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“ドラムの材”が丸わかり!スネア材質図鑑 -金属編-

  • Text:Kazuaki Yokoyama、Takuya Yamamoto、Rhythm & Drums Magazine

金属によるスネア・サウンドの傾向を知る
覚えていて損はないスネア選びの第一歩!

スネア・ドラムを買ってみたいけど、メイプル、バーチ、スティール、ブラス……結局違いって何? そんな疑問に答えるべく、ドラム・マガジン2018年3月号“スネア大特集号”より、スネアの材による音の傾向をまとめた“スネア材質図鑑”のWeb版が登場! 木材編と金属編に分けて、材質による違いを紹介していきます!

この企画はリズム&ドラム・マガジン2018年3月号の内容を一部再編集したものです。

=スネア材質図鑑 -金属編- 目次=

木材編はこちら

番外編はこちら

1.よく聞くシェル材
 -Steel -スティール-
 -Brass -ブラス-
 -Copper -コパー/カッパー-
 -Bronze -ブロンズ-
 -Aluminum -アルミニウム-
 -Bell Bronze/Bell Brass -ベルブロンズ/ベルブラス-
 -Titanium -チタン-
 -Stainless Steel -ステンレス・スティール-

2.ラディック・オリジナル合金“Ludalloy”の謎

Steel -スティール-

メタル・シェルのスタンダード

鉄を主成分とする合金で、日本では長年メタル・シェルのスタンダードとされてきた材。しかし、欧米のメーカーで主要なシェル材として扱われるようになったのは、意外にも最近のような気がします。ちなみに、フープ、テンション・ボルトなどのパーツ類は古くからスティール製のものが多いです。

  • Yamaha SD-065MG......Yamahaのスティール・スネアといえば、コージー・パウエルが愛用したSD-065MGや現行ステージカスタム。高域の嫌味な成分が少なく、発音が良く、まとまりが良いのが共通した印象。

材自体の価格ゆえ、以前はエントリー・クラスのイメージがあったものの、近年は高価なものも出てきていて、実力のある今後も伸びしろのありそうな材です。ただし錆びやすいため、メッキをかけたり不動態層を作るなどの処理が必須で、スネアのシェルとしてはクローム・メッキ、ブラックニッケル・メッキをかけたものが一般的。明るくストレートな、いかにも金属らしいサウンド。

Brass -ブラス-

太くてリッチ
明るく華やかなサウンド

黄銅または真鍮とも呼ばれるメタル・シェルのスタンダードかつ王様的な材。スティールの項でも触れたように、日本ではスティールを標準とする向きがありますが、70 年代頃まで欧米ではブラスが主流であり、歴史を考えると、こちらを標準とする方がしっくりきます。

  • LUDWIG Black Beauty......レコーディングの大定番。ブラスの華やかさを柔らかなブラックニッケル・メッキで包み込むことで、パワー感を損なわずに上品な響きを実現。

銅と亜鉛の合金で、太くてリッチ、明るく華やかなサウンドが特徴です。豊かで伸びやかな倍音はブラスならでは。クローム・メッキをかけるとタイトに、ラッカー塗装ではオープンに。ウッドで例えると、前者はバーチ、後者はメイプルのような違いでしょうか。ブラックニッケルでメッキした楽器も有名です。硬さと柔らかさが絶妙で、複雑かつ重厚な響きに。重量は基本的に重めですが、戦前のものは軽量なものも多いです。また戦前はニッケルメッキをかけたものが多く、トーンはダークになります。

Copper -コパー/カッパー-

柔らかくてダーク、中低域が充実

 銅の英語名。赤みがかった、ブラスより少し重めな金属です。昔から馴染み深い材ではありますが、ドラムのシェル材としては近頃注目を浴びていて、いろいろなメーカーが取り入れるようになりました。メタル・シェルの中では断トツに柔らかく、中低域が充実。パワーは控えめ、ダークで沈んだトーン……と、メタルらしからぬ、めずらしいキャラクターです。ウッドの延長という感覚でも違和感なく扱えるでしょう。シェル全体にハンマリングを施したモデルも多く見受けられます。

  • Yamaha Roy Haynes Signature Model......知る人ぞ知る、メタル・シェルの名器。柔らかくラウドな響きのカッパー・シェルをハンマリングすることで、複雑かつ温かみのある倍音構成に仕上げている。

メタルらしさ、ウッドらしさ、というように極端なキャラクターを求めてしまうと選択肢から外れてしまいがちではありますが、ドラムの素材としては大変優秀。今後の可能性にも期待したい材です。