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Yamaha DTX10の全貌 〜山本真央樹が伝授する Cubase AI活用術!〜

  • Text:Yuichi Yamamoto(RCC Drum School)/Isao Nishimoto(Ⅲ)
  • Photo:Tetsuro Sato(Ⅲ)
  • Movie:Shigeki Azuma Recording:Kenji Kawamura

満を持して発表されたYamaha DTXシリーズのフラッグシップ・モデル=DTX10。核となるモジュールのDTX -PROXには超ハイクオリティ・サウンドが内蔵され、さらにシンセサイザーやPAで培ってきたYamaha独自のテクノロジーを投入。最高峰にふさわしい電子ドラムに仕上がっている。ここではドラム・マガジン2022年1月号に掲載した記事の転載を軸に、付属するCubase AIを使った本格レコーディング術を山本真央樹氏にレクチャーしてもらった! 

Ⅰ.新時代の電子ドラムを象徴するDTX10

革新的な技術と画期的なアイディアを投入し、長い歴史を誇るDTXシリーズの新しい幕開けを感じさせるDTX10。ここでは発表に至るまでの経緯を振り返ると共に、その特徴を整理して紹介していこう!

DTX10K-X(RW)/TCSヘッド

【パッド構成】スネア:XP125SD-X(12″)、タム 1&2:XP105T-X(10″)、フロア・タム: XP125T-X(12″)、キック:KP128(12″)、ハイハット:RHH135(13″)、クラッシュ 1:PCY135(13″)、クラッシュ 2:PCY155(15″)、ライド:PCY175(17″)、ハイハット・スタンド:HS740A、スネア・スタンド:SS662、ラック:RS10-HXR、ドラムトリガーモジュール:DTX-PROX【サイズ】1,100 mm x 1,600 mm 【質量】46.77 kg 
※フット・ペダルは別売り

DTX(ディー・ティー・エックス)という名の電子ドラムが登場したのは1996年。当初は自宅練習を目的とする“サイレント・ドラム”という位置づけであったと記憶する。そこから時代と共に少しずつ進化を遂げ、機能、ルックスを備えたDTXシリーズの最高峰として、2009年に発売されたのが“DTX900シリーズ”であった。

世界的なシェアを誇るYamahaシンセサイザーのテクノロジーと、電子ドラムの開発技術が革新的な音源モジュールを生み出し、さらには新開発のシリコン素材を用いたDTX-PADも登場。その組み合わせは“プロが現場で使える楽器”として大きな成熟を遂げたのである。またその優れた音色と技術は下位機種にも移植。DTX700、DTX500、DTX400シリーズとして、ニーズに合わせた幅広い選択ができる展開が約10年に渡ってなされてきた。

そして2020年11月、新機種“DTX6シリーズ”が突如発表される。これまでとはまったく異なる新しい音色とエディット・モードを持つ音源モジュール=“DTX-PRO”が登場したのだ。筆者はそのサウンドを初めて聴いたとき、あたかもバーチャル・スタジオにワープしたような感覚になり、DTXがまた新しい時代へと突入したのをリアルに感じた。ただ、DTX6シリーズに使われていたパッドは、これまでのDTX500シリーズに使われていたものと同じであり、サウンドこそ劇的に進化しつつも、“この先、きっと何か来るな……”と少なからずの予感も同時に抱いていた。

▲DTX6の特集はこちらをクリック▲

そんな私の予感を遥かに越えるレベルで発表となったのが、フラッグシップ・モデルのDTX10。まず正面から見て目を引くのはそのルックスであろう。“これぞYamaha Drums!”とも言えるアコースティック・ドラムと同素材のシェルを採用したパッド類を、HEXARACKにセット。より“楽器らしさ”を醸し出し、演奏者の意識から変えてしまう魅力がある。そしてドラマー側から見て驚くのは、DTX-PAD直系の“TCSヘッド”と、Yamaha初の“メッシュヘッド”という2種類が用意されたこと。最上位のパッドにまったく異なる2タイプの選択肢が設定されたというのは画期的であろう。そしてサウンドの心臓部となる音源モジュールにはDTX-PROのさらに上をゆく“DTX-PROX”が登場。ハイクオリティなサウンドはもちろんのこと、各スライダーやノブのコンビネーションがとてもわかりやすく組まれていて、直感的な操作で幅広いエディットが可能となっているのがわかる。

このDTX10と同時に発売されたハイグレード・スタンダード・モデルのDTX8、そして少し前に登場したDTX6によって新世代DTXが揃い踏みとなった。また電子ドラムを手軽に楽しみたいユーザー向けには、軽量コンパクトでコスト・パフォーマンスに優れた人気機種の“DTX402”が残されているのもうれしいところ。それでは次ページから、DTX10の魅力を深く掘り下げていきたい!

DTX10K-M(BF)/メッシュ・ヘッド

【パッド構成】スネア:XP125SD-M(12″)、タム 1&2:XP105T-M(10″)、フロア・タム: XP125T-M(12″)、キック:KP128(12″)、ハイハット:RHH135(13″)、クラッシュ 1:PCY135(13″)、クラッシュ 2:PCY155(15″)、ライド:PCY175(17″)、ハイハット・スタンド:HS740A、スネア・スタンド:SS662、ラック:RS10-HXR、ドラムトリガーモジュール:DTX-PROX【サイズ】1,100 mm x 1,600 mm 【質量】42.1 kg 
※フット・ペダルは別売り

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