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【新連載】博士 山本拓矢がデジマートで見つけた今月の逸品

  • Text:Takuya Yamamoto
  • illustration:Yu Shiozaki

第一回:“COB”スネア・ドラム

みなさんこんにちは。山本拓矢と申します。普段はbohemianvoodooというバンドでの演奏を中心に、チューニングや文章を書いたりと、いろいろやっておりますが、このたびご縁があり、連載記事を任せていただくこととなりました。

この連載では、誌面でレビューを行なっていた新製品に限らず、定番商品や埋もれた名器/名品など、今あらためて注目すべき楽器たちを、楽器ECサイトであるデジマート(https://www.digimart.net/)で見つけ、私の独断と偏見を交えつつ紹介して参ります。

その第一回目は“COB”のスネア・ドラムです。COBとは、クローム・オーバー・ブラスの頭文字を取った略称で、クローム・メッキされた真鍮を指します。

COBは豊かな倍音を引き出せる、理想的なドラム・シェル材の1つで、個人的にGretschのG4160(現行品)と、DunnettのCOB(14″×5″モデル/2001年製)を所有しており、中でもDunnettのCOBはレコーディングには必ず持参する楽器の1つです。

博士が所有するG4160(現行品)
同じく博士所有のDunnett製のCOB

さて、現在市販されているCOBのスネア ・ドラムで、すぐに思いつく範囲では、LudwigのLB400BNLB402BN(スーパーラディック 5″、6.5″)、LB400LB402(スープラフォニックのブラス・エディション5″、6.5″)、TAMAのSC145(スチュワート・コープランド・シグネチャー・モデル)が挙げられます。

上記はすべて試奏したり、使ったことがありますが、厚みの差やシェルの折り曲げ回数、ラグやフープなどのパーツの構成によって、音量や輪郭の具合いの面でそれぞれに個性があり、資金とスペースさえあれば全部持っておきたいくらい、それぞれに優れた個性があります。

最近では、PearlからDuoluxeというモデルが発売されたようで、1mm厚のシェルにインレイ、ガスケットなしのキャストラグという仕様は、COB好きとしては早々にチェックしたい楽器ですね。

この他にもCOBのスネアはいろいろありますが、今回は個人的なお気に入りモデルとして、LB400BNを少し踏み込んで紹介します。

今月の逸品 【Ludwig LB400BN

ブラス・シェルの1.2mmというスペックは、ブラス特有の華やかさに、クローム・メッキによる明るさのスパイスが効いた、金属胴らしい派手さを感じる音色を生じさせる傾向があります。

10個のキャスト・ラグと、厚みのあるラバーのガスケットは、シェルの振動を程よくカットし、やや太めのハッキリとした輪郭を与えます。前述の派手さは、この部分で少しマイルドにされるので、使いやすい仕様とも言えます。

2.3mmのトリプル・フランジ・スティール・フープは、その質量からパワフルさを、形状由来の剛性からは広がりのあるオーバートーンを、この楽器にもたらしています。

くっきりとした外向きのビードは、シェルに剛性を与えていますが、極端な硬さにはなりません。また、ニッケル・フィニッシュのパーツ類は、超高域の倍音成分にその個性が現れていて、フル・クロームのLB400Bに比べると、やや落ち着いた響きに感じられます。

総括すると、“金属胴に求める要素を備え、現代の音楽環境にフィットした、正統派のスネア”という位置づけになります。

2.3mmトリプル・フランジ・スティール・フープ。ラグの中には厚めのガスケットを装備。
シェルは1.2mm厚で、外向きのビードが施されている。

2019年発売モデルなので、発売された直後はいろいろなショップに並んでいましたが、Ludwigは非常に多彩なメタルのラインナップを持っているので、LM400やLB417のような、不動の定番ポジション以外の枠におり、店頭に常備されるタイプではないような立ち位置に納まっている感もあります。

しかし、個人的にはベストなメタル・スネアの1つであると断言できます。

ちょっと特別な1台として、もしくは幅広く使えるスタンダードな金属胴として、運良く入荷したタイミングに立ち会った方は、ぜひ試してみてください。

LB400BN Specification
●シェル:クロム・オーバー・ブラス
●サイズ:14″×5″
●フープ:トリプル・フランジ・フープ(10テンション/2.3mm厚)
●ラグ:インペリアル・ラグ
●ストレイナー/バッド:P-88AC/P35
●スナッピー:20本線
●打面ヘッド:ラディック・ミディアム・コーテッド

国内代理店:野中貿易(HP

Profile
ヤマモトタクヤ●1987年生まれ。12歳でドラムに出会い、高校時代よりプレイヤーとして音楽活動を開始。卒業と同時に入学したヤマハ音楽院にて、さまざまなジャンルに触れ、演奏活動の中心をジャズとクラブ・ミュージックに据え、2013年、bohemianvoodooに加入。 音楽と楽器の知識・スキルを生かして、ドラム・チューナーとしてレコーディングをサポートしたり、インタビュー記事や論説などの執筆業を行うなど、音楽全般への貢献を使命として活動中。

Twitter:https://twitter.com/takuya_yamamoto