PLAYER
UP
【Interview】松田晋二[THE BACK HORN]
- Interview:Rhythm & Drums Magazine Photo:Azusa Takada
正解だけを突き詰め過ぎると
大事なものを見落とすこともある
●M10「希望を鳴らせ」はストレートなロック・チューンで、松田さんのドラムで始まる楽曲ですね。アタマのフレーズはどのように組み立てたのですか?
松田 これは完全に作曲者の山田が考えたフレーズです。彼はドラムもうまいんです(笑)。勢いもありながら、耳を傾けたくなるようなインパクトのあるドラムで、カッコいいと思います。最初は少しアレンジして別の形でデモを録ったのですが、元のフレーズのインパクトの強さがとても良かったので、完コピしてレコーディングしました。
●M11「瑠璃色のキャンバス」は、緊急事態宣言中にリモート環境で制作されたシングルで、当時は初めての試みだったそうですね。
松田 作曲者がデモを作って、各パートがアレンジしてデモを完成させるやり方はほぼリモートに近い形で今までも行っていたのですが、アレンジが出来上がった楽曲を、必ず一度はリハーサル・スタジオでみんなで合わせてからレコーディングに入っていたので、できた曲をそのままレコーディングするのは初めてでした。
今までの制作と同様に、山田のデモのリズムをスタジオでアレンジして、Logic に録音して、データをチャット上にアップして意見をもらいながらデモを完成させて、本番のレコーディングに入りました。
過去に『ALL INDIES THE BACK HORN』のレコーディングで先にドラムだけを録って、後から順番にベース、ギター、歌と他のパートを乗せていくセパレートなレコーディングを経験していたので、楽曲が出来上がっていれば、完成をイメージしながらそれぞれがパートを重ねていくことで、一緒にレコーディングしなくてもバンド感を出すことや楽曲の色合いを濃くしていくことができると思っていました。
●それでは、特に心配なく取り組むことができたんですね。今作のレコーディングを振り返って、印象に残っている楽曲は?
松田 シンプルに聴こえるようですが、「ネバーエンディングストーリー」のAメロのスネアで刻むビートのハネ感が難しくて、録ったテイクによって微妙にその感じが変わっていってしまい、どのニュアンスのテイクを採用するか悩みました。結果的に、細かい強弱やハネ感はあまり気にせず、楽曲に合って気持ち良く聴こえるテイクを選べて良かったのですが、正解だけを突き詰め過ぎると大事なものを見落とすこともあるんだと気づかされました。
あとは「ユートピア」のイントロ、サビ前半のハットのアクセントのニュアンスは、レコーディングでもけっこうシビアでした。最後のサビはハーフ・オープン気味になっているのですが、何度もテイクを重ねた結果、最後のサビで熱量を少し上げたいと思って、レコーディング本番でアプローチを変えました。レコーディング前にいろいろ想像して準備はするものの、その場になってみないとわからないこともあるんだなと、いい経験になりました。ライヴではさらにもう少しニュアンスを変えて叩こうと思っています。
Next➡︎「点と流れを同時に感じながらプレイできるようにしたい」