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試奏レポート【YAMAHA】 Steve Gadd Signature Snare Drum

  • Review:Yusuke Nagano

新規格のスナッピーを搭載
800台限定のスティーヴ・ガッド・スネア

スティーヴ・ガッド新シグネチャー・スネアで「Crazy Army」を叩いてみた

ヤマハが完成させた新たなスティーヴ・ガッドのシグネチャー・スネアは、“氏が現代に求めるサウンドを最大限に引き出す”ことがコンセプト。ブラック・フィニッシュの1.2mm厚スティール・シェルを採用し、3mm厚のアルミ製ダイキャスト・フープを装着。さらに、このガッド・モデルのために開発したというスナッピーは2本×5ブロックの10本線仕様。3.5mmと深めに削られたスネア・ベッドは、特注スナッピーとの相性を考慮したとのこと。

全世界800台限定生産となっており、直筆サイン入り証明書、日本国内のみ専用ハード・ケースが付属される。

Review

ルーズから超タイトまで幅広いレンジ
ガッドのイメージ通りの万能的スネア

鏡面仕上げのような輝きがあるブラック・ニッケル仕上げのシェルの美しさ。そしてサインが刻まれたオリジナル・バッジにも重みが感じられます。

実際に叩いてみると、まず音の芯の太さに驚きました。低域が豊かで輪郭が明確。スティール特有のパンチの効いたサウンドと、木のような温かみが共存しています。絶妙な塩梅でコントロールされた高域の倍音と、サステインの程良い収束具合いも心地良いのですが、このあたりにはブラック・ニッケル・メッキの効果と、パワー・ストローク3コーテッド・ヘッドとのバランスの良さも感じます。レンジも広く、超ハイ・ピッチにしても低域が損なわれず、ヘッドのみのショットとオープン・リム・ショットとの音圧差が少ないのも魅力です。

また、ガッドのアイディアが生かされた10本仕様のスナッピーの効果も抜群で、フル・ショット時のピタリと吸いつく感触はもちろん、繊細なロールやゴースト・ノートにもシャープに反応して、キレとメリハリを演出します。強く張ったときに、ボトム・ヘッドをミュートしすぎないこともポイントで、ルーズから超タイトまでの幅広い調整範囲を生かした、多彩な音作りが可能となっています。

まさにロックからジャズまで、ボーダーレスな活躍を続けるガッドのイメージ通りの万能スネア。ヤマハのシグネチャー・スネアは、過去にも名器がたくさん存在しましたが、ここにきて新たな傑作が生まれたという印象です。全世界で限定800台ということなので、ファンならずとも要チェックだと思います。

  • 1.2mm厚スティール・シェル。ガッドのイメージ・カラーをフィーチャーしたブラック・ニッケル・フィニッシュ。

GEAR SPEC

YSS1455SG
¥165,000(税抜)

【シェル】スティール(1.2mm厚)
【サイズ】14″×5.5″
【フープ】ダイキャスト(アルミ/3mm厚/10テンション)
【打面ヘッ ド】レモ・パワーストローク3コーテッド
【ストレイナー】Qタイプ
【スナッピー】10本線(2本×5)
【フィニッシュ】ブラックニッケル
【付属品】直筆サイン入り証書、チューニング・キー(DK25:ブラックニッケル)、ハード・ケース

製品ページ:HP
お問い合わせ:ヤマハミュージックジャパンお客様コミュニケーションセンターギター・ドラムご相談窓口(☎0570-056-808)

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リズム&ドラム・マガジン2020年7月号

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