NOTES

UP

ドラムが叩ける!お宅訪問[Webオリジナル]#5 千葉県在住 Tさん 宅スタジオ

  • 取材:編集部
  • 文:西本 勲
  • 撮影:八島 崇

“いつでも好きなときに、自分のドラムを思い切り叩きたい”、そんな夢を叶えてくれるのが、プロ用のスタジオやライヴ・ハウスなどの防音/音響工事を多く手がける専門業者、アコースティックエンジニアリングが作るドラム用防音室だ。ドラマガ本誌では、同社が一般住宅に設計/施工した防音室を連載で紹介しているが、こちらはWebオリジナル‏のコンテンツとして、千葉県に住むTさんのプライベート‏・スタジオをレポートしよう。

よく利用していたリハスタのような
雰囲気を目指した内装デザイン

音楽仲間と趣味でバンドを組んでいるTさんは、2021年に自宅を新築。その1階にスタジオを作った。

メンバーが集まって練習できるように、ドラム・セットだけでなくギターとベースを演奏できる機材も揃えたこの空間は、家の中にあるスタジオとは思えない非日常的なムードがある。

奥の壁に向かってドラム・セットが置かれ、周りに各種機材がレイアウトされたTさんのスタジオ。ドラムの正面には65インチのモニター・ディスプレイが備えつけられ、ホーム・シアター用途を兼ねつつ、動画を大画面で見ながらドラムの練習も可能。吸音パネルが黒いため存在感が大きいが、全面を覆うのではなく間隔を空けて設置されており、部屋自体の響きは見た目の印象ほどデッドではないという。また、黒いパネルは大型モニターへの映り込みを抑える効果もある。床は、フローリングにプロテクションラケットのマットを敷いている。

以前は賃貸の部屋でエレドラを叩いていましたが、やっぱり生ドラムを置きたいというのがずっと夢としてありました。

最初は東京都内で、賃貸の防音物件にしようと思っていたんですけど、猫を飼っているのでペット可という条件で探したら、“それは砂場で砂金を見つけるより難しい”と言われてしまって(笑)。だったら家を建てよう、ということになりました。

アコースティックエンジニアリングさんは、ドラム・マガジンの連載で見ていたので、ここがいいなと

壁と天井の吸音パネルが黒で統一されているのは、当コーナーで紹介してきた自宅スタジオの事例では少しめずらしい。床にも黒いマットが敷かれ、ドラム以外の機材も黒いものが多いせいか、プロっぽい雰囲気が漂っている。実際、Tさんも構想段階からそんなイメージを抱いていたそうだ。

赤いスチール製の防音ドアも、リハスタっぽい雰囲気作りに貢献。外側は居住スペースの内装に合わせた木製防音ドアを採用している。スタジオの床は大きく下げて天井高をしっかり確保。出入りのための段を設け、安全面への配慮も抜かりない。

普通の部屋にドラムが置いてあるというより、ずっと通っていたリハーサル・スタジオみたいな雰囲気にしたいと思っていました。それで、赤い扉と黒い空間みたいな感じにしようと。さらに、仕事部屋やシアター・ルームとしても使えるようにと、いろんな要素を詰め込んだ形です

スタジオ平面図と遮音性能。全方向に向けて非常に高い遮音性能が確保され、家族が寝ている時間にドラムを叩いても問題ないという。図面では機材の位置が実際と異なるが、これは設計段階のもの。スタジオが完成した後にドラムが南側の壁向き(図の下側)に移され、作業デスクは東側(図の右側)にレイアウトされた。

次ページ
ドラムが思いっきり叩けて、ギターやベースもすごく聴きやすいです