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    Katsuma[coldrain]が語る『OPTIMIZE = OPTDEMISE』のドラミング|“引き算”から生まれる独自のグルーヴ【インタビュー後編】

    • Photo:Masahiro Yamada(Main)

    coldrainのニュー・アルバム『OPTIMIZE = OPTDEMISE』に関するドラマー、Katsumaのインタビュー後編(前編はこちら)。新作における練り上げられたドラム・フレーズの数々は、作・編曲を手がけるY.K.Cによる精緻なデモをベースに、細かな“引き算”を重ねながら、Katsuma自身のノリやフィーリングを注ぎ込むことで生まれたという。ここでは「EX-HUMANITY」、「REST OF ME」、「OPTIMIZE」など各曲のドラム・アプローチを紐解きながら、複雑さを増す楽曲に対応するためのセッティングや身体の使い方、さらに結成20周年を迎えるバンドのこれからについて聞いた。

    ものすごい完成度でトラックを作ってくるから壊すのも難しくて
    お互いのできること/できないことの
    理解が深まったからこそのバトルを繰り返しています(笑)

    “ギリギリを攻めたバトル”から
    生まれるドラム・フレーズ

    ●今回は最後にドラムをレコーディングしたということですが、それもあってか、リフとドラムの一体感が本当に強力ですよね。
    Katsuma:それはそうですね。自分の中でしっかりと完成形が見えた上で録れているので。打ち込みのドラムを聴いて竿隊はレコーディングしてますけど、俺は打ち込みの通りには叩いていなくて。その打ち込みとノリは同じになるようにしつつ、キックを1個抜いたり、引き算をしていきました。例えば先行で公開されたリード曲の「EX-HUMANITY」なんかは、デモの打ち込みだと、ウラが全部キックだったのを自分なりのノリを出すためにスネアに変えたりしましたね。「ここはこうしていい?」、「ここのキック抜いていい?」みたいな細かい会話を、Y.K.Cと現場で重ねながら作っていきました。Y.K.Cがものすごい完成度でトラックを作ってくるから壊すのも難しくて、お互いのできること/できないことの理解が深まったからこそのギリギリを攻めたバトルを繰り返しています(笑)。

    ●(笑)。キャリアを重ねるほど、バンドも余計なものを削ぎ落としてシンプルになっていくことも多いと思うんです。でも今回のアルバムはむしろ逆で、いい意味でメンバーそれぞれのエゴが凝縮されているように感じました。
    Katsuma:遠慮なく、自分達がカッコいいと思うものを出せましたね。憧れだったThe UsedのBert(McCracken/バート・マクラッケン)を「POISON」に迎えたのもそうです。「POISON」は、元々Masatoだけのバージョンでレコーディングが終わっていたんですけど、ダメ元でBertに送ってみたら「いいよ」ってなって。そしたらBertは、こちらが想像していた100%以上の、120%の仕事量でシャウトやヴォーカルを入れて返してくれたんです。憧れていた存在を本気にさせられたことがうれしかったですね。中高生の頃に聴いていたThe UsedやPapa Roach、Limp Bizkitみたいなレジェンド達が、今も第一線で最高にカッコいい姿を見せてくれていて、その人達と今、一緒にやれているのが本当にうれしいです。

    ●最近もSevendustのMorgan Rose(モーガン・ローズ)の動画に対して、SNSで反応していましたよね。そういう憧れてきたレジェンド達と実際に交流するようになって、距離感は変わってきましたか?
    Katsuma:対話はできるようになっても、心の中の距離感は変わらないですね。「すげえ人」っていうのは変わらないです。でも、その当時憧れていた人達が今でも第一線で最高にカッコいいライヴをやっているのを見ると、自分の選択や見る目が間違っていなかったなと改めて思います。

    ●キャリアやいろんな経験も重ねて、自分達の作品に対する自信も以前とは変わってきていますか?
    Katsuma:今回はめちゃくちゃいいアルバムだと思うし、すごく自信がありますね。ドラムもすごく頑張りました(笑)。頑張りすぎて、今ライヴでやるのが本当に大変なんです(笑)。

