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「大間ジローが叩けば、オフコースのサウンドになる」|“TIMELESS TUNES~時を超えるメロディ”第2回公演レポート
- Text:Yuichi Yamamoto/Photo:TATSUYA"Doobie”MINE
日本のポップス史にその名を刻む伝説的バンド“オフコース”。そのドラマー、大間ジロー氏(以下、敬称略)がプロデュースするコンサート“TIMELESS TUNES~時を超えるメロディ”の第2回公演が、2026年8月30日に日本橋三井ホールで開催された。時代を超えて愛される音楽と、世代を超えたミュージシャンたちが集った一夜。その模様をレポートしたい。
オープニング・アクトには、大間が期待を寄せる二組の女性シンガー・ソングライター、黒木ちひろと阿部桃子が登場。それぞれがギターの弾き語りでオリジナル曲を1曲ずつ、さらに大間のカホンを交えてカヴァー曲も披露。満員の会場からは大きな拍手が送られ、客席は早くも和やかなムードに包まれていく。
オフコースのサウンドを
今に伝えるThe Jiromaland
そして本編のトップは“The Jiromaland”。大間がプロデューサー&ドラマーとして、2024年に始動させたバンドで、この日はホスト・バンドとしてもステージを支えた。このバンドには2つの魅力がある。1つは、オリジナル曲を通じて独自のサウンドを構築していること。そしてもう1つが、往年のオフコース・サウンドを限りなくオリジナルに近い形で、今に伝えていく力だ。中でも、ヴォーカリストの井上英昭は、小田和正へのリスペクトを超えた使命感すら感じるほど。“本物のドラマー”が率いるオフコース・サウンドの継承は、当時夢中になった世代にはとてもうれしくあり、貴重でもある。
この日のメニューは、1982年のオフコース日本武道館10days公演と同じく「愛の中へ」からスタート。オリジナルではツイン・リードのギターによる旋律を、ギタリストの平島淳司と、オフコース後期の活動にも参加した名サックス奏者、園山光博が見事に再現する。さらに、ベースの田口智則と大間が当時のライヴ・アレンジそのままに繰り出した一瞬のフレーズには、思わず笑顔に。メンバーで重ねるコーラスも見事なハーモニーであった。
続いてはキーボードのTACOS NAOMIが奏でるクラビネットのリフで始まった「メインストリートをつっ走れ」。この曲順も武道館公演のままだ。ここでは鈴木康博のリード曲をPer.&Dr.の五十嵐一欽が力強く歌い上げ、会場を熱く盛り上げた。そしてひと呼吸置き、紅一点の“ゆりえ”が歌った「秋の気配」には、懐かしさの中に新しさがあり、単なる再現だけではないThe Jiromalandの魅力が伝わってきた。
世代を超えたゲストが紡ぐ
“時を超えるメロディ”

最初のゲスト、四角佳子は鮮やかな赤い衣装でギターを手に登場。「雨が空から降れば」、「春の風が吹いたら」の2曲で聴衆を温かく包み込む。そして軽妙なトークを交えたあとは大間のリクエストによる吉田拓郎のカヴァー「今日までそして明日から」。最後には次のゲストであるBUZZ NEXTを招き入れ、上條恒彦&六文銭のメンバー時代の大ヒット曲「出発の歌」を、総勢10名を超えるメンバーと聴衆が一体となって大合唱。会場をひとつにしてバトンを渡した。
続くBUZZ NEXTは、前身BUZZのオリジナル・メンバーである東郷昌和が、新たに百田忠正と組んで2024年にスタートしたデュオ。ギタリストの平野 融をサポートに迎え、まずは3人で「心の記憶」、「やさしさって。…今、僕たちは」を歌い、その力強く美しいハーモニーで観客を魅了する。続く大間と東郷のトークは、実に興味深いエピソードの連続。すでに人気を得ていたBUZZと、まだ日の目を見ていなかったオフコースが一緒にツアーを回っていた頃の秘話は、語っても語り尽くせない様子であった。そして最後にバンド編成で、BUZZの代表曲「ケンとメリー~愛と風のように~」を心地良く奏でて締めくくった。
ゲストの最後は中村耕一。JAYWALKのリード・シンガーとして活躍し、現在はソロ活動を中心にしつつ、再びJAYWALKとの共演も果たしている。演奏前のトークでは「とても緊張しています……」と語っていたが、柳ジョージの名曲「青い瞳のステラ」をギター一本で歌い上げると、客席は一気に彼の世界に引き込まれていく。そして、JAYWALKの代表曲「JUST BECAUSE」、「何も言えなくて…夏」をバンド編成で熱唱。その圧倒的な歌唱力と存在感で会場を大きな感動に包み、本編を締め括った。

鳴り止まぬ拍手に応えて、アンコールはThe Jiromalandのオリジナル曲「風が強く吹いていた」からスタート。大間自身が作詞・作曲を手がけたこの曲からは、オフコースの時代から今へと続く彼の想いと、このコンサートの開催までのストーリーが伝わってくる。そしてラストは、全出演者によるオフコースの「君住む街へ」。会場全体も自然と一緒に口ずさむ様子には、この日、この場所に集った人々がそれぞれ歩んできた時代が重なって見える。“TIMELESS TUNES~時を超えるメロディ”というタイトルを象徴するような、温かなフィナーレとなった。
今も輝く大間のドラミング

さて、最後に大切なことを書かなければならない。大間ジローのドラミングは、今も本当に輝いていた。オフコースのメンバーとして、ヒット曲に恵まれぬ時期から前人未到の武道館連続10日間公演、そして解散コンサートの東京ドームまで。若き日にとてつもない経験を積み重ねた彼のドラミングには、今も音楽全体を包み込む優しさと力強さがある。「大間ジローが叩けば、オフコースのサウンドになる」。そんな発見があった夜であった。オフコース世代の方には、ぜひ“今”の大間ジローの活動にも注目していただきたい。

大間のインタビューも掲載された2025年4月号の「昭和100年特集後編」を読む(こちら)