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奏・秦野(おと・はだの)開催記念! 真矢×淳士×LEVINスペシャル鼎談!!【Archive Talk Session】

LUNA SEAの真矢が地元=秦野の“ふるさと大使”に就任して1周年を迎えたことを記念し、4月28日(日)にクアーズテック秦野カルチャーホール 大ホールにて「奏・秦野 (おと・はだの)」を開催。数々のゲストを迎えて行われる本イベントに、愛弟子である淳士と親交の深いLEVINの参加も決定している。いよいよ本日(3月30日)よりチケット一般発売がスタートするタイミングで、「奏・秦野」をさらに盛り上げるべく、2002年11月号で実現した3人の鼎談を再掲載! 

ヴォーカルをやってみて
ドラムを新しい角度から見られた(淳士)

●真矢さんがちょっと遅れているので、まずはお2人のお話からお聞きします。お2人が初めて会ったのはいつ頃だったんですか?

淳士 真矢さんが「うちの事務所にLa’cryma Christiってバンドが入ってきて、そのドラムがすごくパワフルなんだよ。スティックなんかも回しちゃってさ」なんて話をしてくれたんですよね。でも、実際に会ったのはいつだろうね?

LEVIN 真矢さんのライヴに一緒にゲストに出たあたりから仲良くなったんじゃない? それまでは会えば挨拶するくらいで。

●そのとき、お互い、どんな印象を持ちました?

淳士 うまいなあと思いました。自分にない“間”を持っているというか。

LEVIN SIAM SHADEはインディーズ時代から有名だったので、“あのトリッキーなドラミングが生で見れる”って思いました(笑)。

淳士 で、実際に見たら、“なぁんだ、たいしたことないや”って(笑)。

LEVIN そんなことないよ(笑)。“すっげー、なんであんなことできるの?”って思った。

淳士 でもLEVINはタイコの数が少ないから、ドラム・バトルになると大変だろうなと思うよ。

LEVIN 音数的にはメロディアスなことができないんで、そういうのは無理ですけど、こっちはスティック回したり、あり得ない投げ方でスティックを投げたりして対抗して(笑)。でも結局はお客さんが楽しんでくれたら、何でもいいと思うんですよ。あ、でもこの間、淳士君のイベントに出たんですけど、俺もツーバスにしたいと思いました(笑)。彼、すっごい高速のツーバスをやってて、それを見て“カッコいい!”と(笑)。中学生の頃に初めてツーバスを見たときのような感激でしたよ。

淳士 ドラム・バトルをやりたいと思って、僕のライヴに出てもらったんですよ。ヴォーカルもやったんで、そのときにドラムを叩いてもらって。厚かましくお願いをしてしまいました(笑)。

LEVIN すごく面白かった。なんかね、歌がうまいから全然、自然だった。うちのヴォーカルよりもドラムをすごく聴いている感じで。

淳士 曲は俺の書き下ろしだったんですけど、気は遣いました(笑)。ドラマーからドラムのことを指摘されたらやり難いかな、どういうふうに言ったらいいのかなって。

LEVIN いや、いつもバンドでやってる感覚と変わらなかったよ。“そこはこうしてよ”っていう指摘って、曲を作っている人ならではのこだわりじゃないですか。だからそれは尊重したいし。ただ、気を遣ってもらってる感じは伝わってきた。優しく言ってくれるんで(笑)。曲のデモ・テープをもらったら、ドラムが打ち込んであったんですけど、すごく淳士君らしかったから面白かった。自分なりにシンプルにやらせてもらったんですけど。

淳士 曲はLEVINが叩くことを想定して作ったわけではないので、“あくまでもデモ・テープはガイドで好きにやってよ”って感じでした。でも彼がプレイしたら曲の表情が変わったんで、やっぱり面白かったですね。打ち込みが生になるだけでも違うのに、今回はさらに自分にはない発想がそこに加わったんでね。それでヴォーカルという立場になって、ドラムが新しい角度で見れるようになったんですよ。すごく勉強になりました。

これまで自分でやってて、キックの位置って、ノリさえ良ければ“ドッタ・ドドタ”でも“ドドタ・ドドタ”でも“ドドタ・ドッドタ”でもそんなに違わないと思ってたんですよ。でも歌ってみると、そうじゃないんです。自分が発する言葉のアクセントにキックもいてほしかったりするんです。“これが歌心なのかな”と思って。だとするとこれまでの自分はどうだったんだろうと思いましたね。チャンスがあれば絶対歌ってみるべきですよ!