    ●(笑)。その大変さで言うと、「REST OF ME」はツイン・ペダルのフレーズがかなり細かくて、ライヴで再現するのも大変そうですよね。
    Katsuma:まさにそうで、ああいう小賢しいフレーズをY.K.Cが作ってくるんですよね(笑)。あれでもだいぶ引き算したんですけど。やっぱり作曲者の意図や一番重要なポイントは再現したいし、リフものの曲は特に“やってやるか!”ってなりますよね。特に「REST OF ME」は、リフありきで入れるポイントが決まっているフレーズなので、ライヴでやるのはプレッシャーだし、しんどいですけど……今、頑張って練習しています(笑)。

    同期とフィーリングを行き来する
    Katsuma流のグルーヴ

    Photo:Shotaro

    ●構成が複雑で、タイム・チェンジが多い曲もありますが、フィールが途切れないですよね。ライヴではどういう感覚で叩いているんですか?
    Katsuma:俺はハーフのところはめっちゃハーフのノリで叩くし、速いところはめっちゃ速いノリで叩くんですよ。ドラマーによっては、前後させず一貫してザッと行くのを正解とする人もいますけど、俺は行くときはガーッとハシった上で、ビート・ダウンしてハーフになったときは、また違うノリでやるタイプなんです。だから展開に沿ったテンションで叩いていますね。そういう意味で影響を受けたドラマーで言うと、日本のバンドではBOMB FACTORYのSHIRAさんとか。ライヴを何回も見ましたけど、あの生感というか、ドラムがそこで支配する感じがカッコ良くて大好きなんです。まぁ竿隊は合わせるのが大変だろうなと思いつつも(笑)、ライヴなら多少ズレても、人間味があってOKだと思っています。

    ●プログラミングや同期のループ・トラックと一緒に演奏するときに、意識していることはありますか?
    Katsuma:16分のループとか、リズムのトラックが流れているときは、ズラして叩いちゃうと正解かわからなくなるので、オンで叩くようにしています。プログラミングのループのビートは、クリックよりもでかめに聴くようにしていて。どちらかというと、クリックよりそのループに対して叩いている感覚ですね。

    ●一方で、「FREE FALL」のラスサビ終わりでテンポ・ダウンする場面などは、そうした同期の感覚とは対照的な、非常に重くタメの効いたバック・ビートが印象的です。
    Katsuma:あの場面は、クリックは“あるようでない”くらいの気持ちで、「タ〜ン、タ〜ン……」って、これもフィーリングで叩いています(笑)。プログラミングやリフとガッチリ合わせるところもあれば、もう気合一発のところもあって。ギターの音数が少なくてスペースがある場所だからこそできる、一番自分らしかったりする部分でもありますね。「EX-HUMANITY」の一番最後のパートなんかもそうですね。

    ●フレーズでは、「G.I.A.I.G」の途中で入るスネアのフレーズが特に印象に残りました。
    Katsuma:あれは最初に来た打ち込みのデモがあんな感じだったんです。ドラムを叩かない人が「これくらい、簡単にできるでしょ?」って入れてきたようなフレーズで(笑)、“むず!”と思いましたけど、カッコ良かったのでそのまま採用しました。めちゃくちゃ練習しましたね(笑)。楽譜通りの“タカダッタン〜”ではなく、フラムを使ってニュアンスを出しています。

    ●「PICTURE PERFECT HELL」にはドラム・ソロっぽいパートもあります。
    Katsuma:元々ループで始まる曲のブリッジ部分が生ドラムになっていて、ちょっとソロっぽくなっています。ステージで1人だけになって、「オラオラ〜!」って叩くような単体のドラム・ソロはできないし、一生やりたくないですけど(笑)、曲中に組み込まれたブリッジ部分のドラム・ソロ的なアプローチは好きですね。あそこはシンバルの行き方とかを、レコーディングの現場で自分なりにいじって構築していきました。

