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    岩瀬立飛がドラム・セットで叩く“世界のリズム” #20 – スペイン系のリズム

    世界中のリズムを研究する名手=岩瀬立飛が、各国のリズムをモチーフとしたパターンをドラム・セットで演奏&解説した、ドラマガ2011年10月号の特集“世界のリズム”。ドラマガWebではその一部を、演奏音源つきで地域ごとに紹介! 20回に渡って多種多様なリズムを紹介してきたこの連載も佳境に……特集の最終章「欧州/アジア/その他のリズム」から、今回はスペインに縁のあるリズム・パターンについてドラムで実演!!

    #20 スペイン系のリズム

    スペイン系のリズム その1 スパニッシュ・ルンバ

    Ex-1〜3は、スパニッシュ・ルンバ。基本“ドゥンタタドゥンタン”で、“タ”の位置にはパルマと言われる手拍子が入ります。訛りはフィルイン以外ほとんどありません。何だか中東のリズムに似ていませんか? フラメンコはモロッコ音楽にかなり似ていて、拍のとり方が違うぐらいです。歴史的にスペインは8〜16世紀の間、イスラム(王朝)でした。もともとはスペインの音楽ではないのかもしれません。

    ▲Ex-1/0:00〜
    ▲Ex-2/0:22〜
    ▲Ex-3/0:27〜

    スペイン系のリズム その2 ハバネラ

    Ex-4〜8はハバネラで、2拍目に向けてのタメがポイント。ロールは小さい音量で。チック・コリアの「スペイン」のハーフ・タイムのところで使ってみてください。ハバネラは“ハバナ風(たぶんキューバのハバナ)”という意味で、クラシック音楽でよく聞きますよね。昔からクラシックの作曲家は中南米や中東に興味を持っていたようで、“トルコ風”、“ハバネラ”はよく聞きます。実は日本にも“ルンバ調”でと表記のある三味線曲があります。どれも現地の音とは程遠かったわけですが、これを書いている私も、読んでいるあなたも実は同じことを試みています。現代はこんなに情報があるのですから、私達は音楽の先人達を超越しなければなりません……なんちゃって、聴くだけでいいんじゃない。

    ▲Ex-4/0:00〜
    ▲Ex-5/0:12〜
    ▲Ex-6/0:21〜
    ▲Ex-7/0:30〜
    ▲Ex-8/0:39〜

    スペイン系のリズム その3 スパニッシュ・ワルツ

    Ex-9〜11は、スパニッシュ・ワルツ。本来ドラムは要らない音楽ですが、モダン・フラメンコと呼ばれるスタイルではジャズ的要素が入り、ドラマーも仕事がいただけます。“タツタツタツタツツタツツ”を基本に装飾音符、ライド・シンバルなどで展開していきます。


    ▲Ex-9/0:00〜
    ▲Ex-10/0:19〜
    ▲Ex-11/0:27〜

    Ex-12、13はよりジャズ、フュージョン、プログレの要素を加えたもの。こちらは“タッツタツツ・タツタツタツ”を基本に、1拍目にバス・ドラムを入れ、バック・ビート的スネアをはっきり打っています。リズムの感じを保ちつつ、即興でいろいろなことをやり続けます。他の奏者すべてと調和しながら進めるということが重要です。例えば笑顔が生まれるような良い意味での“腹の探り合い”こそ生きた音楽になり得ます。

    ▲Ex-12/0:00〜
    ▲Ex-13/0:17〜

    岩瀬立飛がドラム・セットで叩く“世界のリズム” – BACK NUMBER

    #1:キューバ系のリズム①

    #2:キューバ系のリズム②
    #3:キューバ系のリズム③
    #4:キューバ系のリズム④
    #5:カリプソ系のリズム
    #6:ブラジル系のリズム①
    #7:ブラジル系のリズム②
    #8:ブラジル系のリズム③
    #9:レゲエ系のリズム①
    #10:レゲエ系のリズム②
    #11:その他の中南米系のリズム①
    #12:その他の中南米系のリズム②
    #13:ニューオーリンズ系のリズム
    #14:ジャズ系のリズム①
    #15:ジャズ系のリズム②
    #16:アフリカ系のリズム①
    #17:アフリカ系のリズム②
    #18:中東系のリズム①
    #19:中東系のリズム②

    ◎Profile
    岩瀬立飛(Tappi Iwase):愛知県出身。14歳でドラムを始め、日野元彦、坂田 稔に師事。高校では吹奏楽部でパーカッションを担当。その後、1988年に渡米。ピーター・アースキンやデヴィッド・ガリバルディに教えを受けながら、現地でライヴ、レコーディング活動を展開。帰国後、現在に至るまで自身のバンドである。Nervioや宴での活動の他、エリック宮城バンドをはじめ、さまざまなセッションで活躍中。

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