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“煩悩の数”だけリズム・パターン108
- 講師:菅沼道昭
- 演奏(Jazz & Fusion):能村亮平
- イラスト:伊藤丈丸
Funk & Jam編
基本~発展ファンク・ビート
打ち込み系まで25パターン
Funk & Jam編は、脈々と続くファンクの基本ビートから、さまざまなパイオニア達が進化させてきたアプローチの数々、ジャム・バンドから生まれたリズムや人力打ち込み系のパターンなどを含む、25発!
Funk & Jam 01 ファンク・ビートの基本型(1)
16分音符のノリを多分に含むファンク・ビ ートの“下地”となるのは、やはりスネアのゴースト・ノート。特にバック・ビート直後にリバウンドを利用して入れる16分のウラ打ちが決め手。( )に示した4拍目の16分のバス・ドラムは“ファンキー感”演出に欠かせないフレーズと言える。
Funk & Jam 02 ファンク・ビートの基本型(2)
16分のバス・ドラムを組み込んだパターンで、8ビートとは違ったグルーヴ感がより強調された形。スネアのゴースト・ノートの入れ方は(1)と同様で、バス・ドラムと重なっても気にせずに入れるのがノリを出すポイント。16ビートの典型的なアプローチとも言えるリズム・パターン。
Funk & Jam 03 「ファンキー・ドラマー」風パターン
ファンクの帝王JBことジェームス・ブラウンで活躍した達人、クライド・スタブルフィールドによる「ファンキー・ドラマー」風のパターン。ブレイクビーツのネタとしても有名で、 16分を小刻みにチップで叩くハイハットが特徴。4ウェイの動きが完璧に噛み合った芸術的なコンビネーションである。
Funk & Jam 04 JBの定番“コールド・スウェット”
JBと言えばこのビートというくらいの定番パターン。 4拍目のバック・ビートがスリップしたアプローチで、“コールド・スウェット”とは “冷や汗が出るくらいのファンキーさ”というのが語源。このスリップ感は以降のファンク・ビートにも多大な影響を与えていて、ファンクには欠かせない手法となっている。
Funk & Jam 05 変型“コールド・スウェット”型アプローチ
コールド・スウェット型のスリップ・ビートを組み込んだパターンの一例で、ビリー・マーチンのプレイをアレンジしたもの。ジャム・バンド系特有のアドリブ感たっぷりのファンク・ビートで、バック・ビートを2ヵ所スリップさせているのがポイント。ファンクの“旨味”の詰ま ったパターン。
Funk & Jam 06 現代的なニューオーリンズ・ファンク
ニューオーリンズ系ファンクの継承者と言えるスタントン・ムーアのファンク・ビートをアレンジ。セカンドラインのリズムとニューオーリンズ伝統のスウィング感を併せ持ったアプローチで、4拍目のスネアのバズ・ロールもポイント。適度な“ハネ”あってこそのパターンである。
Funk & Jam 07 ハイハット&バス・ドラムがリニアで絡むパターン
ニューオーリンズ・ファンクのパイオニア、ミーターズの定番曲のジガブーの代名詞とも言うべきパターン。4拍目の“タンタン”でニューオーリンズ的リズムを醸しつつ、ハイハ ットとバス・ドラムがリニア的に絡むグルーヴ感が特徴。ハイハットは両手で叩くのがポイントで、2拍目のウラのアクセントが決め手。
Funk & Jam 08 洗練されたアシッド・ジャズ・ファンク
洗練された現代的なファンク・ビートが特徴のインコグニート風パターン。両手でハイハットを刻む形はフュージョン的な雰囲気もあり、構築度の高いアプローチとなっている。同じフレーズをモチーフにした“コール&レスポンス”のようなパターンの組み立ては非常に参考になる。
Funk & Jam 09 ニュージャック・スウィング的アプローチ
ヒップホップの1つのジャンルとも言える “ニュージャック・スウィング”。その打ち込み的なリズム感をドラムで表現したのがこのアプローチ。ポイントはハネたタイミングのスネアのウラ打ちを強調しているところで、これを左手でキープして右手でバック・ビートを叩くのがミソ。
Funk & Jam 10 メカニカルなファンク・ビート
タワー・オブ・パワーの「ソウル・ヴァクシネイション」におけるデヴィッド・ガリバルディのメカニカルなファンク・アプローチ。ライド・シンバルのカップで叩くアクセントとバス・ドラム、スネアが有機的に絡むようなパターンで、アンサンブル重視の頭脳的なパターン作りと言える。
Funk & Jam 11 Pファンクのアーシーなビート
ラディカルなファンクを追求するPファンク風のアーシーでヘヴィなアプローチ。“ドドッ” というバス・ドラムのダブルが特徴で、カップのウラ打ちとのコンビネーションがポイント。ノリとして重さをキープしながら、手法としては完全なリニア・アプローチになっているのがポイント。
Funk & Jam 12 レア・グルーヴ的ファンク・ビート
ハービー・ハンコックのヘッド・ハンターズのメンバーにして、70年代のレア・グルーヴ的な雰囲気を今に伝えるマイク・クラークお得意のアプローチ。ポイントは16分でバック・ビートをスリップさせたパターンで、ある意味でコールド・スウェットを一歩進化させたようなパターンと言える。