    ●全12曲の中で、テクニック的にチャレンジングだった楽曲はどれですか?
    Katsuma:EP(『OPTIMIZE』)にも収録されている「OPTIMIZE」は難しかったですね。ビートがスリップするプログレ的なフレーズなんですけど、Y.K.Cから送られてきたデモの段階では、イントロから最後までずっと違うキックのパターンを踏んでいるアレンジだったんです(笑)。さすがに“勘弁してくれ”と思いながら、引き算をして、今の形に整理しました。Y.K.Cは俺のスキルが上がってきているのを認めてくれつつ、“これは得意じゃないかもしれないけど、曲のためにやってくれ” っていうところまでわかってフレーズを作ってくるんだと思います。昔みたいに“手3本ないと無理だから”みたいな無茶な提案はなくなりましたけど、できるギリギリのところを攻めてくるから、逆に断りづらくなりましたね(笑)。

    毎ライヴの試行錯誤で
    更新し続けるドラミング

    ●ご自身のドラミングや演奏のスタンスなど、ここ最近で変わったと感じることはありますか?
    Katsuma:フレーズやテンポ・チェンジが複雑になった分、どんなフレーズが来てもニュートラルに叩けるように、ドラムの重心や叩くスタンスを意識しています。昔は勢い任せで重心も前のめりだったんですけど、最近は椅子の高さ、バスドラとの距離、足の広げる幅、スネの角度、さらにはペダルを踏む足の位置……土踏まずで踏むのか、母指球寄りで踏むのか、そういうのはライヴのたびに微調整して、動画で撮影もして、それを見ながらトライ&エラーを繰り返しています。練習で試してもライヴだと結局全然違うので、「今日のライヴはスティックの持つところをちょっと先端寄りにしよう」、「キックはカカトを上げないように踏もう」みたいな、ほんのちょっとした試行錯誤を常に毎ライヴ毎ライヴやって、アップデートを積み重ねていますね。

    ●サポートなど、coldrain以外で叩く現場があることも、ドラミングに影響していますか?
    Katsuma:まったく違うので影響はありますね。例えば黒夢で叩くときは、ライヴでクリックも聴かないですし、主導権は完全に清春さんにあるんですよ。テンポも何もかも清春さんが決めるので、こっちはそれに対して瞬発力で合わせに行く。coldrainはそれとは真逆で、トラックとクリックが回って、自分に完全に軸があるんです。まったく違う両極端な現場を同時に経験できていることが、自分の中ですごく面白くて、確実にプラスになっていますね。

    ●来年は結成20周年を迎えますが、バンドを始めた20年前の頃に思い描いていたことに対して、今どのくらい実現できている感覚がありますか?
    Katsuma:自分の最終形態に対してはまだ程遠いですけど、20年前組んだときの理想の立ち位置はとうに超えていますね(笑)。別にこんな風になると思ってなかったな、くらいの感じです。バンド組んだ当時は、サマソニ(Summer Sonic)とか大きなフェスに出られるバンドになりたいくらいの感じだったので、もうそこは達成しましたし、さらに更新し続けて今があるので、当時の自分からしたら夢のような生活をしているんじゃないかなと思いますね。

    ●目標を超えてきたからこそ、今描いている今後の目標や挑戦したいことはありますか?
    Katsuma:目先の目標としては、関東だと横浜アリーナ、名古屋だとガイシホールでやりましたけど、そういうアリーナ・クラスのライヴを全国で毎年できるようになりたいですね。バンドを20年も続けていたら、爆発的に伸びることってそうそうないと思うんです……10-FEETみたいなミラクルもありますけど(笑)。自分達はゆっくり階段を登ってきたバンドだと思うし、このまま着実にステップアップして、さらに広げていきたいですね。アリーナ・クラスを毎年全国で回れるくらいには、まだまだ伸び代があると思っています。

    ◉New Album
    『OPTIMIZE = OPTDEMISE』coldrain
    ソニー|SICP-6820

    1 OPTIMIZE
    2 CHASING SHADOWS
    3 DIGITOLL
    4 INCOMPLETE
    5 FREE FALL
    6 EX-HUMANITY
    7 REST OF ME
    8 POISON (feat. Bert McCracken of The Used)
    9 G.I.A.I.G
    10 SING
    11 PICTURE PERFECT HELL
    12 SAVIOR (feat. Kenta Koie)

    https://www.sonymusic.co.jp/artist/coldrain/discography/SICP-6820

    ↓インタビュー前編はこちら↓

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