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TAMAのSTARPHONICシリーズにスプルース・シェル・モデルが仲間入り|博士 山本拓矢が試した【2025年4月号】のNEW PRODUCTS

  • Review:Takuya Yamamoto[bohemianvoodoo]

温かい音色と心地良い響き
TAMAのSTARPHONICシリーズに加わった
スプルース・シェル・モデル

TAMAのSTARPHONICスネア・シリーズに、アコースティック・ギターの製作にも使われるスプルース材を採用したモデル=Starphonic Spruce PSP146Eが登場した。

シェルに採用された8mm厚/9プライのスプルース材は、独自の温かみのあるサウンドを持つ材質で、近年のS.L.P.シリーズやピーター・アースキン・シグネチャー・スネアなどでも採用されている。STARPHONICシリーズではお馴染みのGrooved Hoopとの組み合わせにより、心地良い音の抜けと柔らかな打感を実現。

Grooved Hoopはテンション・ボルトを通す穴をなくした1.5mm厚のフープで、より自然なシェル鳴りを促すと同時に、高い剛性と真円度も実現。エッジ形状は内曲げ式で、倍音を適度にコントロールし、引き締まったサウンドを得ることができる。Super Sensitive Hi-Carbon Snare Wiresによる繊細なスナッピーの響きも特徴の1つで、スネア・ヘッドへの追従性を高め、絶妙な吸いつきと歯切れの良い響きを両立したことで、プレイヤーの細かいパッセージも逃さない繊細さと豊かな表現力を備えている。

シェル中央には、ヴィンテージ感のあるブラウン・インレイが施され、落ち着いたサテン・ナチュラル・スプルースフィニッシュで仕上げられている。また、テンション・ボルトを緩めるだけでフープからフックが外れるオリジナル機構=Freedom Lug & Claw Hookを搭載しており、ドラム・ヘッドの交換が容易に行えるのもポイント。

スプルース材とオリジナルの機構との組み合わせにより、新たなサウンドを追求したモデルとなっている。



STARPHONIC Spruce Snare Drum/PSP146E(14″×6″) ¥97,900

すべてにおいてちょうどいい
個性と実用性が高い次元で両立

太さ、柔らかさ、軽さ、明るさ……それぞれのパラメーターが、やや大きめなところがありながら、決して過剰ではなく、個性と実用性が高い次元で両立しています。

STARPHONICは多くのバリエーションが存在していますが、8テンション仕様は新鮮に感じられますね。同じタイプのラグとフープを用いた、コンサート向けのラインには存在していますが、異なるねらいがあるのでしょう。シェルが持っている音像の膨らみやすさを生かしながら、パーツで適度にフォーカスさせた、といった具合いでしょうか。

音のツブは大きめながら、滑らかでキレが良く、ドライではありつつも、ヴィンテージのようなダークな傾向はなく、音量は控えめですが、足りない感じもありません。特に、ライトなアルミの楽器が活躍するような状況で、理想的な選択肢の1つになりそうです。