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【連載】博士 山本拓矢がデジマートで見つけた今月の逸品 ♯5

  • Photo & Text:Takuya Yamamoto
  • illustration:Yu Shiozaki

第5回スネア・スタンド

ドラム博士=山本拓矢が、定番商品や埋もれた名器/名品など、今あらためて注目すべき楽器たちを、楽器ECサイトであるデジマート(https://www.digimart.net/)で見つけ、独断と偏見を交えて紹介する連載コラム。今回は選び方に迷う人も多いであろう、スネア・スタンドにフォーカスします!

いつもご覧いただき、ありがとうございます! 今回はスネア・スタンドをフィーチャーします。スタンド全般にもある程度の応用が可能な、特徴を掴むためのポイントに触れつつ、愛用している2機種を紹介いたします。

スタンドは、楽器を演奏可能な状態にするための道具です。

その最低限の役割を超える領域に何を求めるかは、人それぞれです。何らかのサウンドの違いは、その個性をメリットとして捉えるかどうかは好みの問題ですし、両立できない要素も存在するので、すべてを兼ね備えたスタンドは存在しません。紹介する中で私が評価しているポイントも、選び方の1つとして捉えていただけるとよろしいかと思います。

今月の逸品 ①【Yamaha SS950

まず紹介するのはYamahaのSS950です。

レッグと、バスケット(アーム)の中心を揃えることができる、独特な機構のモデルです。特筆すべきは、鋭いスネア・ワイヤーの反応と豊かな低域で、サウンドに関しては最も好みの質感が出せます。ワイヤーの反応の仕方に対して影響する要素の1つに、縦方向の揺れの幅があり、ガッチリとしたスネア・スタンドに載せると、タッチに敏感に反応する傾向が出てきます。

揺れないということは、ショットのエネルギーが逃げる余地が限られているということで、エネルギーがどう変換されているかを想像してもらえると、理解しやすいかと思います。触ったときは触った音、叩いたときは叩いた音、過程がそのまま結果になるようなシビアさは好みが分かれると思いますが、不測の事態が起こりにくくなるとも言えます。

なお、よく揺れるスタンドは反応が鈍くなるかというと、必ずしもそうではありません。叩いたときに反対方向に逃げてくれる分、アタックがマイルドでクリアになったり、タッチの粗を吸収してくれる傾向があるなど、好ましいと感じる場合もあります。

低域の出方に関しては、楽器とスタンドと床、物体同士で行われる振動の交換の結果としか表現ができないのですが、SONORのSignatureや600シリーズのような傾向を感じます。ゴムの硬さの具合いや、金属同士の接合の仕方、樹脂パーツの使い方、重心も影響しているかもしれません。SS950の音色が太くなるさまは明快ですが、軽くて自然に揺れるスタンドの膨らみ方とは別の種類のものなので、これはぜひ実際に体感してもらいたい要素ですね。

注意点を挙げるとすれば、重心の都合上、大きく傾けるセッティングには向かない印象です。樹脂製のボールを用いたチルターは微調整しやすい一方、頻繁に変更するとどうしても摩耗が進むので、共用の機材では金属製で2次元的な可動範囲のSS850などに軍配が上がるでしょう。保持力も標準的な範囲のそれなので、極端な使い方をする場合は注意が必要かもしれません。個人的にはここ数年、レコーディングを中心に愛用しています。

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