ドラムの話になると
みんな全然、引かない(真矢)

真矢 どうも遅くなりました。いやいや、2人ともくだらない話ばかりしてたの?(笑)

淳士 そんなことないですよ、真面目な話ですよ(笑)。

●では3人揃ったところで、あらためてそれぞれの出会いについて教えていただけますか?

真矢 淳士はもう10年以上前で、LEVINは一昨曰くらいかな(笑)。いやいや、いつだっけ?

LEVIN 僕がデビューしたときにLUNA SEAのライヴを観に行かせてもらったんですよ。横浜アリーナの楽屋ですよ。

真矢 ああ、そう。まったく覚えてないな(笑)。でもラクリマは事務所に入ってくる段階で、“実力派のバンドが入ってきて、ドラムもうまいんだよ”って話を聞いてたんだよ。だからすごくイメージが膨らんでいてさ。で、実際に会ったら、こんな“チンケ”なやつで(笑)。

LEVIN “チンケ”ってことはないでしょう(笑)。

真矢 意外と素直な人だなと思ったのが第一印象だね。すごく真面目で挨拶もしっかりしてた。

LEVIN 僕は“LUNA SEAでは真矢さんを通過したら大丈夫だから”って言われてたんですよ(笑)。

●周りから脅かされていたんですね(笑)。

LEVIN だからメンバー全員で床に頭をこすりつけるくらいの勢いで“よろしくお願いします!”って挨拶して(笑)。きっといじめられると思ってましたから(笑)。でもそんなこと全然なくて、すごく良くしてもらってて。イベントに呼んでもらったり、番組に出させてもらったり。

●淳士さんは一緒にバイトをされていたんですよね。それで真矢さんのローディでもあった、と。

真矢 そうです。最初は“こいつ、根性ないんだろうな”と思ったんですよ。雰囲気がそんな感じで。

淳士 そういうオーラは伝わってました。俺のこと気に入ってないだろうなって(笑)。俺はすごく話がしたいと思ってて、人見知りしないから“俺もドラムやってるんです”って自己アピールしたんですけど、そういうところが気に入らなかったんだと思う。そういう馴れ馴れしさが。

真矢 それって俺がすっごく小さい人間みたいじゃん(笑)。まぁでもこっちも芽は若いうちに摘んでしまおうと思ってたからね(笑)。いやいや、まだ自分に余裕がなかったんでしょうね。もともとはそれほどフレンドリーな人間でもなかったんですよ、ちょっとテレてしまうところもあってね。だからそういう部分で近寄りがたいオーラが出ていたのかも。

●ローディとして真矢さんについていたときは、どうでした? 厳しかったですか?

淳士 (即答で)それはもちろん。

真矢 そんなことないですよ、お友達感覚で(笑)。でも淳士はすっごく根性がありましたね。決して不服は言わないし、明らかに辛いと思うようなときでも、絶対に辛いって言わないし。“ああ、こいつは大物になるな”と思いましたよ。“だったら今からつき合っておこう”と(笑)。

淳士 俺、毎日辞めようと思ってましたよ。でも、辛いと言ってもどうなるものでもないじゃないですか。だから辛いって言うのは止めようと決めてたんです。それ何でも“大丈夫です”って言ってました。それと根拠はない自信なんですけど、“この先は明るい将来が待っているんだ。今だけ頑張って、これをクリアすれば大丈夫だ”と思ってたんですよね。この人についていけば間違いないとも思ってたし。

真矢 まぁお坊さんで言うと、徳が高いからね、俺は(笑)。

淳士 それと“同じ間違いは2度しない”というのも心に決めてました。

真矢 一度目から怒ることはなかったよな?

淳士 一度目で暴力はありませんでした(笑)。怒鳴られておしまい。それから怒ったことを後まで引きずることもないんですよ。

真矢 何回言ってもわからないと、こっちも“どうしてやろう、こいつ”みたいになるけどね(笑)。それに別に無理なことを言っているわけじゃないですからね。ちゃんと“ドラム・セットはここをこうしておいてね”って説明してるんだから。それができないんだったら怒りますよ。

●確かにそういう仕事をするためにローディとしてついてもらっているわけですからね。

真矢 でも淳士は優秀でしたよ。仕事ができるできないはともかくとして(笑)、一緒にいて気持ち良かったし、演奏していて楽しかった。それって優秀だと思うんですよね。LEVINもそうで、彼とはローディとして一緒に仕事をしてはいないんだけど、一緒にいると楽しいんですよ。一緒にいて、楽しい、テンションが上がるってすごく大切。一緒に呑んでて、ドラムの話になるとみんな全然、引かないんですよ。そういうのも面白いですよね。LVEINは物腰柔らかいし、口では“僕は適当ですから”なんて言ってるけど、意見を曲げないですからね。面白いよなあ。

淳士 結局は“人それぞれ”ってことですから。

真矢 己の道を平行線のまま進んでいるからね。俺は俺の道を辿っているし、淳士は淳士の道だし、LEVINはLEVINの道。それを辿りながら成長しているんですよ。

●演奏のスタイル自体は、それぞれのものがあると思いますが、考え方という点ではどうですか?

