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今だからしたい“楽器の大掃除”その2〜フット・ペダル・メンテナンス〜

  • Contents:Rhythm & Drums Magazine Text:Naoki Ito[riddim Custom Drums] Photo:Takashi Yashima

新型コロナウイルスの影響で続く外出自粛期間。家で過ごす時間が増えたことにより、あらためて楽器と向き合うドラマーが増えたのではないだろうか。今回は“楽器の大掃除”企画の続編をお届け。フット・ペダルのメンテナンス方法について見ていこう。スネア・ドラム編はこちら。(2020年2月号の内容を抜粋したものです)

フット・ペダル編

メンテナンス・アイテム

こちらは機械用のクリーナーや潤滑油がメイン。フット・ペダルは機構的に狭い隙間が多いので、ノズルのついたスプレー・タイプが便利です。フット・ボードの溝の汚れなどは、中性洗剤を水に溶き、歯ブラシで掻き出して布で拭き取ればOK。

フット・ペダルのメンテナンス・アイテム。写真左からKUREのブレークリーン、使い古したタオル、KUREのチェーンルブ(チェーン用潤滑剤)、KUREの5-56(金属防錆、多用途潤滑剤)、KUREのグリースメイト(スプレー・タイプの金属潤滑剤)、エアダスター、ハケ、プラス・ドライバー。

メンテナンス

Point
ペダルは足元にあり汚れが溜まりやすいので、まずは汚れを落とすこと。その上でノイズや動きの悪い部分はないかチェックし、あれば対処しましょう。ノイズや油切れがなければ、刷毛やウェスでホコリや汚れを落とすだけでも十分です。

今回のメンテナンスで使用したフット・ペダルは、写真左からTAMAのIRON COBRA、パールのELIMINATOR REDLINE、ヤマハのFP9500C、DWのDW-9000。

まずはペダルの動きに引っかかりがないか、またノイズは出ていないかをチェック。原因の特定が難しい場合は(難しい方が多い)、楽器店などに相談を。

各部の汚れを刷毛などで落とす。細かい部分にはエアスプレーが便利。

スプリング周辺はノイズの出やすい部分。金属同士が接している可動部には潤滑スプレーを塗布し、布で拭き取る。

フット・ボードのヒンジ部分からノイズが出ている場合は、同様に潤滑スプレーを塗布。

ヒンジ部にボール・ベアリングが内蔵されている場合は、潤滑スプレーは逆効果になる(ベアリング内のグリスが流れ出てしまう)こともあるので注意が必要。

駆動部にチェーンを使っているタイプは、油切れによるノイズが発生しやすい。まずは洗浄スプレーで汚れを落とす。

布で拭き取った後、粘度の高いオイル(チェーン・オイルなど)を注し、余分な油は拭き取る。

シャフトが回転する両側のフレーム内にはベアリングが内蔵されているので注油は不要(ここに問題がある場合は分解が必要になるため、楽器店などに相談した方が賢明)。

パーツの取りつけ不良によるノイズ発生も少なくない。 チェーンやベルトの取りつけ位置がズレていないかチェック。

スプリング固定ナットに緩みがあると“カタカタ”とノイズが出る。

アンダー・プレートを装備しているタイプは、フレームを固定しているボルトに緩みがないかチェック。

バス・ドラムのフープに固定するカムの開き具合いが可変できる場合は、しっかりと固定できるよう調節する。

ビーター・ヘッド(特にフェルト)が著しく変形している場合や、シャフトが曲がっている場合は交換する。

●講師

伊藤直樹
[riddim Custom Drums]

Profile●いとうなおき:ドラマー、パーカッショニストとしてレコーディング、ライヴ・サポートを中心に活動する一方で、ドラム・レンタル、チューニング、リペア、カスタマイズなどを通じて国内外のドラマーをサポートしているドラム・カンパニー「NASH」に所属。ドラムテックとして幅広い現場で経験を積む。2014年、自らの工房「riddim」(https://www.riddim.info)を設立し、オリジナル・ドラムの開発、製作、販売を行っている。

さらに詳しく知りたい人は

『リズム&ドラム・マガジン
ドラム・チューニング&メインテナンス・ブック』
ISBN:9784845618903