プランのご案内
  • UP

    Featured Drummer|Tetsuが語るD’ERLANGER新作『Evermore』

    • Photo:Takeshi “Guts” Nakatani/Hiroshi Tsuchida/Akito Takegawa(Live)
    • Photo:Atsuro Takada/TAGO STUDIO TAKASAKI(Gear)
    • Interview:Isao Nishimoto

    自分が過去に叩いたリズムやフィル
    それさえも新しいものに更新したい

    いつでも同じ呼吸で音を出せる
    そんな“バンド力”には自信があります

    ●ドラムの音も、前作までと大きく変わったと感じました。先ほど話したように、温かみや太さが出ていて。
    Tetsu:今回、レコーディング用としてダブル・ヘッドのタムをパールに作ってもらったんです。前作のレコーディングで、フロントの8″、10″、12″の倍音をコントロールするのにちょっと苦労したので、次はダブル・ヘッドでやってみようと。同じ浅胴でも、ボトム・ヘッドがあるとこうも違うのかと思いました。あまり整頓されすぎたサウンドも好きじゃないので、そこの匙加減が難しいんですけど、エンジニアのKENさんも結構長いつき合いで理解してくれているので、うまくまとめてもらえました。

    ●ドラム・レコーディングは高崎のTAGO STUDIO。2017年のアルバム『J’aime La Vie』でも使ったスタジオですね。
    Tetsu:エンジニアとドラム・テックのスケジュールを同時に押さえられる日程が3日間しかなくて、そこで使えるスタジオを探したところ、奇跡的に空いていたんです。『J’aime La Vie』のときは、スタジオがオープンしてまだ2~3年くらいという時期で、音決めにかなり試行錯誤した印象があったんですけど、今回テックをやってくれた高田豊郎君はTAGO STUDIOでのレコーディングを得意としているみたいで。気持ち良くレコーディングできました。

    ●高田さんは近年のツアーでテックを務めていらっしゃいますが、レコーディングは初参加ですか?
    Tetsu:はい、頼もしかったですね。おかげですごく太い音が録れて、しっかりした骨組みは抜群でした。アンビエンスに関しては、特に高めの周波数……ゴーストで鳴るスナッピーとかの周波数がもうちょっと欲しいなというところを試行錯誤しましたが、ピアノ・ブースにドラムを置いて扉の開け具合いで調整するという方法でやってみたら、非常に良い仕上がりになりました。

    ●キットはカーボンプライ・メイプルということでしたが、スネアはツアーで使っているブラス&スティールの浅胴プロトタイプですか?
    Tetsu:はい。あとはReference One Brassと、高田君が持っているDWのスネアを特別に使わせてもらった曲もあります。

    ●そういうサウンドで奏でられるリズム・パターンは、どの曲も特徴的なものばかりで、真似して叩いてみたくなるフレーズがたくさんありました。
    Tetsu:おお、うれしいですね。

    ●多点キットならではの派手なフィルインやコンビネーション・フレーズも、Tetsuさんご本人としては、練りに練って考えたというより、気持ちのままに叩いたらこうなった、という感じでしょうか。
    Tetsu:そうですね。まずは作曲者が作ってきたメロディに対して、自分が“こうかな?”と思うリズムを素直に叩くんですけど、バラードっぽく作ってきたものがハードになったり、逆に普通の8ビートだったものが、自分の解釈ではバラードになったりすることもあります。そこで、いろんなドラマーのカッコ良いフレーズを参考にするやり方もあると思うんですけど、それはやっぱり他人のものなので、自分が思うリズムを叩きたい……そのあたりはちょっとストイックにやってます。自分が過去に叩いたリズム・パターンやフィルでさえも新しいものに更新したい、という気持ちがあって。でも、19歳でデビューして、今57歳ですけど、さすがにこれだけやってくると被ってしまうフレーズはあるし、これがTetsuのトレードマークだと言われるリズムもあるでしょうから、そのあたりは意識しすぎず、曲に忠実にいこうという感じに年々なっています。

    ●今まで聴いたことがないリズム・パターンやフィルというのは、なかなか出てこないと思います。それよりも、“このフレーズだからこそこの曲が成り立つ”と思える説得力の方が大切で、『Evermore』のドラムはそういうものになっていると感じました。
    Tetsu:おそらく、それこそが“バンド力”なんでしょうね。他のみなさんがどういうふうに曲を作っているかはわかりませんが、ドラムも完璧に打ち込んであるデモが用意されて、ドラマーじゃない人が作ったデモは、手がもう1本ないと叩けないようなフレーズになっていて再現するのが大変……なんていう話も聞きますよね。それはそれで、作曲者がイメージするクオリティの高い楽曲になると思うんですけど、D’ERLANGERの場合はまさにバンド力というか、プロデューサーもいませんし、各自が自分の出す音をプロデュースして出来上がるものなので、いろいろ打ち合わせをしなくても同じ呼吸でできているのかなと。そこは自信があるところです。

    ●kyoさんが、『Evermore』についてのインタビューで“自分の声でこれまでできなかったことが、今回できるようになった”という趣旨の発言をされていました。Tetsuさんは自分のプレイに関してそういう感覚はありますか?
    Tetsu:例えば、何度も練習を重ねてこれをやり遂げた、というものはないんですけど、それこそ“この曲、このメロディにこのリズム”、というのが悩まずに出てきて、我ながらハマっているなと思えるものになったので、そういう意味ではけっこう成長したのかなって。時には少々強引にブッ込むこともありますけど、今回はどの曲も素直にいけたので、そこは自分を褒めてやりたいですね。あとは、エンジニアとテックと僕の3人のチームワークに関しても、すごく良かったなと思うところです。

    再結成20周年を盛大に祝えるように
    今からいろいろ考えています

    ●アルバムのアートワークについても聞かせてください。いつもはTetsuさんがGREATZ UPPER名義でディレクションを担当していますが、今回はデザインまでご自分で手がけられたのですね。
    Tetsu:CRAZEの頃はよくジャケットをデザインしていて、D’ERLANGERでもやってみたいと思っていたんです。実は前作もほぼ全部やったんですけど、最後の最後に時間切れで“あとはよろしく”ってなっていたので、今回はちゃんとやってみようと。アナログ盤も含めて3パターンのジャケットを作って、楽しかったですね。アナログ盤のデザインをやったのも初めてだったので、とても勉強になりました。

    ●そして、来年はいよいよ再結成20周年という大きな節目を迎えます。今話せる範囲で、何か考えていることはありますか?
    Tetsu:10周年のときはトリビュート・アルバムが出たり、それに参加してくれた人達のライヴ・イベントがあったり、本を出したりとかがあったので、20周年はさらに盛大にお祝いできるように、いろいろ準備しているところです。ツアーも、最近ご無沙汰だった場所のブッキングを進めています。

    ●それはうれしいニュースですね。
    Tetsu:あと、もしかしたらレコーディングもできるかもしれません。今回の『Evermore』は還暦前の最後のレコーディングかなと思って、そういう意味での気合いが入っていたんですけど、おそらく来年またレコーディングすると思うので、その気合いはちょっと置いといて(笑)。

    ●そんな来年を楽しみにしつつ、まずはツアーの成功をお祈りしています。
    Tetsu:ありがとうございます!

    CD+DVDデラックス・エディション(三方背BOX仕様)
    通常盤