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【連載】博士 山本拓矢がデジマートで見つけた今月の逸品 ♯2

  • Text:Takuya Yamamoto
  • illustration:Yu Shiozaki

第2回:16インチ・バス・ドラム・キット

ドラム博士=山本拓矢が、定番商品や埋もれた名器/名品など、今あらためて注目すべき楽器たちを、楽器ECサイトであるデジマート(https://www.digimart.net/)で見つけ、独断と偏見を交えて紹介する連載コラム。第二弾は16インチ・バス・ドラム・キットにフォーカス!

前回取り上げた“COBスネア”はチェックいただけましたか? フィニッシュの違いで生じる差を理解すると、楽器のコンディションを維持する意義が実感できたり、ミュートの取り扱いに応用してアプローチの幅を広げられたり、応用が効きます。判断する耳だけでなく、結論に至るまでのルートを組み立てるのも大切なので、ぜひいろいろ試してみてくださいね。

さて、第二回目ですが、計画の段階では、プロアマ問わず購入する機会が多いシンバルやキック・ペダルか、個人的に収集しているスネア・ワイヤーなどを紹介しようと考えていました。しかし、デジマートで紹介する楽器を探していたところ、店頭に入荷するのはややめずらしい、お気に入りの楽器を発見したので、この機を逃さず、その周辺に注目していきたいと思います。

今回ピックアップする楽器は、16インチ・バス・ドラムのキットです。

普段使用する機会がない方も少なくないと思うので、少しだけ歴史の話をします。このカテゴリーには、もともとは大まかな二つの流れが存在しており、ここ10年程度でそれらが合流し、大きな市場を形成しています。その2つの流れとは、1990年代に発売されたSONOR Jungle set(Sonic PlusⅡシリーズ)や、YamahaのHipgigを源流とした、フロア・タムから発展した再発明のそれと、1960年代に作成されたGretschの特注品が再び注目された、小型バス・ドラムの再発見によるものです。

双方の楽器に密接な関係がある、エルヴィン・ジョーンズとジャック・ディジョネットの文脈で掘り下げた場合、これらは地続きと言えるかもしれませんが、楽器メーカーが介在して製品として成立したものからみた場合、2つの別々の流れと捉えた方が、現代の楽器を理解する上では役に立つでしょう。なお、SlingerlandのCocktail Outfitなどもありますが、使われ方や競合する製品が少々異なる傾向が強いので、今回は例外とします。

前述の2つの流れが合流したことで、設計の自由度が上昇して、価格帯の幅が拡大しました。暗黙の了解のような決まりごとが緩やかであることは、メーカー毎の個性が打ち出しやすく、音楽環境から生じたニーズの大きさも手伝って、現行の製品は多数存在しています。いくつか例を挙げてみましょう。

16インチ・バス・ドラム・キットの現行モデル

まず、数年前にNew Productsでレビューを書いたSONORのAQ2シリーズで、SAFARIという16インチのバス・ドラムのセットがあります。ネーミングにも若干の含みが感じられますね。

Hipgigで得られた知見が生かされているであろう、YamahaのJunior Kitも、優れた要素があります。このカテゴリーは1タム、1フロアが主流ですが、2タム、1フロア仕様となっているのがユニークです。

LudwigのBreakbeats by Questloveは、驚異的な価格の製品で、実際に見たり触ったりしたことがある方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

可搬性を重視したRhythm TravelerがロングセラーになっているPearlからは、より本格的な演奏の現場を意識した仕様のMIDTOWNが発売されています。

TAMAは、SONORやGretschと並んで、最も幅広い価格帯で16インチのバス・ドラムを提供しています。キットの括りからは少し離れてしまいますが、フラッグシップラインであるSTARシリーズにおいて、16″×12″のモデルが選択可能であることは、特筆すべきでしょう。まさに百花繚乱の様相を呈するシーンの中から、特にオススメできる2つの機種を詳しく紹介します。

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