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Creepy Nuts × 5つ打ち|コーチェラを揺らした、躍動するリズムの正体とは?
- Score & Text:Michiaki Suganuma/Rhythm & Drums Magazine
- Image:AI generaed
先週開幕したアメリカ最大級の音楽フェス、Coachella Valley Music and Arts Festival(コーチェラ)。日本でもカルチャー発信の場として年々存在感を高めるこの舞台に、藤井風と共に立ったのが、ヒップホップ・ユニットのCreepy Nuts。現地時間2026年4月10日、Gobiステージのヘッドライナーとして登場した彼らは、超満員のオーディエンスを一気に熱狂へと引き込んだ。代表曲「Bling-Bang-Bang-Born」を筆頭に、彼らの楽曲で用いられているのが“5つ打ち”と呼ばれるリズム。この“捻れた“ビートが、なぜ巨大フェスの観客をここまで揺らすのか──その正体にロジカルに迫る。
後半に重心が移ることで生まれる加速
伝統的なラテンのリズムと近い構造も特徴
「Bling-Bang-Bang-Born」の大ヒットで、今や世界的な人気を獲得しているヒップホップ・ユニット、Creepy Nuts。同曲で用いられているのが、俗に“5つ打ち”と呼ばれるキックを5つ連続で配置するスタイル(Ex-1)だ。よく知られている“4つ打ち”は、1小節の中で「ドン・ドン・ドン・ドン」とキックを4回、均等に刻むビート。安定感があり、ノリやすく、ダンス・ミュージックの基本となっているが、“5つ打ち”は文字通り、4つ打ちよりもさらに1打キックが多いビートとなる。

このビートは、ジャージー・クラブと呼ばれるサブジャンルを起点に広まったものとされ、ここ数年、ポップスからヒップホップまでを巻き込む、ある種のムーヴメントへと発展している。その大きな特徴は、後半の“3つ”に重心が移ることで生まれる、加速するようなリズム感にある。この構造から連想されるのが、ラテン音楽における“クラーベ”と呼ばれるリズムだ(用語解説はこちら)。

Ex-2は代表的な「2-3クラーベ」のパターン。5つ打ちのビートもこのクラーベと同様に、「2+3」として捉えることで、より自然に理解することができる。トリッキーで新しく感じられるビートだが、実はクラーベに近い考え方で構築されており、ある意味トラディショナルなパターンと言えるところが興味深い。

では実際のアプローチを見てみよう。Ex-3は「Bling-Bang-Bang-Born」における基本形。クローズド・リム・ショットが通常のバック・ビートのように機能し、その上カリンバを思わせるサウンドが重なることで、エスニックかつポップな質感を生み出している。
さらに、楽曲中ではインターバル的に4つ打ちへと切り替えることで、リズムに明確なコントラストを付与。この整う瞬間があるからこそ、再び5つ打ちに戻ったときに揺れが大きく感じられる。これがフロアでの体感的なメリハリをより強めていると言えるだろう。
同様に5つ打ちを用いた楽曲として挙げられるのが、4月10日のコーチェラでも披露された「ビリケン」。Ex-4ではより細かいラテン的なクローズド・リム・ショットが加わることで、さらに躍動感のあるビートへと発展している。

この捻りの効いた5つ打ちのリズムと、ラップのフロウが噛み合うことで、ビートそのものが跳ねるような躍動感を生み出している。4つ打ちとのたった1打の違いが、今、オーディエンスを揺さぶるグルーヴの核心となっている。
Creepy Nutsの出演はGobiステージで、ライヴの模様は日本時間で今日の午後3時5分からYouTubeで配信されるとのこと。