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Yamaha DTX10の全貌 〜山本真央樹が伝授する Cubase AI活用術!〜

  • Text:Yuichi Yamamoto(RCC Drum School)/Isao Nishimoto(Ⅲ)
  • Photo:Tetsuro Sato(Ⅲ)
  • Movie:Shigeki Azuma Recording:Kenji Kawamura

Ⅲ.山本真央樹が伝授するCubase AIを使った本格レコーディング講座!

ここからはドラマガWebのオリジナル企画! DTX10に付属されるDAW=Cubase AIを使った本格的なレコーディング方法を、Cubaseユーザーである山本真央樹がレクチャー。オーディオ録音、MIDI録音、マイナス・ワン・トラックに合わせてのレコーディング方法など、動画でわかりやすく解説。DAWが使えるようになることで、電子ドラムでできることがグッと広がるはずだ!! 動画内で出てくる用語もテキストでまとめたので、併せてチェックしてみよう! 

Cubase AIのダウンロード方法はこちら

DAWの基礎知識

DAWは“Digital Audio Workstation”の略で、パソコンで音楽制作を行うソフトウェア。楽曲を構成する各パートを個別にレコーディングし、必要に応じて編集したりエフェクトをかけたりした後、音量バランスなどを整えてミキシングを行い完成させる。DAWが登場する前はレコーダー/シーケンサー/エフェクター/ミキサーといった複数の機材で行っていた作業を、パソコン内で完結できるのがDAWで、最近はスマホやタブレットで使えるものも増えている。製品によって機能/使い勝手/音色に特徴があり、付属する音源やエフェクトの内容と併せてDAWを選ぶ際の基準になる。DAWでアコースティック・ドラムをレコーディングするには、マイクとオーディオ・インターフェースが必要(Yamaha EAD10のようにこれらを統合した製品もある)だが、電子ドラムの場合は音源モジュールをパソコンと直結してレコーディングできるものが多く、DTX10もその1つである。

Cubaseについて

ドイツのスタインバーグ社が開発する、Mac/Windowsに対応したDAWソフト。最初のバージョンが発売されてから30年以上に渡って進化を重ね、現在出回っているDAWソフトの中では特に長い歴史を持つ(2022年4月現在の最新バージョンはCubase 12)。特徴としては、次に説明するMIDIレコーディングの使い勝手が当初から優れている点や、機能の豊富さ、付属の音源とエフェクトの充実ぶりなどが挙げられる。DTX10/DTX8/DTX6の各シリーズとDTX-MULTI12には無料版のCubase AIが付属しており、動作条件を満たすパソコンがあればすぐにDAWを使ったドラム・レコーディングが行える。さらに本格的な音楽制作を行いたい場合は有料版にアップグレードすることも可能。有料版は、使える機能などが異なるCubase Pro/Cubase Artist/Cubase Elementsという3つのグレードがあり、予算と目的に合わせて選べるようになっている。

MIDIレコーディングの基本情報

動画でも語られている通り、DAWに楽曲の各パートをレコーディングするやり方には、大きく分けてオーディオ・レコーディングとMIDIレコーディングの2つがある。オーディオ・レコーディングは、ICレコーダーやスマホのボイス・メモに録音するのと同じで、動画の例ではDTXの音源モジュールから出た音そのものが記録される。一方、MIDIレコーディングでは、音ではなく楽器や音源をどのように鳴らすかという情報=MIDIデータが記録される。MIDIデータをDAWに記録する方法には、①MIDIデータを出力できる機器(電子楽器やMIDIキーボードなど)を演奏する ②画面上で1音ずつ入力する(演奏ができなくても良い)の2通りがあり、動画で行っているのは①の方法になる。

MIDI(Musical Instruments Digital Interface)は、もともと電子楽器同士を接続して演奏情報をやりとりするために作られた統一規格で、音の高さ/長さ/大きさ/音色といった情報をデータ化したもの(実際にはさらに多くの情報をやりとりできる)。電子ドラムの場合は主に、どのパーツをどのタイミングでどんな強さで叩いたか、という情報が扱われる。DAWに記録されたMIDIデータは編集が可能なので、動画で行っているように叩くタイミングや強弱を変更したり、音色の調整や楽器の差し替えも自由自在。自分の演奏を何度も聴き返して、スネア、バス・ドラム、ハイハットといったパーツごとに細かくブラッシュアップしていけるのは、電子ドラムを使ったMIDIレコーディングの大きな利点だ。

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