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Archive Interview – スティーヴ・ガッド #1

  • Interview & Text:Rhythm & Drums Magazine Interpretation & Translation:Akira Sakamoto Photo:Taichi Nishimaki

タイム感は練習で身につけるものだし
今でも練習する必要があるんだ

●近年ではブラシを使うことが多いようですが、それはダイナミクスや音価をより繊細に表現できるからですか?

◯僕はもともとブラシが大好きで、ブラシが使える機会が大好きなんだ。事前に決めるわけじゃなくて、ここでブラシが使えると感じたら、そうしたいと思っているだけだよ。

●ブラシの利点は、長い音価の音が鳴らせるということだと思います。もちろん、スティックでもロールなどを使うことはできますが、ブラシのほうが音価を自由にコントロールできますよね?

◯うん。その通りだと思う。

●レイドバック感のある重心の低いグルーヴがあなたの特長の1つですが、クリックに対するタイミングで意識していることはありますか?

◯重要なのは、ただクリックだけを聴くんじゃなくて、クリックを聴きながら他の共演者の音も聴いて演奏するということなんだ。だから、状況は曲によって違うわけで、他の共演者がどう感じているかを意識しながら判断していかなきゃならない。状況に応じて自分の演奏を調節しなきゃならないから、1つの方法に従ってやっているわけじゃない。曲によって違ってくるんだ。

●なるほど。あとクリックの音にこだわりはありますか。カウベルとか、クローズド・リムの音など、いろいろありますが……。

◯普通のクリック音が好きだね。しかも、クリックを使うときには、自分の演奏よりも大きな音量で鳴らしている。

●そんなに大きな音で鳴らすと、ダイナミクスの表現に影響しませんか?

◯それはないな。クリックはあくまでも、演奏がハシったりモタったりしないための基準で、後の編集作業を楽にするためのものに過ぎないからね。演奏の雰囲気に影響するとは思わないな。

●そういう境地に達するには、やはり現場での経験が必要なんでしょうね。

◯経験を積めば積むほど、楽に対応できるようになるね。クリックには慣れる必要があるし、好みの音量も自分で見極める必要がある。モニター用には、ヴィック・ファースのヘッドフォンが気に入っている。部屋鳴りをカットしてくれるからね。クリックを聴きながら録音したり、他のミュージシャン達と一緒に録音したりする時には、ドラムの部屋鳴りをカットすることが重要なんだ。他のヘッドフォンだと、ドラムの部屋鳴りが漏れて聴こえるから、リラックスして演奏できない。

●あらためてあなたのタイム感、特にミディアムやスローのテンポでのタイム感が素晴らしいと思います。それもダイナミクスと同じで、天性のものというよりも、やはり練習や経験で身につけたものなのでしょうか?

◯そうだね。それは練習で身につけたものだし、今でも練習する必要があるよ。タイムについてよく考えながら、集中して演奏しなきゃならないからね。たくさんやればやるほどリラックスしてできるようになるけれど、きちんと意識しながら演奏しなきゃならないことに変りはないんだ。

●タイム感を磨くために、どんな練習をしているんですか?

◯ドラム・マシンみたいに、テンポが一定で揺れない、何か基準になるものに合わせて練習するのが理想だよ。テンポを決めてそれを維持するように努力しながら練習することになるけれど、クリック・トラックやドラム・マシンがなければ、自分がハシっているのかモタっているのか判断のしようがないからね。

●今回の企画に際して、ジム・ケルトナーへあなたに関するインタビューをしたのですが、彼もあなたのタイム感のコントロールを絶賛していました。

◯そうなの? 僕はジムのタイム感こそ素晴らしいと思っているけれどね。彼は素晴らしいドラマーで、僕も大好きだよ。

●昨年、彼に長いインタビューをしたとき、自分のタイム感は人生経験が基盤になっていると言っていましたが、あなたもそう感じるところはありますか?

◯ウーン、彼の言う通りなんだと思う。人生の中で起こったことが、自分の感情や音楽との関わり方に影響するからね。自分では特に意識したことはなかったけれど、言われてみると僕もそう思うね。

リズム&ドラム・マガジン20年7月号

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New Product -【YAMAHA】 Steve Gadd Signature Snare Drum【Review】

◎Profile
スティーヴ・ガッド:1945年生まれ。ニューヨーク州ロチェスター出身。チャック・マンジョーネとの共演で頭角を現し、3年間の軍隊生活を経て、スタジオ・ミュージシャンとしての活動を本格始動。チック・コリア、ポール・サイモン、ミシェル・ペトルチアーニ、ジェームス・テイラー、エリック・クラプトンなどの膨大な数のアーティストをサポート。近年は自身がリーダーを務める“スティーヴ・ガッド・バンド”でも活躍。

◎Information
Steve Gadd HP Twitter