軸となるビートは“意図的に”ヨレさせたものが多く
聴いていてとても心地良く酔える音楽になっている

今回の神保 彰さんのソロ・アルバム・シリーズは3作品同時リリース。しかもこのコロナ禍ということもありNYとのリモートでのレコーディング。そんな中完成した『28 NY Blue〜』はファンキーでブルージーなとても聴いていて心地良い作品。全体を通してストレートなファンクが多い中、軸となるビートは“意図的に”ヨレさせたりしたものが多く、聴いていてとても心地良く酔える音楽となっております。M2は、ウワモノはシンプルに、ドラムがメトリック・モジュレーションで攻めていく。M3は、聴いただけで神保さんの楽曲とわかる、ベースが停滞して2コードを行き来する作品。2つ目のコード中に一瞬スケール外の音（ラのナチュラル）を放つ瞬間に、夢の中にトリップした感覚を覚えます。M6は、2・4拍のスネアはそのままに、感じ方が少しドランクに酔う面白い楽曲。どの楽曲もとても良い意味で浮遊させてくれ、それでいてしっかり軸がある音楽が揃っており、聴き応えがある素敵なアルバムとなっております。（山本真央樹／ DEZOLVE）

ポップでホーミーな曲調の中で
我らがJIMBOが爽やかに暴れてくれます

還暦を越えてなお、一層の精力的な活動を行う“世界の神保”。2019年に2作同時リリースを成し得た彼の次なる挑戦は、3作同時リリース！　1人ですべてをこなすマシンとも評されるあのお方の放つドラミングを、名前だけ存じておりますが、今さらながらざっとおさらいしたい……的なそこのあなた。3枚の中でこの“ラテン”から入るのがうってつけ！　このご時世ならではのリモート・レコーディングで、NYラテン界の精鋭達と丁寧に織り成す音の形が、とくと堪能できます。リモートなだけあって音の分離が良く、非常に何をやっているのかわかりやすい！　デートに使えるお洒落バーで普通にかかってもおかしくないポップでホーミーな曲調の中で、我らがJIMBOが爽やかに暴れてくれます。2曲目では少しファニーなハズした？（笑）、ソロも聴けます。個人的には5曲目のコーヒールンバならぬ「Cafe Cha Cha」が好き。後半にはお得意のソンゴ曲やデュオ曲も聴けます。ジャケは情熱の赤！（SATOKO）

ドラマーなら絶対聴くべし!!
巨匠の新しい“ドラム”表現が具現化されたアルバム

もはや説明不要、日本が世界に誇るスーパー・ドラマー、神保 彰さん30作目のソロ・アルバム。プログラミングで制作されたトラックとドラムのみの完全ドラム・ソロ作品でありながら、この編成でしか創り出し得ないであろう独特で絶妙な音楽表現の魅力が、アルバム全編を通して溢れています。色彩豊かながらあえて機械的にプログラミングされたトラック。そこに命を吹き込む神保氏の力強く躍動感溢れるドラム・サウンド。楽曲構成のユニークさも去ることながら、聴いていてまったく飽きの来ないゴキゲンな聴き心地には驚嘆の一言です。終始一貫して続く強靭な神保 彰グルーヴに加え、超絶痛快なメロ・ユニゾンや変幻自在なポリリズムなど、ドラマーとしての聴きどころも満載。カシオペア、ソロ活動、数々のセッション、そしてワンマン・オーケストラを生み出してきた巨匠の、新しい“ドラム”表現の具現化を実現したアルバムと言えると思います。マジでドラマーなら絶対聴くべし!!（今井義頼）