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    山下達郎『CIRCUS TOWN』50周年|参加ドラマー、アラン・シュワルツバーグとは?

    • Text:Rhythm & Drums Magazine

    今年ソロ・デビュー50周年を迎えるシンガー・ソングライター、山下達郎。その記念すべきデビュー・アルバム『CIRCUS TOWN』の50th Anniversary Editionが本日4月8日に発売。ニューヨークとロサンゼルスでレコーディングが行われた本作の、ニューヨークで録音された楽曲でドラムを担当しているのが、70年代に東海岸で活躍したセッション・ドラマー、アラン・シュワルツバーグ。本記事では1983年に「Modern Drummer」誌に掲載されたインタビューを元に、『CIRCUS TOWN』のサウンドを支えた名手のルーツとキャリアを紐解く。

    アラン・シュワルツバーグ|
    『CIRCUS TOWN』に珠玉のグルーヴを
    刻んだ名手のルーツとキャリアの全貌

    Photo by Bobby Bank/Getty Images

    ドラムとの衝撃的な出会い

    アラン・シュワルツバーグ(Allan Schwartzberg)は1942年生まれ。ニューヨーク出身。ドラムに興味を持ったのは10歳の頃で、学校の帰り道にある家の前を通ったときに聴こえてきたドラムの音に釘づけになったという。インタビューでは「私の人生で起きた“神秘的な出来事“のうちの1つ」とドラムとの衝撃的な出会いについて語っている。

    その後、両親を説得し、13歳の頃にドラム・セットを購入。ジャズ・ドラマーで指導者としても知られるサム・ウラノ(Sam Ulano)に師事。その後はスティーヴ・ガッドも通った名門=マンハッタン音楽学校に入学。クラシック・パーカッショニストとして著名なモリス・ゴールデンバーグ(Morris Goldenberg)に師事し、本格的に打楽器を学んだ。

    アランが影響を受けたドラマーとして名前を挙げているのは、ジーン・クルーパ、マックス・ローチ、フィリー・ジョー・ジョーンズ、エルヴィン・ジョーンズ、トニー・ウィリアムスといったジャズ・ドラマー達。さらにロジャー・ホーキンス、ジム・ケルトナー、バーナード・パーディといった同世代のセッション・ドラマーにも注目していたという。また、スティーヴ・ガッドは後輩格に当たり、ニューヨークに出てきて間もない頃のスティーヴに仕事を紹介したこともあるそうだ。

    スタン・ゲッツのオーディションで
    勝ち抜いた音楽のためのドラム

    プロ・ドラマーとしてのキャリアのスタートはジャズで、クラブでジム・ホール(g)、ロン・カーター(b)らと共演。そして本人が自分のビバップ・キャリアの頂点と語るのが、オーディションで勝ち取ったスタン・ゲッツ(sax)との仕事だ。他のドラマーが複雑なアプローチを披露して目立とうとする中、アランはスウィング・スタイルで吹くスタンを引き立てるために、シンプルでオーソドックスなアプローチでプレイし、見事にその座を射止めた。本人曰く、常にその場の状況で求められる演奏をしようと心がけているとのことだ。

    スタジオ・ミュージシャンとして
    成功した音作りの秘訣

    その後、ジャズ・セッションからスタジオ・ワークへと活動の場を広げたアラン。当時のセッション・ドラマーについて「当時の多くのドラマーはスタジオのただドラム・セットに座って叩くだけだった」と語り、そんな中でアランは曲のシチュエーションに合わせてチューニングを調整し、プレイバックを聴きながらサウンドを完璧に仕上げていったという。

    高度なテクニックを注ぎ込む音楽的なプレイ、作品に寄り添ったサウンド・メイク、そしてどんな小さな仕事にも全力で取り組むアランの姿勢を、エンジニアやプロデューサー達は高く評価。次第に仕事が増えていき、70年代のニューヨークにおけるファースト・コール・ドラマーへと駆け上がっていった。

    ジェームス・ブラウン、ジミ・ヘンドリックス、アリス・クーパー、バーブラ・ストライサンドなど数々の作品に参加してきたアラン。本人は印象に残っているレコーディング作品として、ピーター・ガブリエル『Peter Gabriel』、ハリー・チャピンの「Cats in the Cradle」、グロリア・ゲイナーの「Never Can Say Goodbye」などを挙げている。ファンクやロック、ポップ、ディスコまで、その幅広いジャンルへの対応力も、彼の大きな強みと言えるだろう。また、スタジオ・ワークと並行してハービー・マン、パット・トラヴァース、ピーター・ガブリエルらのツアーにも参加。74年にはアメリカン・ハード・ロックを牽引したバンド、マウンテンにも在籍していた。

    『CIRCUS TOWN』に刻まれた
    色褪せないサウンド&グルーヴ

    ジャズで培った感覚と、スタジオ・ワークで磨き上げたサウンド・アプローチを武器に、70年代を代表する売れっ子ドラマーへと登り詰めたアラン。まさに脂の乗り切った1976年に参加した『CIRCUS TOWN』でも、ニューヨークで録音された楽曲において、ウィル・リー(b)、ジョン・トロペイ(g)らと共に洗練されたアンサンブルを披露。「CIRCUS TOWN」、「WINDY LADY」を筆頭に、50年経った現在も色褪せない本作のサウンド。その根幹には名手=アラン・シュワルツバーグの確かなグルーヴが刻まれている。

    *本記事は「Modern Drummer」1983年11月号掲載のインタビューをもとに構成しています。

    ■作品情報

    『CIRCUS TOWN (50th ANNIVERSARY EDITION)』
    山下達郎

    ソニー BVCL-1519

    1「CIRCUS TOWN」|*
    2「WINDY LADY」 |*
    3「MINNIE」 |*
    4「永遠に」 |*
    5「LAST STEP」
    6「CITY WAY」
    7「迷い込んだ街と」
    8「夏の陽」
    9「言えなかった言葉を -New York Version- (Original Master ver.)|*」
    10「CIRCUS TOWN (Original Karaoke)」 |*
    11「WINDY LADY (Original Karaoke)」 |*
    12「MINNIE (Original Karaoke)」 |*
    13「永遠に (Original Karaoke)」 |*
    14「言えなかった言葉を -New York Version- (Original Karaoke)」*

    * がアラン・シュワルツバーグが参加したNY録音

    ■作品の詳細はこちら→HP

    本記事とは別角度から
    ↓アラン・シュワルツバーグに迫る↓

    ↓2004年5月号の「ドラマー立志風雲録」をサブスクで読む↓

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