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大阪から世界へ復活の狼煙! SAKAE OSAKA HERITAGE Vol.01

  • Text:Yusuke Nagano
  • Photo:Rittor Music

Talkin’ about Evolved ① 則竹裕之

一緒に成長していくような感覚がある
これからドンドン使っていって熟成させていくのが楽しみ

僕はこれまでいろんなドラム・メーカーにお世話になってきて、ニュー・モデルが出るたびに使わせていただいて、それはそれでとても充実した経験だったんですけど、SAKAEのドラムに出会ったときに、衝撃を受けて、自分の生まれ故郷で作っていたドラムに残りのキャリアを賭けてみようと思ったんです。だからSAKAE Drumsの動きが止まった時点で、今持っているドラムを大事にして、一生使っていこうと考えていたんです。そんな中、デザイナーの辻さんからSAKAEが復活するという話を聞いて、驚きましたけど、うれしかったですね。それで新しいドラムをオーダーすることになったんですけど、どうせなら今持っていないサイズのものにしようと、24”バス・ドラム、12”、13”のタム、16”、18”フロア・タムという構成の、普段自分が使っているドラムよりもサイズ・アップしたものを頼んだんです。深さはレギュラー・サイズでお願いしたんですけど、SAKAEとしては標準よりも浅胴を推奨しているということだったので、それでお願いしました。バス・ドラムが24”なので、浅い方がセッティングはしやすいですよね。届いたのがコロナ禍だったので、試す機会はそれほどなかったんですけど、レコーディングの現場がいくつかあったので、そこで使ってみたんです。サイズが違うので直接比較するのは難しいですけど、僕は音が変わったと感じました。これまでのエア・バックを使った作り方から変わったということで、当然だと思うんですけど、悪いのかというとそんなことはまったくなく、妙にチューニングの収まりがいいんですよね。今までのSAKAEもチューニングしやすかったと思うんですけど、Evolvedは適度に音が収まってくれて、ねらった通りの音を雑味なく作ることができる。ミッドからローにかけての出方も、僕にとってちょうどいいなと思いました。

もう1つ、18”のバス・ドラム、12のタム、14”のフロア・タムという3点セットもオーダーしたんですけど、小口径の方がよりねらった音作りができますね。今までジャズ・キット用にTrilogyを使っていたんですけど、シェルの構造上、ハイ・ピッチに向いてないんですよ。ビ・バップをやるときのチューニング……カンカンに張るとシェルが負けちゃって、ハイが上がってこない。それでちょっと緩めに張ってたんですけど、Evolvedはシェルがしっかりしているし、しかも耳に優しいSAKAE独特な音色なので、カンカンに張ってもうるさくなくて、ジャズをやるにはちょうどいいんですよ。少なくともコンボ編成のジャズをやるときに、僕が出したいイメージをTrilogyよりも近い音で出すことができますね。浅胴なので、取り回しがしやすいということも大きいように思います。今はこういうご時世で、ジャズの小編成での活動が多くなって、すごく重宝しています。

工場が台湾に移るということで、落ち着くまでは少し時間がかかるかもしれないですけど、現地の方がとにかく真面目らしいので、絶対により良いものになると思いますし、以前のSAKAEのドラムにあった一緒に成長していくような感覚は、新しいEvolved Mapleからも感じられるんですよ。これからドンドン使っていって、熟成させていくのが楽しみですね。

Noritake’s Evolved

ワイン・フィニッシュのEvolvedは大口径仕様で、サイズは24″×18″BD、12″×7″TT、13″×8″TT、16″×14″FT。さらに18″×16″FTも所有している。
アクア・フィニッシュのEvolvedはジャズ用として重宝している1台。サイズは18″×14″BD、12″×7″TT、14″×12″FTという構成。