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【誌上ドラム・コンテスト】32 Bar-Drumming 特設サイト

  • Illustration:OlgaYakovenko by iStock

32 Bar-Drummingコンテスト開催によせて

Massage from Composer 柏倉隆史

目の前にある環境から感じるままに
自由にアプローチしていただけたら

●今回“32小節の課題曲”とお願いしたとき、率直にどう思われました?
○とても光栄なことなんですが光栄だからこそ“僕にできるのかな?”と不安が先走ったのが率直な感想です(笑)。でも曲を作ったりするのはすごく楽しいことだし好きなことなので、あまり余計なことを考えず「ぜひやらせてください!」という運びになりました。

●イメージなどはパッと浮かんだのでしょうか?
○編集部に「BPMの範囲だったり音楽の方向性など、テーマください!」とお願いして、そのテーマに自分が添えるところから初めました。僕はピアノが弾けるわけではないので、LogicのMIDIピアノを、感じの良い和音やフックになりそうなフレーズが見つかるまで弾いて何か破片を見つけたらそれを直して、そこから次にイメージできることを見つけながら、言い変えれば粘土で何かを作るようにコネコネと形にしていった感じです。候補の中に、“GoGo Penguin的なニュアンス”というのもあって、ピアノ・トリオ的な音源を聴いてみたりして、今回はわりとパッとイメージが出てきました。

●伊澤一葉さんがピアノを弾いてくださったと聞いたときは驚きました。
○最初に伊澤君にピアノ的な部分で「何か間違ってないかな?」って相談を持ちかけて「誰か弾いてくれる人いないかな〜」なんてヌルッとオファーしたのですが(正式にお願いして断られるとショックなので/笑)快く受けてくれました。出来上がった音源を聴いたら、それはもう“命が入ったなー”って。自分が想像してた“完成の感性”を超えたところまで持っていってもらえたので最高でした。デモを律儀に忠実に、さらに磨きをかけて弾いてもらえたし、少し違和感があるところは直してくれました。

「ドラミングが主役だから、味だったり訛りみたいのは主役に任せて、ピアノはフラットに表現していったほうが良さそうだね」とかアドバイスももらったり、感謝です。何しろ伊澤君が鍵盤を弾いてくれたのがうれしかったです。僕にとってはタメで同世代の誇りなピアニストなので。

●シンプルな楽器構成に印象的な耳馴染みのいいリフもあり、幅広いジャンルの方にとって取り組みやすく、アプローチもさまざま考えられそうですね。
○そう言ってもらえるとうれしいです。アプローチの可能性は無限大だと思います。僕が感じることを言葉で表すと、ある意味何かイメージを確定させてしまうのではないかと心配なのですが、例えば曲がピアノ・トリオ風だからといって、そういったアプローチにならなくても良いわけで。みなさんが感じたままに、今、目の前にある環境や日々聴いている音楽の中から生まれてくるアイディアを、自由に自己の表現としてアプローチしていただけたらと思います。

●昨今の音楽シーンの傾向などは意識されたのでしょうか?
○ここ数年はInstagramをはじめ、SNSなどでミュージシャンの方々の自己表現やパフォーマンスなんかを見る機会が増えたように思います。コロナ禍の影響もあって自宅に籠もってじっくり作業をされてる方が増えたので、クオリティもすごく高くて内容も凝っていて、面白いものがたくさんアップされていますよね。“サクッと良い感じで始まって納得の着地”ってストーリーの動画を、長くても2分くらいの間にみなさんまとめていて。なので、その尺の中で展開されるテンポ感みたいなのは僕の中にもあって、意識というよりは影響されて出てしまってるという感じですかね。

●今回の課題曲を演奏する上で、重要だと思う部分はありますか?
○そうですね……その重要なことを探してもらえたらうれしいです。僕にとっての重要なことは、他の人からするとどうでもいいってことあるじゃないですか? きっとその重要なことやこだわりが個性なんだと思うんです。おそらくみなさま、録音したものを何度も見て聴いて、いろいろなことを考えて着地点を見つけていくんだと思いますが、その中で自分自身のことや、ドラムの根本や本質や成否を見つけて、何か1つでもみなさまにとって重要なことを見つけてもらえたらなと思います。けど、基本は「楽しんでください!」なので重要なことは楽しむってことなんですかね(笑)? 硬い言い方になってしまってすいません!

●最後に、応募されるみなさんに、メッセージをお願いします!
○どうも!こんにちは!
 カシクラ タカシと申します。
 知っていただけてる方も初めての方もどうぞよろしくお願いいたします。
ドラム・コンテストなので基本誰かと競い合う形にはなりますが、参加されるみなさまの自己表現の場所として、そして、コロナ禍もあり生で演奏することもまだまだやりにくい状況なので、みなさまの新しい才能や発想を見つけられたり広められる場所になったらいいなと思っています。コンテストの課題曲も作らせていただけて本当感謝です。この曲で少しでもコンテストへのチャレンジが楽しくなればありがたいです。みなさまの素晴らしいプレイを楽しみにしております。

Impression of “Super inspiration”
二次審査員3名が語る課題トラックの印象

審査員を務めてくれる3人のドラマーに「Super inspiration 」を聴いてもらった
印象を聞きました!

菅野 颯[BREIMEN]

ぱっと聴いた感じ、無機質な印象を感じました。シンプルな構成なのでドラムでいろんなアプローチができそうですね。有機的な人間味のあるドラムを入れても対比で良さそうですし、無機質に機械的に叩いても面白そうです。ピアノのフレーズがリズム・モチーフとしてポリリズムになったりする部分に合わせてモジュレーション的に叩いても面白いと思うし、無視してストレートなビートを叩いてもカッコ良くなりそうです。キメっぽいところで、ドラム・ソロっぽいアプローチを想定しますが、何か面白いことを考えてみたいですね。

松浦千昇

難しい曲ですね。何を叩いてもいい気がします。4 拍子ではあるんですけど、リフがトリッキーなので崩して叩いてもいいと思いますし、リフに沿っていっても面白いかなと思います。曲にはピアノとベースしか出てこないのでドラムのストーリー性がかなりに大事になってくると思います。僕が演奏するとしたら、とにかく曲を聴き込んで、世界観を固めて、あまりフレーズとか何を叩くとかは考えずに演奏すると思います。どんなプレイ・スタイルの人が演奏しても面白くなると思うので今から楽しみです。

竹村 仁

大変僭越ながら審査員を務めさせていただきます、竹村 仁です。作曲者が柏倉隆史さんということで、またアグレッシヴな方をお選びになったなぁと(笑/まだ一度もお会いしたことはないのですが……すみません……)。課題曲の率直な感想は、“むずい!”です。ジャズやプログレッシヴの要素がありつつアプローチの仕方もかなりいろいろなパターンが試せそうだなと思います。普段自分が演奏するような音楽ではないですが、個人的に必要なポイントが要所に見られたので取りにいくかあえて外していくかもセンスが問われるところだなぁと思います。今までとまったく違う新しいコンテストになればということでしたので、みなさまの演奏をすごく楽しみにしております。

コンテストの詳細はリズム&ドラム・マガジン2022年4月号から!

リズム&ドラム・マガジン2022年4月号
創刊40周年記念号第二弾!

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