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    名盤『Kind of Blue』を支えたレジェンド|名手ジミー・コブが語る“スウィング”の正体【アーカイブ】

    本日5月24日はジャズの歴史にその名を刻むレジェンド・ドラマー、ジミー・コブの命日。2012年に実現した彼のアーカイヴ・インタビューから、“スウィング”を巡る内容を抜粋して掲載。マイルス・デイヴィスの傑作『Kind of Blue』を支えた名手にとってスウィングとは単なるリズムの揺れではなく、音楽に“それまでなかったもの”をもたらす感覚。ライド・シンバルでタイムを示す理由、時代を越えて変わらないドラマーの役割。歴戦の名手が自身の言葉で明かすスウィングの本質とは?

    その曲がそれまで持っていなかった
    要素をもたらすもの
    これがスウィングについて
    私にできる最良の説明だよ

    ●昨日のライヴを聴いて、当然のこととは言いながら、スウィング・フィールの素晴らしさを再認識した思いです。
    ジミー
    :私は特に意識していないけれど、自然とあぁいうふうに演奏したくなるんだと思うよ。私にとっては“スウィングしなけりゃ意味がない”からね(笑)。そういうタイトルの曲があるけれど、私もまさにそう思っているんだ。

    ●デューク・エリントンの名曲ですね。
    ジミー
    :そう。だから、より良い演奏をするため、ステージに上がるたびに私はそう心がけているんだ。

    ●そのスウィング・フィールをどのようにして生み出しているのか、とても興味があるのですが。
    ジミー
    :どうなんだろう。スウィングしていない人よりも、スウィングしている人の演奏を聴きたいと思うなら、スウィングしていない状態を察知する方法を心得ておく必要があるんじゃないかな。演奏がスウィングしていなければ、私はそれを感じ取ることができるし、スウィングするようになれば、それも感じ取ることができる。私は今までずっとみんなの演奏に耳を傾けてきた。そして、私がいいなあと思う人はみんな、スウィングしていたんだ。わかるかい(笑)? スウィングというのは、それまで音楽の中にはなかったものをもたらすものさ。聴いている人達を、それまで以上に良い気分にするものをもたらしてくれるんだ。

    例えば、あるポピュラー・ソングをルイ・アームストロングが歌うとすると、彼は他の人のようには歌わない。彼は彼のやり方で歌うわけで、彼はそれでその曲をスウィングさせるんだ。これがスウィングについて私にできる最良の説明だよ。その曲がそれまで持っていなかった要素をもたらすものだ。

    ●テクニカルな面についてもおうかがいします。まず、右手のシンバル・レガートについてですが、これはジャズという音楽の中でどんな役割を果たしていると思いますか?
    ジミー
    :みんなにタイムを聴かせるためにやっている。さっきも言ったように、最初はベース・ドラムで4分音符を踏んでいたけれど、(タムとの)コーディネーションをやるようになってから、別の方法でタイムを刻む必要が出てきた。それで、上モノで刻むようになったんだ。ディジー・ガレスピーはもともとベース・ドラムが4分音符を刻む時代からやっていて、小編成のバンドを組んだときにも、ドラマーがベース・ドラムで4分を刻むことを期待していた。でも、私が彼のバンドに入ったときにはそれをやらなかったから、彼は“ベース・ドラムが聴こえないぞ!”と言うつもりで、私のベース・ドラムのところに耳を当てる仕草をした。それで私は、ビートが聴こえるようにライドで4分を刻むようにしたんだ。それが多分、レガートの始まりだろうな。私はそうだったからね。

    とにかく、ビートはどこかでキープしていなきゃならない。手足のコーディネーションをやるようになると、(足が4分音符を刻まなくなり)ビートをキープするものがなくなって、みんなはどこが1拍目だかわからなくなってしまう。そこで、右手で4分をキープするようになったというのが、少なくとも私の理論だよ。エルヴィン(ジョーンズ)みたいに、そういう演奏をしないドラマーもたくさんいるけれどね。彼はすべてを分解して、両手両足でいろいろなパターンを叩いている。そういうやり方でタイムもキープしているんだ。彼はあぁいうことをやるようになる以前には、ベース・ドラムで4分を刻むドラマーを聴いている。それで、ドラムがタイムを刻むための基礎をしっかりとわきまえているから、あぁいうやり方でも通用するんだ。トニー・ウィリアムスもそうだ。

    ●あなたのリズムの作り方は、時代と共に変化していると思いますか?
    ジミー
    :私のやり方の基本はとにかく演奏をスウィングさせるところにあって、その意味では変化していない。ビ・バップからファンクまで、音楽のスタイルは変化してきたけれど、バンドをスウィングさせる、バンドが必要とするものを提供するという役割は変わらないからね。ファンクのビートだって、スウィングさせなきゃならない。正しくスウィングさせなければ、正しい音楽にはならない。ドラマーの役割はあくまでも、タイムをキープして、バンドが必要とする役割を果たすというところにあるんだ。音楽のスタイルが変化すれば、ドラマーの演奏スタイルも変化するけれど、その音楽の方式に見合ったビートを刻んでいることに変わりはない。

    ジミー・コブが語る『Kind Of Blue』の裏側

    スティーヴ・ガッドにも多大な影響を与えたジミー・コブ。インタビューではスウィングについてさらに踏み込んで語っている他、マイルス・デイヴィスの名盤『Kind Of Blue』についても言及している。月額990円(いつでも解約可能)で名手の言葉をじっくりと読み込んでほしい。