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    Report – TOUR 2021 “Together Again!”(茂木欣一[東京スカパラダイスオーケストラ])

    • 文:リズム&ドラム・マガジン 提供:ソニー・ミュージックアーティスツ

    “また一緒に”という思いを込めて
    待望のスカパラ有観客ライヴが開催

    昨年デビュー30周年を迎え、去る3月3日には新作『SKA=ALMIGHTY』をリリースした東京スカパラダイスオーケストラ。新型コロナウイルス感染拡大後としては初となる有観客公演の全国ツアー「Together Again!」を開催。緊急事態宣言の発令によって、一部の公演は振替となったが、今回は去る2月7日(日)に行われた千葉県文化会館 大ホールでのライヴ・レポートを特別にお届けしていこう!

    開演時間の18時になると、“TOKYO SKA PARADISE ORCHESTRA Together Again!”と大きく掲げられた垂れ幕の裏側から、SEとして「多重露光 feat.川上洋平([Alexandros])」のイントロが勢い良く弾けるように鳴り響き、その後の生演奏で放たれたサウンドは、ファンの前で生演奏が披露できる思いの現れであるかのように、垂れ幕越しでも圧倒されるほどの確かな迫力。待ちに待った観客が座席から一斉に立ち上がり、声出しができない代わりに、いつも以上に大きな拍手が響き渡った。

    とりわけ茂木欣一(d)は、スウィングするメロディを踊らせるように展開していくドラミングで、鮮烈なインパクトを残していた。イントロのシンコペーションや曲中のブレイクでも、小気味良く愉快にメンバー全員をリードし、フロアを跳ね上がらせていく。バンドの勢いはそのまま加速。「スキャラバン」、「DOWN BEAT STOMP」などの代表曲を繰り広げ、メンバー全員がステージ上で激しく躍り、動き続け、観客のテンションを一気に盛り上げていく。さらに、インスト・チューン「Great Conjunction 2020」でたたみかけ、力強く軽快な疾走感をもってホーン・セクション、ギター、キーボードが次々とソロを熱演していく。一方で、茂木の得意の左手によるシンバル・ワークも見どころ。セット左側に並べられたライド、クラッシュ、ハイハットを、驚くほど軽快に片手で操り、ものの見事に楽曲全体にドライヴ感を加えていた。ハーフタイム・フィールへ移行するライドのアプローチも心地良い。

    ライヴ中盤では変幻自在なスカパラの魅力を凝縮した恒例のメドレー・コーナーへと突入。演奏が終わると、茂木が「みんなの拍手がいろんなことを語っているのがわかるよ」と伝え、声出しのできない会場の観客を思いやる。「今日会場に来るとき、車で高速を降りて見かけた、バットを素振りしている男の子、バスを待っている受験生らしき女の子……そんないろんな人の姿を見てグッときて、何かできることはないかという気分になった。ここにいる人、ここに来れない人、さっきの男の子や女の子たちにも届けたい。俺達は音楽の正義の味方なんだっていうことを。これが次のイントロ」とつなげて始まったのは、茂木自身がヴォーカルをつとめる「仮面ライダーセイバー」。迫力あるサウンドで激しく展開するアプローチにもかかわらず、熱く高らかに歌い上げる姿が印象的だった。

    生演奏に乗せて“ラジオ風”に届けられる茂木によるライヴ定番のトーク・コーナー、「Paradise Radio」では、爆笑をかっさらう一幕も。続いて、川上つよし(b)が「新作『SKA=ALMIGHTY』に収録されている未発表曲をやります!」と紹介し始まったのは、ツアー・タイトルでもあるインスト曲「Together Again」。シンセとドラムによるファンキーで渋みのあるイントロから始まったかと思いきや、明るく流麗なメロディで楽曲が繰り広げられていく。ピアノとホーン・セクションのかけ合いもドラマチックで、“また一緒に”というメンバーの思いが、演奏の中にふんだんに盛り込まれているようだった。メンバーとの気持ちが1つになったようで、観客も感に堪えない面持ちで演奏を聴いている様子。続けて「みんなが心から“ああ、春が来たな”と思えるまで、音楽をやっていきたい」という茂木のMCで始まったのが、自身がヴォーカルの「倒れないドミノ」。春の風が舞うように駆け抜けるビート・アプローチ、緩やかなレゲエ調のセクションなど、怒涛の楽曲展開であるにも関わらず、爽やかなハイ・トーンの歌声はブレることがない。

    ライヴは終盤に差しかかり、MCの谷中(b.sax)が「新しい未来への思いで曲を書かせてもらいました」と希望溢れるメッセージと迫力満点のサウンドで「Glorious」を届ける。NARGO(tp)、谷中、沖(key)、北原(tb)が演奏に合わせてタオルを振り回し、会場全体の熱気もピークへ。その勢いのままたたみかけるように、最後の曲「Paradise Has No Border」へ。GAMO(t.sax)が「どこが一番盛り上がってるんだ!?」とメンバーを引き連れながらステージ上を動き回り、テクニカルなソロ回しで会場は一層ヒートアップ。観客も激しく踊り倒し、本編は大盛況に終わった。

    メンバーが退場したあと、アンコールを求める大きな拍手が続く。それに応えて再びメンバーがステージに戻り、エンディングにふさわしく「All Good Ska is One」を演奏してお別れ。スカパラらしく明るく賑やかなスカに乗せて届けられる“We can do it!”という歌詞は、今だからこそ観客それぞれに心に響く言葉になったのではないだろうか。そうして明るく賑やかにステージを締めくくり、拍手喝采の中、オーディエンスと笑顔を交わしながら長らく手を振り続け、メンバーはステージをあとにし、熱狂冷めやらぬ一夜となった。ツアー・タイトルに込められた“また一緒に”というメッセージに似つかわしく、スカパラのメンバー全員と観客が一体となった、感慨深いライヴであった。

    なお、3月6日(土)に振替公演として開催される川口総合文化センター・リリアからのツアー後半戦は、本公演とはまったく異なるセット・リストを予定しているとのことだ。

    ●セットリスト
    東京スカパラダイスオーケストラ TOUR 2021「Together Again!」 
    2021年2月7日 千葉県文化会館 大ホール)


    1. 多重露光 -inst ver-
    2. スキャラバン
    3. DOWN BEAT STOMP
    4. Great Conjunction 2020
    5. 火の玉ジャイヴ
    6. STROKE OF FATE
    7. Natty Parade
    8. One Night
    9. 暗夜行路
    10. White Light
    11. Break into the Light~約束の帽子~
    12. 仮面ライダーセイバー
    13. Good Morning~ブルー・デイジー -inst ver-

    ~ Paradise Radio ~

    14. ALMIGHTY~仮面の約束 -inst ver-
    15. 太陽にお願い~Wish Upon The Sun~
    16. ペドラーズ
    17. Together Again
    18. 倒れないドミノ
    19. Prism
    20. Glorious
    21. Paradise Has No Border

    <アンコール>
    22. All Good Ska is One

    ※5~11は「トーキョースカメドレー」

    ◎Live Information

    ■東京スカパラダイスオーケストラ
     TOUR 2021 “Together Again!”


    【チケット】
    *チケットぴあ
    *ローソンチケット
    *イープラス

    ライヴ・チケット料金: 前売 指定席 ¥8,000(税込) 
    ※未就学児童入場不可 (ご入場される方全てチケット必要)

    ※詳細は、イベントオフィシャルサイトをご覧ください。