Funk & Jam 13 バック・ビートを排したファンク・ビート
アンディ・ニューマークが繰り広げたバック・ビートを完全に排した、自在なアプローチのアレンジ版。ハイハット・オープンのアクセントを有効にファンキーな感覚に結びつけているのがポイント。1拍目のハイハット・オープンがリズムのモチーフになっているのでこれを強調するのがミソ。
Funk & Jam 14 バック・ビートをすべてスリップさせたパターン
ビリー・コブハムの「ファンキー・サイド・オブ・シングス」などで聴ける、まさにファンキー・パターン。一般的なファンクの概念を覆すようなバック・ビートをすべてスリップさせたアプローチ。しかしスネアは一定のビートをキープしているので非常にダンサブルなグルーヴになっている。
Funk & Jam 15 R&B、ヒップホップで用いるスロー・ファンク
バラード的なテンポで用いられる16ビートのパターンで、プログラミングされたリズムトラックのような感覚もあるアプローチ。ポイントはハイハット・オープンの入れ方。ヒップホップなどでも用いられる手法で、ハイハットをすべてチップで叩くとまた独特な効果が得られる。
Funk & Jam 16 ロックとヒップホップを結びつけたパターン
RUN-DMCがカヴァーしたエアロスミスの超有名曲をモチーフにしたパターン。今では想像もできないかも知れないがエアロスミスはかなりファンキーな曲もやっていたバンドで、このパターンはまさにロックとヒップホップを結びつけた典型的アプローチと言えよう。
Funk & Jam 17 独特なノリの「Snakes」風パターン
デヴィッド・サンボーンの曲「Snakes」でのスティーヴ・ジョーダンがプレイしたパターンをアレンジ。リム・ショットを使った独特なグルーヴで、もはやパターン自体を“Snakes”と命名しても良いようなアプローチ。この音型はバウンスさせたりとさまざまに応用の利く形である。
Funk & Jam 18 無国籍な感覚の現代的ファンク・アプローチ
ジャム系バンドやヒップホップ系のロック・バンドなどに見られるパターンで、エスニックな感覚も含んだダンサブルなファンク・ビート。さまざまなリズム要素を掛け合わせて発展した“今どき”の旬なビートと言えるかもしれない。4分打ちのバス・ドラムとスネアの絡みが特徴的だ。
Funk & Jam 19 ミータ-ズの影響を受けたバウンス・ファンク
ミーターズの影響を多分に受けたファンク・バンド、ニュー・マスター・サウンズなどが用いるバウンスしたファンク・ビート。2拍目から3拍フレーズ的に進行するスネアのアクセントがニューオーリンズ的な雰囲気を醸し出している。3、4拍目はRLRLと手順が切り替わるのがポイント。
Funk & Jam 20 クリス・デイヴ風“ナイジェリアン・ファンク”
キザイア・ジョーンズの「ナイジェリアン・ウッド」でのクリス・デイヴが叩くアプローチのアレンジで、本場のアフロ・ビートとは一味違った解釈のエスニック・ファンクをうまく演出している。リム・ショットとハイハット・オープンのコンビネーションにより非常に浮遊感のあるビートになっている。
Funk & Jam 21 プログラミングしたドラムを感じさせるアプローチ(1)
RHファクターの楽曲で展開されるパターンのアレンジで、2、4拍でリム・ショットはキープしているものの、通常のパターン構造とは違う無機質な感覚を伴ったアプローチ。ハネをルーズにさせないのが機械的なグルーヴに聴かせるコツで、ハイハットはタイトに叩くのもポイント。
Funk & Jam 22 プログラミングしたドラムを感じさせるアプローチ(2)
ヒップホップの要素を含むプレイを得意とするリチャード・スペイヴンのアプローチの1つ。バウンスしたリズムの中に突然あらわれる6連のハイハットが“フェイズ”の違ったリズム感を出しているのがポイント。プログラミングによるドラムの感じを出すのによく用いられる手法。
Funk & Jam 23 人力によるドラムンベースの基本型(1)
ジャムやフュージョン系ではマスト・アイテムとなりつつあるドラムンベース・パターンの基本型。スリップさせたアクセントと16分のウラのゴースト・ノートの連打がポイントで、この“チタチタ”の高速感が命。小口径スネアを使うとこの細かいアタック感がさらに強調される。
Funk & Jam 24 人力によるドラムンベースの基本型(2)
ミドル・テンポでは変型したコールド・スウェット風リズムとも解釈できそうなパターンで、これをファスト・テンポで演奏するとドラムンベース特有のフィーリングが出せるアプローチ。テンポが速いだけで一般的なファンク・ビートがその土台になっているということがわかるだろう。
Funk & Jam 25 ジョジョ・メイヤー式のプログラミング・ハイブリッド・ビート
ジョジョ・メイヤーのNERVEでのプレイに見られる6連を駆使したテクニカルなアプローチ。 拍ごとに変化するハイハットの無機質なリズムが特徴で、バス・ドラムとスネアは通常のバウンスしたファンク・ビートの形である。この人間離れしたようなリズムがプログラミングのような感覚につながっている。
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