GEAR
UP
【連載】博士 山本拓矢がデジマートで見つけた今月の逸品 ♯5〜スネア・スタンド〜
- Photo & Text:Takuya Yamamoto
- illustration:Yu Shiozaki
今月の逸品 ②【DW9300】
続いて紹介するのは、DWのDW9300です。
おそらく、最もヘヴィ・デューティーなスタンドの1つで、何と4.5kgもあるそうです。運搬するたびに他のスタンドにすべきかと思いますが、音色と信頼性で代替品がなく、ライヴではほぼこれ一択になっています。
サウンドに関しては、バスケットをどれくらいオフセットさせるかで揺れ具合いが変わるので、調整に支障がない範囲で一番短くして、剛性由来のワイヤーの反応を生かす方向で使用しています。SS950とは重めのスタンドという共通点がありますが、こちらは特に低域が引き出されることはなく、タイトで明るめのトーンです。変なピークが出ないのは、柔らかめのバスケット・ゴムのおかげかもしれません。
ライヴの現場では、組み立てや片づけでお手伝いいただけることがありますが、共通の認識を持たない方が誤ってボルトを回してしまい、一度見つけた角度や高さを台なしにされてしまうこともめずらしくありません。しかし、このスタンドは至るところにメモリー・ロックが搭載されており、そういった心配がほとんどありません。
また、ギア式に匹敵する強力な保持力を備えているので、サイド・スティックでヘッドを強く押さえてもびくともしないところも気に入っています。余談ですが、末尾にALがつくモデルはエアリフト式で、DW9399ALをタム・スタンドとして使用しています。
スネア・スタンドでの音色の変化が感じ取れるようになると、タムのマウント方式や、フロア・タム・レッグ、シンバル・スタンド、ハイハット・スタンド、キック・ペダル、バス・ドラム・スパーといった、楽器本体ではないハードウェア由来の変化にも反応できるようになります。 練習台を乗せて使用したり、スネアドラムのちょっとしたメンテナンスでも活用できます。
まだスネアしか自分の機材を持っていないような方も、すでにドラム・セットを持っている方も、どんな段階であっても、機材から学べることは尽きないので、ぜひこの機会にお試しいただけたらと思います。
Profile
ヤマモトタクヤ●1987年生まれ。12歳でドラムに出会い、高校時代よりプレイヤーとして音楽活動を開始。卒業と同時に入学したヤマハ音楽院にて、さまざまなジャンルに触れ、演奏活動の中心をジャズとクラブ・ミュージックに据え、2013年、bohemianvoodooに加入。 音楽と楽器の知識・スキルを生かして、ドラム・チューナーとしてレコーディングをサポートしたり、インタビュー記事や論説などの執筆業を行うなど、音楽全般への貢献を使命として活動中。
Twitter:https://twitter.com/takuya_yamamoto
【Back Number】