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Selected Jeff’s Works 沼澤 尚が選ぶジェフの名盤 100〜Vol.04〜

スティーリー・ダン、ボズ・スキャッグス、マイケル・ジャクソンなど数々の傑作にセッション・ドラマーとしてその名を刻み、TOTOのメンバーとしても大成功を収めた伝説のグルーヴ・マスター、ジェフ・ポーカロ。4月1日の彼の生誕記念日に絡めて、その功績を語り継ぐべく、生前ジェフとも親交のあった沼澤 尚が選んだ“ジェフの名盤100”を10日間に渡って紹介! 4日目=Vol.04ではAORを中心にバラエティに富んだ作品に参加した、1979年の10枚を紹介していきます。

公開済の他作品はこちらのまとめサイトをチェック!

『Together We Stand』/Chanson(1979年発表)

スタジオ・ミュージシャンのデュオ、シャンソンの2作目。ディスコ的な傾向が強くなりグルーヴもより軽快になった印象。これはジェフと共に起用されたハーヴィ・メイソンの影響が強いのかもしれない。この2人は当時、同じアルバムでよく名を連ねているが、“ハネ系”のグルーヴは確実にジェフのもので、しっかり個性を発揮している。(菅沼道昭)

Expanded Edition

『When Love Comes Calling』/Deniece Williams(1979年発表)

1975年にスティーヴィー・ワンダーの来日公演に同行したときに、自身のソロ曲「Free」を披露したのを生で観てまさに一目惚れ。モーリス・ホワイトがカリンバ・プロダクションからリリースした2枚のファンキーな作品がまず最高だが、いきなりデヴィッド・フォスター/レイ・パーカーのプロデュースで、これがまた最高過ぎ。(沼澤 尚)

Expanded Edition

『Extensions』The Manhattan Transfer(1979年発表)

ジェフは9曲中2曲に参加。そのうち1曲はツイン・ドラムで、単独参加は大ヒット・シングル「Twilight Zone /Twilight Tone」のみ。しかしその1曲にジェフは圧倒的に精度の高いグルーヴで存在感を示す。シンプルなバス・ドラムの4分踏みを聴くだけでも、強烈なキレとタイミングの素晴らしさに感動がこみ上げる。(長野祐亮)

『Blue Desert』/Marc Jordan(1979年発表)

カナダでリリースした数枚のシングルを気に入ったゲイリー・カッツがプロデュースしたデビュー・アルバム『Mannequin』がやはりその完成度でまず話題になり、こちらにもジェフが参加。続くこのセカンド・アルバムはジェイ・グレイドンのプロデュースで、ジェフ、ケルトナー、ラルフ・ハンフリーの上品な競演が堪能できる。(沼澤 尚)

『Dreams of Tomorrow』Marilyn Scott(1979年発表)

フリー・ソウル系の歌姫、マリリン・スコットのファースト・アルバム。オリジナル盤は非常にファンキーなソウルが展開されているが、ジェフは参加しておらず、CD化のボーナス・トラックとして追加されたデビュー・シングル「God Only Knows」で、TOTOのメンバーと共にプレイ。本編よりもやや骨太なグルーヴ感で、この追加はうれしいところ。(菅沼道昭)

『Prone』/Ned Doheny(1979年発表)

一部ではボビー・コールドウェル、マイケル・フランクスらと共に、AOR四天王とも呼ばれているシンガー・ソングライターの3作目。ジェフは2曲で参加。現代的な音作りながら耳障りの良いサウンドで、ソウルからの影響も感じられる。ジェフの演奏は参加曲で共演するデヴィッド・フォスターとの取り合わせで、一段と“ポップ感”を増幅させている。(菅沼道昭)

『Rickie Lee Jones』/Rickie Lee Jones(1979年発表)

1979年、リッキー・リー・ジョーンズのデビュー・アルバムにして私的最高傑作。ドラムはジェフの他にスティーヴ・ガッド、アンディ・ニューマークらの参加で、すべて超一流のサウンドが全編に。明らかな“ポーカロ印”の音楽的ドラムが楽曲を創り上げる。研ぎ澄まされた超繊細な演奏ながら“ロック”なのがジェフ。(小宮勝昭)

『Knock The Walls Down』/Steve Kipner(1979年発表)

オリビア・ニュートンジョンの「Physical」の作者としてあまりに有名だが、その後もシカゴ、クリスティーナ・アギレラをはじめとして、大量の楽曲提供をしている、オーストラリア出身おシンガー・ソングライターの唯一のソロ作品。ジェイ・グレイドン・サウンドが大流行するきっかけとなった最重要作品の1つ。(沼澤 尚)

『Street Beat』/Tom Scott(1979年発表)

NYとLAのスター・プレイヤー達と、その時々によってガラッと変えながらソロ作品を60年代後半から作り続けてきた、ひたすらソウルフルなスーパー・サックス・プレイヤー。ガッド達とNYでの録音が続いたあとにLAに来て、ここでジェフ&ニール・スチューベンハウスのソリッド極まりないコンビが大活躍。(沼澤 尚)

『Hydra』/TOTO(1979年発表)

1979年発表のTOTOのセカンド・アルバム。コンセプト・アルバムならではの凝ったアレンジ、世界観が、よりバンドとしての演奏を強固なものに。ジェフのドラミングの振り幅も驚異的に広く、その多彩さを披露している。ある意味プログレ的なキメでも、大きくゆったりと聴かせるジェフの懐の深さが堪能できる。(小宮勝昭)

※本記事はリズム&ドラム・マガジン2014年5月号、6月号の記事を転載したものになります。

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