真矢 やっぱり違うでしょうね。もちろん共感はできるんですけど。自分と考え方が違うからって、“それは違うよ”って否定するのではないし。

●具体的にどういう部分で違うと思いますか?

淳士 結局は性格ってことだと思うんですよ。ひたすら練習した方がいいって人もいるだろうし、いっぱい遊んだ方がいいって人もいるだろうし。

真矢 そうだね。しかしLEVINはキメを覚えないよな(笑)。

LEVIN 最近、キメと人の名前がどうしても覚えられない(笑)。

淳士 普通に話をしていても、平然と質問してくるんですよ。“え、今、その話してたじゃん”って(笑)。

LEVIN そうよく言われる(笑)。

真矢 そういうところも面白いじゃないですか。俺なんかは結構、キメとかをしっかりやらないってと思うんですけど、LEVINはそれよりもビートが大事なんですよ。

ドラムを知らない人にも
“面白い”と言われたい(LEVIN)

●お互いライバル心ってありますか?

真矢 そりゃあ、あるでしょう。

淳士 真矢さんには常に自分の前を走っていて欲しいという気持ちもあるんですけど、自分の前に立ち塞がる壁でもあるんです。尊敬しているんだけど、勝手にライバル心を持ってやっているんです。“俺、こうしようかな”と思ったことを真矢さんに先にやられるとやっぱ叩悔しい。それはLEVINに対しても同じですね。

●いつか越えたいと。

淳士 越えないといけないですね。まあ、越えるとか越えないっていうものでもないとも思いますけどね。そうだなあ、10年後にも真矢さんやLEVINが“ああ、淳士のドラムは面白いね”って言ってくれたらいいですね。

真矢 淳士は俺にできないことがいっぱいできる。“できますか、これ?”って言われて、やってみるんだけど、やっぱりできない(笑)。カチンとくるんだよね(笑)。でもこういう関係は面白いよな。3人でタイコを叩くとLEVINが一番キックの音がでかいんですよ。“LEVIN、うるさいよ!”なんて言いながら、どうやって踏んでるの?って覗きに行って、なるほどなんて言ってね。

LEVIN 僕はライバル云々っていう大それた気持ちは全然ないんです。それぞれの道があると思っているんで。でも影響はすごく受けてます。影響されたことはすぐに取り入れてますよ。たとえそのままやったとしても、俺がやったら2人とは違うものになると思いますからね。

●ドラム・セットという面ではどうですか? セッティングなんかで影響されたりしましたか?

真矢 セッティングよりもチューニングですね。今、自分の中でいろいろな音色が欲しいんですよ。今は自分の中でピンとこない音でも全部吸収しようと思ってね。人のタイコがあるとずっと叩いてたり。他人のタイコを叩くのは面白いですよね。新しい発見もあるし。自分では思いつかないチューニングをするからね。

●淳士さんとLEVINさんは、淳士さんのライヴのときにセットを交換して叩いていましたけど、いかがでした?

淳士 ワンバスのセットって気持ちがワイルドになるんですよね。脇が開く感じというか。ドンパン、ドンバンっていう感じが似合う。自分のセットを叩いてるときには、そんな気持ちに全然ならないんですけどね。

LEVIN 僕は逆に淳士君のセットだと左肩を落としたくなる感じになる(笑)。で、さっきも話しましたけど、ツーバスやりたくなりました(笑)。

淳士 でもセッティングって見た目から入りますよね。俺はそこがほとんど。

真矢 俺も。完壁見た目だよな(笑)。

淳士 タムの並びなんかも、自分の思い描く曲線ってあるじゃないですか。それにそぐわないと絶対にダメ。

真矢 ローディぶん殴るんだ(笑)。

淳士 そんなことしないですよ。俺は人権を尊重してますから(笑)。

LEVIN 僕はフィルとかキメってシンプルであればあるほどカッコいいと思うんですよ。ドラムのことを知らない人が、フィルに合わせて手が叩けるとか、そういうものがいいと思う。逆に言えば、そういうことをしてほしいからフィルを入れているくらいの感覚なんですね。だから、今の自分のタイコの数で十分なんですよね。

あとはリズムが重要なわけで、ハットとキックとスネアで味のあるリズムを叩きたいと思うんで、そうすると他のものの必要性を感じないんです。ただ、たまに淳士君にセットとかを叩くと、楽しいんですよね(笑)。このタムはやっばり必要だからあるんだなっていうのがよくわかりますし。

真矢 いや、そんなことないよ、いらねえよ(笑)。

淳士 そんな真矢さん、俺よりタム、多いじゃないですか(笑)。

●これから先、どんなドラマーになりたいと思っていますか?

