SPECIAL

UP

大阪から世界へ復活の狼煙! SAKAE OSAKA HERITAGE Vol.04

  • Interview:Rhythm & Drums Magazine
  • Photo:Takashi Yashima
  • Recording:Taro Kuroda[studio parasight]
  • Movie:Kazuki Kumagai

Talkin’ about Evolved ④ 真太郎[UVERworld]

ビーターがポンって当たったときのローの鳴り方がすごくて
とんでもないポテンシャルのドラムが届いたなって感動しました

Evolvedの試作品が届いたときは、正直ドキドキしましたね。比べる対象があるわけで、やっぱりそれを超えないと復活したってならないじゃないですか? 海外で作るという話も聞いていたので、どうなるんだろうと思ったんですけど、“前とは違う形にしたいんだな”っていう方向性は叩いてみてすぐにわかりました。とにかくローの成分がものすごくて。叩いているぶんにはめちゃくちゃ気持ち良かったですね。

僕の中では、SAKAEのドラムはシャープで、低音から高音までバランス良く綺麗に鳴ってくれるイメージなんですけど、試作段階のEvolvedはシャープさよりも低音の広がりが印象的で、ちょっと扱いが難しいな、と。手強いけど叩いていて面白かったですし、こっちの方に方向性を変えたい、違いを出したいんだなっていう方向はハッキリしていましたね。ただ使い続けていく中で、場所を選ぶというか、例えばスタジオならその良さを生かすことができたんですけど、ライヴに持っていくと僕の叩き方だと、やっぱりローが出過ぎて。特にキックですね。それで「ライヴだとちょっと使いづらいかも」という話は辻さんにもしました。面白いのはそのあとで、大阪城ホールのライヴのときに、「内側を削った」って段ボールにキックを入れて会場に持ってきたんですよ(笑)。削ったことで、シャープさが出て、ライヴでも使いやすくなりました。しばらくその試作品を使っていたんですけど、その間にも改良は続けていたみたいで、次に届いたプロトタイプは、方向性はそのまま、ローが整理されて、音色もクリアになりましたね。箱から出して、キックにペダルを装着したときに、ビーターがポンって打面に当たったんですけど、その音でちょっと感動しました。ローの鳴り方がすごくて、とんでもないポテンシャルのドラムが届いたなって。そのプロトタイプは製品版とほぼ同じらしくて、ロー感が多いので、音が作りやすいみたいです。エンジニアさんは「The Almighty Mapleよりこっちの方が使いやすい」って言ってました。

あと僕が使っているタムは10”と12”なんですけど、どっちも深さが7”なんです。辻さんから「口径が変われば深さを稼がなくてもバランスは取れると思う。音程の違いを口径で作って、深さを揃えることで響きのバランスが整えられるから、こっちの方がいいと思う」って言われて。最初は半信半疑だったんですけど、全然問題ないです。むしろ浅い方がセッティングしやすいので、好むドラマーは多いんじゃないですかね。

海外で作ることになったということで、不安に思う人は多いと思うんです。僕もその1人で、前はMade in Japanっていうのを押し出して、工場も見に行かせてもらいましたけど、やっぱりすごかったじゃないですか? そういうのを見てきた僕らが使っていて気にならないっていうのは、ものすごいことだと思うんです。日本製時代に負けない品質を保つために相当な努力をしていることも見てきましたし。 “色塗って”とか、“ちょっとサイズ・カットして”とか気軽に言いづらくなったなという思いはありますけど(笑)、品質に関してはまったく問題ないと思います。(大阪の新工場でも塗装はできるそうです)……そうなんですね、じゃあこれからもお願いします(笑)。僕はSAKAEの音は唯一無二だと思っているので、さらに音を追求していってほしいです。

Shintaro’s Evolved

これぞSAKAEという紅白のグラデーション(ファイアー&アイス・フィニッシュ)が美しい真太郎のEvolved。写真はプリプロ時のセッティングで、1バス、2タム、1フロア・タムとかなりシンプルな構成。サイズは22″×18″BD、10″×7″TT、12″×7″TT、16″×14″FTとなっている。シェルは製品版と同じでバス・ドラムとフロア・タムが7プライ、タムが6プライで、タムも浅胴仕様となっている。