなのかを理解し、それをどう模倣するかを知ることがとても重要なんだ。
●今日はスネアを3台セットしていますが、そのコンセプトや使い分けについて教えてください。
ラーネル:1つ目はメインのスネアで、2つのピッチの中間に位置するもの。もう1台はものすごくピッチの高いスネア。ピッコロ・スネアだったり、小さなポップコーン・スネアのようなものだね。これは左側に置いている。そして“モンスター”だ(笑)。これは本当に深い音のもので、大体14”×7”か14”×8”のスネア・ドラム。フロア・タムのような音がする。“スナム(Snare+Tomの造語)”と呼ぶ人もいるね。
僕独自のピッチのコントロール方法としては、ロー・スネアのスナッピーをオフにしたとき、それが2つ目のタムとフロア・タムのピッチの間に収まるようにしている。そうすると、ハイタムからフロア・タムへと叩き降ろしたときに、(スネアなのに)タムの1つのように自然に聴こえるんだ。そしてスナッピーをオンにしたときは、オーバーヘッド・マイクのステレオ・イメージの中にしっかり留まるようにしている。だから、この深いスネアを左側ではなく右側に置くのが好きなんだ。


人生のリズムを取り入れ、グリッドに載せる
正確でありながら自然なリズムは
そうやって両立させているんだ

●去年発売の『リズム&ドラム・マガジン2025年7月号』で、ドラマーを含む800人に「最高のグルーヴ・ドラマー」と「最高のテクニカル・ドラマー」に関するアンケートを行ったのですが、あなたがグルーヴ部門で17位に入りました。
ラーネル:何だって!? (ページを見ながら)うわぁ(笑)! (うれしそうな表情で)何てクレイジーなんだ。
●あなたが考える“最高にグルーヴィーなドラマー”は誰ですか?
ラーネル:うわあ……No(笑)! このインタビューは終了だ(笑)。1人だけを選ぶなんて本当に難しいよ。なぜなら“グルーヴ”というのはユニークなものだからだ。そして、誰もが自分なりの解釈を持っている。ただ、一部の人達のグルーヴする能力や、グルーヴを表現する能力が、他のミュージシャンの感覚とうまく合致することがある。つまり、彼らのグルーヴはより“相性が良い”ということなんだ。例えばネイト・スミス、マイク・クラーク、デニス・チェンバース、スティーヴ・ジョーダン、フィリー・ジョー・ジョーンズ。彼らは多くの人にとって心地良く感じられるグルーヴを持っている。もちろん、興味深いグルーヴやポケット感を持ったドラマーはたくさんいる。でも1人だけを選ぶのは本当に難しいよ。アンケートに載っている人達はみんな素晴らしいからね。
●アニカ・ニルスがあなたに投票していて、「タイムも完璧だけど、自然で人間的に感じられる」と評していました。正確でありながら自然という、相反する要素をどうやって両立させているのでしょうか?
ラーネル:アニカからの素晴らしい褒め言葉だね。ありがとうと伝えられるかはわからないけれど、本当にありがとう(笑)。まず“タイミング”についてだけど、僕達はメトロノームについて話しているわけだよね。正確でメカニカルで、“グリッド”を意識することを学ぶのは非常に重要なことだし、僕はそれに多くの時間を費やした。僕は“クリックを埋める”という方法で練習していた。クリックに合わせて演奏し、クリック音が聞こえなくなるほど正確に叩くんだ。でも同時に、僕達は呼吸をしている。呼吸し、すべてのことに反応し、すべてとつながっている。だから、ドラムにおいてナチュラルでオーガニックであるということは、僕にとって「人生を模倣すること」、「会話を模倣すること」と深く結びついている。人生のリズムを取り入れ、それをグリッドの上に載せる。そうやって両立させているんだ。

●ちなみに“最高にテクニカルなドラマー”というと、誰を思い浮かべますか?
ラーネル:世の中にはたくさんのテクニカルなドラマーがいる。でも、「テクニカル」とは何を意味するんだろう? どういう意味?
●物理的に“手足が速く動く”という意味もあれば、“音楽を成立させる”という意味もありますよね。その両方の意味でテクニカルなドラマーと言えば誰が思い浮かびますか?
ラーネル:なるほど。ドラマーがキットの周りをどう動くか、複数のことを同時に演奏できるか、そういう“ロボット的”な能力という意味なら、マイク・マンジーニだね。彼は何でもできる。それからトーマス・ラング。テクニックへの意識や、複数のものをレイヤーとして重ねて演奏する能力を持っている。その他にもヴァージル・ドナティやマルコ・ミネマン、ジョジョ・メイヤー……彼らは複数のアプリケーションを同時に開けるコンピュータみたいなものなんだ。しかもCPU使用率が低い(笑)。まったく問題なくスムーズに動作する。他の人はウィンドウ1つしか開けないこともある(笑)。でも、それはそれでいいんだよ。
●アンケートで1位に輝いたのはヴィニー・カリウタでした。
ラーネル:ヴィニーはまさに両方の意味で「テクニカル」だよね。やりたいことは何でもできるのに、ものすごくグルーヴィーなんだ。彼は“すべてを兼ね備えている人”として挙げたいね。

●最後に、今日試していただいた新製品「EAD50」の印象を教えてください。
ラーネル:EADシリーズは、僕にとって非常に重要な問いに答えてくれた。それは「もしドラマー自身が、自分のエフェクトをコントロールできるようになったらどうなるか?」ということだ。EADシリーズは、EAD10からEAD50へと非常に大きな飛躍と拡張を遂げた。そして、僕がクリエイティヴになるための追加のオプションをたくさん与えてくれた。Yamahaのチームに「こんなものを想像している」と伝えると、彼らは「2分時間をくれ」と言う(笑)。そしてそれを形にしてくれるんだ。まったく信じられないよ。自分の想像の中に浮かんだものを、現実のものとして体験できる。それはアーティストとして非常に重要なことなんだ。空にある何かに手を伸ばし、それを現実のものにできるんだからね。