真矢 深いねえ。自分は今、日本の和楽器を見直しているんですよ。我々は日本人なのに鼓とかをやっている人って、ある種、特殊でしょ? ドラムを叩ける日本人ほどはいない。自分は小さい頃からやっていたというのもあるんだけど、これがジャパニーズだという誇りを持って、そういう邦楽の呼吸や奥行きを再確認して、それを自分のドラムに生かしていきたい。

黒人の人には黒人のルーツに根ざした“間”があるし、白人にも白人の“間”がある。でも日本人は? っていったら、外国から輸入した“間”だと思うんですよ。でも日本人としての“間”もあるわけで、俺は“日本人の間はこういうものだよ”って説明できるドラマーになりたい。それはクリックで“カッ、カッ、カッ、カッ”っていう世界じゃないよね。もちろんロックやポップスをやるんだったら“カッ、カッ、カッ、カッ”の世界ではあるんだけど、その中でも日本人としての“間”があるはずだし。それを追求したい。しかも頭で分かるんじゃなくて、身体で出せるようになりたい。

淳士 俺はある意味、逆なのかもしれないですけど、その“カッ、カッ、カッ、カッ”の間を自由にコントロールできるようになりたいんですよ。ちょこざいなことが好きなんで、いかなる隙間も見逃さず、ちょこざいなことができるようになりたいですね。それは結局、より正確なドラミングということなのかな。ともかく自分の考えたことが、身体に直結して、寸分の狂いもなく表現できるというか。

LEVIN 俺は昔からそうなんですけど、ステージで演奏することが前提でプレイしているんです。ドラムのことを詳しくなくても、うちのバンドのライヴを見たら、“なんかあのドラム、面白いよね、楽しいよね”って言われるようになりたいですね。でもそれってバンドがカッコ良くないと成立しない話だと思うんで、まずはバンドを成長させることですね。バンドをずっとやっていたいと思うし、一生、バンドのドラマーでいたいと思います。

爆笑トークと爆裂ドラム・セッションが炸裂!
真矢&淳士+LEVINのスペシャル・セミナー【Report】

2002年11月16日、「真矢&淳士 パールドラムス・エキサイティング・セミナー」が行われた。タイトル通り、エキサイトしたセミナーの模様をここにレポートする。

セミナーはいきなり真矢と淳士、そしてスペシャル・ゲストとして迎えられたLEVINのドラム・セッションからスタートした。ビートを合わせながら、アイコンタクトでそれぞれソロを取っていく3人のプレイはまるでドラミングという言語で会話をしているようだ。そんな無邪気な会話がひと段落すると、トーク・タイム。司会者の進行3人の関係やそれぞれのドラム・セットの解説などが行われた。

真矢は3バス(!!)のセットを中心に、無数のタイコが水平にセッティングされた淳士のセットと、1タム、2フロアのシンプルなLEVINのセットが並んだステージは壮観! 見惚れていると、このセミナーのためだけに作ったという一定のフレーズが何度も繰り返されるオリジナル曲で再びセッション。同じ曲でもドラマーによって曲の表情が変わるということも体現してみせた。

今度は客席とコール&レスポンス。開演前に配られ、回収された質問用紙の内容や直接投げかけられた質問に3人は冗談を交えながら真剣に答えていく。チューニングの方法やグルーヴについての疑問、ベーシストからの質問、さらに自分のプレイをその場で聴いてくれというものまで飛び出し、内容の濃いものとなった。特に叩いている後ろ姿を見せてほしいという声に、照れながらも答えている3人の姿は印象的だった。

最後もこの日のために作られたオリジナル曲で大セッション。何とそれはセミナーの3日前に真矢がローディと口でリズムを歌って作ったデモテープを、前日に2人に渡したという強行スケジュールで行われたセッションであった。だが、さすがの3人。息の合った怒涛のプレイで客席を一気に盛り上げ、3人の名前一斉に叫ばれていた。  

*本鼎談は2002年11月号に掲載されたインタビューを再編集したものを、レポートは2003年1月号に掲載されたものとなります。